PaPoo
cover

Claude.ai を速くした話で、いちばん印象に残ったこと

この記事を読んでまず思ったのは、「速くする」って、結局はかなり地味な反復作業なんだな、ということだった。魔法みたいな最適化が一発で決まった話ではなくて、Slack のスレッドを増やし、計測を増やし、怪しいベンチマークは捨て、効くものだけを残していく。しかもそれを Claude 自身にやらせている。ここが面白い。

特に引っかかったのは、「測れるようになったら速くできる」という発想の強さだ。普通は、まず遅いところを人間が勘で当てて、あとから測定することが多い。でもこの記事では逆で、測定そのものを増やすことが仕事になっている。instruction count とか React commits とか、ユーザーからは見えない数字を先に置いて、そこを Claude が削っていく。しかもその数字が本当に体感速度につながるかを、壁時計時間で確かめる。かなり堅い。

一方で、少し怖さもある。こういう進め方はうまく回れば強いけれど、ベンチマークの置き方を間違えると、見かけだけ速くて実際は違う方向に進む危険がある。記事でもそこはかなり警戒していて、フレークするものやユーザー遅延と相関しないものは捨てたと書いていた。つまり「自動化したから安心」ではなく、むしろ人間が最後まで目標を握っていないと危ない。そこはかなり大事だと思う。

それでも、3,000件以上の変更を出して顧客向けの事故や rollback がなかった、というのは単純にすごい。速くする仕事は、勢いで押し切ると壊しやすい。なのにこの記事は、速さと安全性を両立させるには、雑に頑張るより、細かい計測と ratchet(下限を更新していく仕組み)のほうが効くと示しているように見えた。プロダクト改善というより、改善のための作業環境そのものを作り直した感じが強い。


参考: How we made claude.ai 3x faster in two weeks / claude.dev

同じ著者の記事