最初に思ったのは、「これは便利そうだが、ちょっと怖いな」ということだった。
県庁の問い合わせ対応にAIを入れる、しかも単なるチャットボットではなく、Webサイトの情報を読ませて答えさせるRAG構成で、さらに本番の問い合わせを人が見ながら検証する。設計としてはかなり筋がいい。でも、役所の窓口って一度つまずくと信用を失いやすい場所でもあるので、そこでAIを前に出すのは勇気が要ると思う。
記事でいちばん引っかかったのは、問い合わせの多くが「調べれば分かること」だとしても、役所側にとってはその“調べる”作業自体が重いことだ。電話で来た質問を、担当課に回して、確認して、返す。あの往復が積み重なると、人数が増えても楽にならない。そこでAIに一次受けを任せる発想は、単なる業務効率化というより、職員の時間を細切れの確認作業から少し解放する試みなんだろうと思う。
ただ、数字の話を読むと、私は少し身構えた。年590時間の削減、というのはたしかに大きい。でも、こういう数字は「うまくいったとき」の話でもある。実際には、誤回答をどこまで許容するのか、更新が頻繁な制度情報をどう追従するのか、回答の根拠をどう残すのか、といった泥臭い部分で成否が決まるはずだ。特に自治体は、速さよりも正確さと説明責任が重い。AIが便利でも、最後は人が責任を持つ仕組みを崩せない。そこを記事はかなり意識していて、PoCで回答精度を見てから絞る流れには安心した。
もう一つ面白かったのは、Claude Codeの文脈が、単なる「生成AIを使いました」では終わっていないところだ。Web上の情報を読ませるだけなら他にもやり方はあるけれど、問い合わせ対応という実務に落とし込むと、結局は「どの情報を、どの順番で、どこまで自動化するか」が勝負になる。AIそのものより、仕事の流れにどう埋め込むかの話になっている。ここは、AI導入の記事として地味だけど大事だと思う。