この記事を読んでいちばん引っかかったのは、AIが「明らかな悪意」には強くても、ばらばらに置かれた普通の文を自分でつなぎ合わせると途端に危うくなる、という点でした。
人間でも、別々の場所に書かれた指示を読み違えることはあります。ただ、AI coding agent はそこに加えて、tool result や tool description みたいな“信じてよい場所”をまたいで意味を組み立ててしまう。そこが怖い。悪い命令が一文で書かれていなくても成立してしまうなら、従来の「この文は怪しいから止める」という防御はかなり頼りないと思います。
面白いのは、これはモデルの賢さだけの話ではない、という書き方でした。同じモデルでも、どの client から使うかで挙動が変わる。つまり、危うさはモデル単体ではなく、周辺の安全設計にかなり依存している。ここはAI開発の現場で見落とされやすい気がします。つい「どのモデルが強いか」に話が寄りがちですが、実際には MCP のつなぎ方、tool の受け渡し方、human approval の置き方のほうが効いてくる場面があるんでしょう。
それと、記事のトーンが示している「これは外部から魔法みたいに侵入する攻撃ではない」という前提も大事だと思いました。攻撃者の MCP server をすでに接続していること、しかも agent が読めるファイルがあることが条件です。つまり、想定外の穴というより「便利さのために広げた接続面が、そのまま漏えい経路になる」話です。AIアシスタントを入れるたびに、何を信頼して何をデータとして扱うのかをかなり厳密に考えないといけない。面倒だけど、そこを曖昧にしたままでは危ない、という感覚が強まりました。
参考: Malicious MCP Servers Can Split Instructions to Make AI Coding Agents Exfiltrate Secrets