いちばん引っかかったのは、「AIなら一気に自動化できそう」という期待が、まだかなり都合のいい幻想に近いことが、逆にすごく具体的に見えた点です。この記事の実験では、PLC向けのRCE exploitを別モデルに移す作業にClaudeを使っているのですが、実際には数時間かかり、API料金も数百ドルかかり、最後には装置を文鎮化までしている。派手に見えるAI活用の裏側が、かなり泥臭い。
ただ、だからといって「AIは役に立たない」で終わらないのが嫌なところです。むしろ怖いのは、最初の足がかりを掴むまでが重いだけで、一度うまくいくとその後の反復が急に速くなることだと思いました。研究者が横からかなり細かく軌道修正しているとはいえ、Claudeが条件を理解してからは短時間で動くpayloadを出している。この“立ち上がりの遅さ”と“立ち上がった後の速さ”が同居している感じは、攻撃側にとってかなり厄介です。
それと、PLCという対象の怖さも改めて浮き彫りになっていました。普通のソフトウェアならクラッシュで済んだ話が、産業機器だと停止や復旧の手間、最悪は実機破壊に直結する。AIが強くなるかどうか以上に、「少しでも試行錯誤を回せる環境」が壊れやすい現場では、その一手一手の重みがまったく違うのだと感じました。研究のための試験でさえ装置を壊すのだから、現場で悪用されたら面倒どころではないはずです。
参考: Experiment: Porting a PLC Exploit With AI Takes Hours and Hundreds of Dollars