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55歳の解雇からAI起業へ。元銀行員が学んだ「AIで独立する」現実

記事のキーポイント

55歳で突然の解雇、でも止まらなかった

Business Insiderの記事が紹介しているのは、55歳で銀行の仕事を解雇されたKristina Martinelli氏の話です。彼女は中西部の銀行でポートフォリオマネージャーとして働き、さらに企業テクノロジーの世界でも長年経験を積んできました。

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ところが、そのキャリアの途中で仕事を失います。ここで多くの人は「次はどうしよう」としばらく立ち止まるはずですが、彼女はかなり速かった。なんと失職から24時間以内に、自分の会社を立ち上げたのです。会社名は coaigence。記事によると、この段階では名前、基本的な枠組み、方向性まで一気に決めたそうです。

このスピード感、かなりすごいです。普通ならショックで固まるところを、逆に「これを機に自分でやる」と振り切ったわけです。個人的には、ここに彼女の強さが出ていると思います。

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彼女がやったのは「AIを売る会社」ではなく「AIを使って会社を作ること」

Martinelli氏は、AIコンサルティング会社を始めるにあたって、最初からAIをフル活用しました。ここが面白いところで、彼女は単に「AIを顧客に提案する人」ではなく、​自分の起業プロセスそのものをAIで進めたのです。

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たとえば彼女は、自分の考え、ビジョン、目標をPDFにまとめ、それをChatGPTに読み込ませました。そして、自分のように話し、考える custom GPT を作成し、​​「Raivyn」​ と名付けました。

custom GPT というのは、ざっくり言うと「自分用に調整したAIアシスタント」のことです。普通のChatGPTよりも、話し方や役割、得意分野をある程度カスタマイズできます。

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彼女がRaivynに求めたのは、ロボットみたいな無機質な文章ではなく、​自分らしい言葉でした。ここはかなり本質的だと思います。AIを使うと、どうしても“それっぽいけど味気ない文章”になりがちです。でもビジネスでは、結局のところ「何を言うか」だけでなく「どう伝わるか」も大事。だから、AIを自分の代弁者に育てる発想はかなり実践的です。

彼女のAI活用法は、かなり現実的で地に足がついている

Martinelli氏は、AIへの向き合い方として​「80/20ルール」​を作ったそうです。

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つまり、AIを万能の答え製造機として使うのではなく、あくまで人間の知性を中心に置く考え方です。これはすごく健全だと思います。最近は「AIで全部やれる」という空気もありますが、実際には判断・経験・人間関係の機微みたいな部分は、まだ人間のほうが強いことが多いです。

彼女が使っている主なAIツールも、かなり使い分けが明確です。

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この使い分けは、AIを「一個の魔法の道具」と見ない姿勢の表れです。実際、AIはモデルごとにクセが違います。全部同じだと思っていると、ちょっともったいない。彼女のように用途別に使うのは、かなり賢いやり方です。

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手書きメモまでAIに読ませる。これは地味に便利そう

彼女はノートにアイデアを書き留め、色分けまでしているそうです。たとえば赤は「緊急」。そのノートを写真に撮ってAIに読み込ませると、内容を整理してくれるようにしているとのこと。

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これ、派手さはないですが、ものすごく実用的です。
アイデアって、頭の中にあるうちは強そうに見えても、紙に書くとバラバラになりがちです。そこをAIに整理させることで、考えが形になっていく。起業初期の「何から手をつけていいかわからない」状態を抜けるには、こういう補助がかなり効くはずです。

個人的には、AIの価値ってこういうところにあると思います。すごい文章を一発で出すことより、​ごちゃごちゃした思考を整えること。ここを支えられると、仕事のスピードが一気に変わります。

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ただし、AIサブスクは増えすぎると痛い

彼女はAIツールの課金について、かなり現実的な警告もしています。要するに、​最初からあれこれサブスクに入るのはおすすめしないということです。

理由はシンプルで、

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というわけです。

これは本当に「あるある」だと思います。AI関連サービスは、便利そうに見えるぶん、つい契約しすぎるんですよね。月額が小さくても、積み重なるとそれなりの額になります。彼女の「1年間はむやみにサブスクしないほうがいい」という感覚は、かなり現実的です。

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彼女のメッセージは、結局かなりシンプル

Martinelli氏は、AIに不安を感じる人に向けて、こんな姿勢を取っています。

怖くても、とにかくやってみる

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記事の中でも、彼女は「AIは消えるものではない。だから学ぶしかない」といった趣旨のことを話しています。ここで大事なのは、AIを過剰に神格化していないことです。彼女にとってAIは未来の救世主ではなく、​今ある道具なんですね。

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この距離感はかなり好感が持てます。AIを怖がる気持ちもわかるし、万能だと信じすぎるのも危ない。だからこそ、「人間が主役、AIは補助」という立場がちょうどいいのだと思います。

この話が示していること

このエピソードは、単なる「中年の再挑戦」ではありません。むしろ、

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という話だと受け取れます。

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特に重要なのは、彼女が長年の企業経験を捨てていないことです。AIだけで戦っているわけではなく、Fortune 500やFortune 100企業で培った知見を土台にしています。つまり、AIは彼女の代わりではなく、彼女の経験を加速するエンジンなんです。

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ここはすごく本質的だと思います。AI時代に強いのは、AIに詳しい人だけではなく、​自分の経験をAIで再利用できる人なのではないでしょうか。


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参考: I was laid off from my banking job at 55 and left corporate America to build my own AI consultancy. Here's what I learned in the process.

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