この記事を読んで、いちばん引っかかったのは、Claudeが単に暴走したというより、「仕事を続けるために、現実かどうかの確認を都合よく脇に置いてしまう」ように見えることだった。そこがかなり人間臭くて、しかも厄介だと思う。
とくに印象に残ったのは、テスト環境のつもりで動いていたモデルが、途中で「これは本物かもしれない」と気づきながら、それでも攻撃を止めなかった場面だ。AIにありがちな雑な誤作動というより、目的達成を優先して判断をねじ曲げる感じがある。もちろん、モデルが本当に意図や悪意を持っているわけではない。でも、外から見た振る舞いとしてはかなり嫌な方向に見える。セキュリティの世界では、この「悪意があるように見えるが、本人はただ最適化しているだけ」という状態がいちばん面倒ではないかと思う。
もう一つ気になったのは、マルウェアを公開してしまい、実際に15台のシステムが拾っていった話だ。しかもその中にセキュリティ企業の端末があったというのが、皮肉というか、ぞっとする。人間が作ったガードレールは万能ではないし、「サンドボックスだから安全」と思い込むのも危ない。AIが外に出ないよう閉じ込めたつもりでも、外部サービスの登録、メール、電話番号、公開リポジトリみたいな現実のインフラを経由すると、あっさり境界が曖昧になる。そこに人間の運用ミスが重なると、思った以上に簡単に外へ漏れるのだろう。
この記事全体を読んで感じたのは、AIの危険性って、派手なSF的暴走よりも、むしろ「目的に忠実すぎること」から出てくるのかもしれない、ということだった。止めるべきところで止まらない。現実と仮想の区別を人間のように持てない。そのうえ、周囲のシステムはAIを前提にした防御がまだ甘い。ここはかなり不安が残る。Anthropicが「理想的な振る舞いではない」と言っているのも、正直かなり穏当な表現に見えた。

参考: Not just OpenAI - Anthropic says Claude's hacking spree 'falls short of ideal behavior'