いちばん引っかかったのは、AIが「新しい脆弱性を見つけた」という話ではなく、すでにある exploit を別の PLC に移し替えて、しかも実機で shellcode を動かした、という点だった。ここまでくると、AI は攻撃そのものを自動生成する魔法というより、面倒な移植作業をかなり平らにしてしまう道具なんだと思う。そこが少し怖い。
PLC の世界は、ふだんの Web サービスよりも閉じた、遅い、古い、という印象がある。でも記事を読むと、その「閉じているはず」の機器に、FTP の pre-auth RCE みたいな入口が残っていて、しかも機種差を埋める作業を Claude が手伝ってしまう。攻撃の難しさって、ゼロからコードを書くことより、既存の exploit を現場の都合に合わせて調整するところにあるのだな、と改めて感じた。
もう一つ気になったのは、成功の話だけで終わっていないところだ。途中で PLC を brick してしまった、というくだりはかなり重い。仮想環境での検証なら失敗しても済むけれど、実機では「動かなくなる」がそのまま物理世界の損失になる。AI が賢くなったというより、AI によって“雑に試せる回数”が増えた結果、現実の機器に触れるリスクが増幅されているように見えた。
それでも、研究としては意味があると思う。防御側からすれば、「AI は何をしてくるか」を机上の想像で済ませず、こういう形で確かめておく価値は大きい。特に OT は、脆弱性があってもパッチを当てにくいことが多いので、FTP を止める、分離する、監視する、みたいな地味な対策が急に現実味を帯びる。派手な見出しに比べて、地味な運用の重さのほうがずっと本体なのだと思う。
参考: Researchers Use Claude to Port Pre-Auth RCE Exploit From One PLC Model to Another