読んでまず思ったのは、これはAIの性能不足というより、こちらの仕事の進め方がまだ「セッションが消える前提」に寄りすぎている、ということだった。
AI coding agent は毎回新しい相手みたいな顔で出てくる。昨日まで何度も話した設計の前提を、今日また説明し直す。あれはたしかに面倒だし、地味に判断の質も落ちると思う。
この記事で面白かったのは、記憶を“賢く”持たせるというより、決めたことをコードの近くに置いてしまう発想だった。docs/ の中に facts, decisions, guardrails, skills を分けて、しかも Git で履歴を残す。AI の記憶力に期待するのではなく、「次に読むべきものが、毎回ちゃんとそこにある」状態を作る。かなり実務的だし、むしろ人間にも効くやり方だと思う。
ただ、そこまでやっても万能ではない、とはっきり書いているのも好感が持てた。結局のところ、最初の聞き取りも更新も人間がやる。つまり“記憶の自動化”というより、“忘れにくい手続き化”に近い。ここを神話っぽく盛らずに、更新されなければただの docs/ フォルダになる、と言い切っているのは誠実だと思う。
個人的には、AI に足りないのは知能よりも「継続して共有される前提」なんだな、とあらためて感じた。コードレビューやテストの代わりにはならないけれど、少なくとも「前回何を決めたっけ」を毎回ゼロから掘り返す苦労は減らせそうだし、そこを雑に見ない姿勢はかなり好きだった。