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Anthropicの最強モデル「Mythos」が部分復活、でも話はまだ終わっていない

Anthropicの最新AIモデル「Claude Mythos 5」が、米政府とのやり取りを経て、​一部の米企業と政府機関に再び使えるようになった。WIREDの記事は、この“部分復活”が単なるアクセス再開ではなく、​米国のAI規制がどこまでモデルの公開を左右するのかを示す出来事だと伝えている。

この記事のポイント

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この話、かなり面白いです。AIの進化そのものより、​AIを誰が、どこまで、どんな条件で使わせるかがニュースの中心になっているからです。技術の話に見えて、実際はかなり政治の話。いや、もう完全に政治の話です。

Anthropicの「Claude Mythos 5」は、同社が持つ中でもかなり強力なモデルで、特にサイバーセキュリティ用途で重要視されていました。今回、米政府はその利用を緩め、​選ばれた米企業や政府機関にアクセスを戻すと判断しました。米商務長官のHoward Lutnick氏は、Anthropicとの協議を経て「適切な安全策がある」と判断したと書簡で伝えたそうです。

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ただし、ここで大事なのは「全面解禁」ではないことです。誰でも使えるわけではなく、あくまで政府が認めた一部の組織だけ。しかも、同社の一般向けモデル「Claude Fable 5」については、まだ何もはっきりしていません。Anthropic自身も、Fable 5の一般利用再開に向けて政府と交渉を続けているとコメントしています。

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停止のきっかけは、かなりややこしいものでした。米政府は2週間ほど前、Anthropicに対して、MythosとFable 5へのアクセスを制限するよう求めました。理由は、​外国籍の利用者のアクセスを厳しく制御する必要があると判断したからです。しかもその制限は、米国内で働いたり暮らしたりしている人にまで及ぶ、かなり強いものだったようです。

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Anthropicはこれを受けて、モデルへのアクセスをいったん全面停止しました。今回の新しい判断では、政府が承認した組織は、​外国籍の従業員にもMythosを使わせてよいことになり、Anthropic自身も自社の外国籍社員にアクセスを認められるようになりました。ここは実務上かなり大きいです。グローバル企業にとって、国籍で利用者を切る運用は現実的ではない場面が多いからです。

背景には、政府側の懸念がいくつも重なっていました。WIREDによると、Anthropicが中国とつながりがあると見られた韓国の通信会社にアクセスを許していたことが、トランプ政権の警戒を強める一因になったそうです。さらに、AmazonとNSA(米国家安全保障局)も、Fable 5はjailbreakされる恐れがあると懸念を示していました。

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jailbreakというのは、AIに本来させたくないことを、抜け道を見つけてやらせることです。たとえば、危険な情報を出さないようにしているAIに、工夫して制限を突破させるようなイメージです。これが起きると、強力なモデルほど危ない。だから政府が神経質になるのも分からなくはありません。とはいえ、ここまで露骨に公開停止まで持っていくのは、かなり強い介入だとも感じます。

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Anthropic側も、ただ黙っていたわけではありません。サイバーセキュリティとAI safetyの上級メンバーをワシントンD.C.に送り込み、政府関係者と協議したとのことです。社内でも、Tom Brown氏や公共政策責任者のSarah Heck氏が交渉を主導していたようです。これ、いかにも今のAI企業らしい光景です。研究者だけでなく、政策担当や安全担当が前面に出て、政府と直接やり合う。もはやAI企業は、ソフトウェア会社というより外交プレイヤーに近い。

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今回の再開はAnthropicにとって追い風ですが、同時に業界全体に嫌なメッセージも残しました。OpenAIはその直後、次期GPT 5.6のリリースを遅らせたと発表しています。この記事では、その背景としてトランプ政権からの要請があったと説明されています。つまり、​モデルを出すタイミングすら政府の意向に左右される空気が濃くなっているわけです。

個人的には、ここが一番ゾッとします。AIの世界では「早く出した者勝ち」の圧力が強いのに、その裏で「出す前に政府のOKが必要かもしれない」というルールがじわじわ入り始めている。安全のためには理解できるけれど、運用を間違えると、技術開発そのものが政治交渉に飲み込まれてしまう。そういう危うさがあります。

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Anthropicは今年、別件でもトランプ政権を訴えていました。軍事契約者が同社のAIをどう使えるかをめぐる供給網リスクの指定に反発したためです。つまり、今回の件は単発のトラブルではなく、​Anthropicとホワイトハウスの関係がかなりギクシャクしていることの一部でもあります。

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それでも、今回の「部分復活」は意味があります。少なくとも米政府は、全面禁止ではなく、​条件つきでの再開という落としどころを探ったわけです。これは、今後のAI政策にとってひとつの型になるかもしれません。強力なモデルは無条件で広く配るのではなく、監督の効く範囲で段階的に解放する。たぶん、これが今後の現実解になっていくのではないかと思います。

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ただし、私はまだ安心はできないと思っています。今回の話は、企業が「安全策を整えました」と説明し、政府が「それならOK」と返したところで終わっていません。むしろ始まりです。次に同じような高性能モデルが出てきたとき、また政府が止めるのか、誰が判断するのか、どこまでが許容範囲なのか。そのルールが曖昧なままだと、開発側も利用側も振り回されます。

AIは便利ですが、強くなるほど社会制度との摩擦も増えます。今回のAnthropicの件は、その摩擦がかなり露骨に表に出た例でした。技術の進歩が速いだけに、ルール作りが追いついていない。そんな焦りが、この記事の行間からじわじわ伝わってきます。

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参考: Trump Administration Allows Anthropic to Release Mythos to Select US Organizations

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