Claude Code は、放っておくと気持ちよく走り続ける。で、そのまま最後にまとめて見せてきて、こちらが「そこじゃない」と言う。これがいちばんもったいない。途中報告、つまり進捗頻度を先に決めておくと、この事故がかなり減る。
大事なのは、毎回こまかく監視することではない。どの区切りで一度止めるかを決めることだ。たとえば「3ファイルごと」「1つの機能の骨組みができたら」「削除候補を出したらその場で止まる」のように、報告のタイミングを先に置く。そうしておくと、Claude Code が黙って走り切ってしまう前に、方向だけ直せる。diff がふくらみすぎる前に止められるのも強い。
筆者は昔、これを甘く見て手戻りした。文書整理の下ごしらえを Claude Code に任せたとき、「古い版を探して、重複っぽいものをまとめて」とだけ投げたら、かなり進んだあとでまとめて報告してきた。整理のやり方は悪くなかったが、こちらは途中で「この分類、案件ごとに切るべきだった」と気づいていた。途中報告の合図がなかったせいで、修正が大きくなった。あれは普通にもったいない。
やることは単純だ。最初の依頼に、作業の進め方と止まり方を入れる。Claude Code は、ゴールだけでなく区切りも与えたほうが扱いやすい。
この作業は、2つの単位ごとに途中報告してください。
各単位が終わったら、いったん止まって、
- 何をやったか
- 何が残っているか
- 次に進む前に確認したい点
を短く出してください。
確認が返るまで次の単位には進まないでください。
たとえばファイル整理なら、こういう頼み方がしっくりくる。
Downloads フォルダを整理したいです。
まずは重複しそうなファイルと不要そうなキャッシュを洗い出してください。
20件見つけるごとに途中報告して、私の確認を待ってください。
削除は勝手に進めず、候補一覧だけ出してください。
コード作業なら、もっとはっきり区切るとよい。
次の順で進めてください。
1. 既存コードを読んで、変更箇所の候補を整理する
2. その段階で途中報告する
3. 承認が出たら実装に入る
4. 実装後、テストを走らせる前にもう一度報告する
一気に最後まで進まず、段階ごとに止まってください。
この「止まって報告する」を入れるときは、回数より区切りの質が大事だ。1行ごとに止める必要はないし、逆に長すぎると意味がない。おすすめは、作業の意味が変わるところで止めることだ。たとえば、調査が終わったら止める。削除候補を出し終えたら止める。実装方針が固まったら止める。ここで止めると、次の判断がしやすい。
逆にまずいのは、「とりあえず最後まで行ってから見ればいい」と任せることだ。Claude Code は細かいタスクを連続でこなすのが得意だが、そのぶん、前提のズレを抱えたまま進みやすい。進捗頻度を決めていないと、ズレたまま大きくなる。あとから戻すのは地味にだるい。
もうひとつ、途中報告を頼むときに曖昧にしないことも重要だ。「適当に途中で教えて」では弱い。何を報告するか、何を確認待ちにするかまで書く。たとえば以下の3点を入れると安定する。
これをそのまま依頼文に落とせばいい。
各セクションの処理が終わるたびに途中報告してください。
報告には、実施内容、未完了の点、こちらの確認が必要な点を含めてください。
こちらが「続けて」と言うまで次へ進まないでください。
ここで少し厳しめに言うと、途中報告は「遠慮」ではない。暴走防止装置だ。Claude Code に自由にやらせすぎると、成果物は見栄えがよくても、途中で方向を外していることがある。特にファイル移動、削除、文書の一括書き換え、依存関係の変更みたいに戻しづらい作業では、進捗頻度を低めにしておくほうが安全だ。
筆者がよく使う感覚としては、こんな分け方がちょうどいい。
最初の報告は「方針が合っているか」の確認に使う。二度目の報告は「実際の変更が妥当か」の確認に使う。最後の報告は「残件がないか」の確認に使う。これだけで、作業の事故率はかなり下がる。とくに非エンジニアの用途では、最初の報告を早めに置くのが効く。整理対象の見立てが違うと、全部の後工程がズレるからだ。
注意したいのは、途中報告を求めたのに、実際には「途中で止まらない」指示になっていることだ。たとえば「途中報告してください」とだけ書くと、作業は続いたまま最後に報告されることがある。これでは意味がない。止める条件を明記する必要がある。「報告後は待機」「確認が来るまで次へ進まない」を入れる。ここを外すと、期待した運用にならない。
もう一段うまくやるなら、報告の粒度を作業の危険度に合わせる。安全な調査なら大きめの区切りでいい。削除や上書きが入るなら、かなり細かく止める。文書作成なら章ごと、ファイル整理ならフォルダごと、コード修正なら機能単位ごと、という具合だ。雑に一律へそろえるより、ずっと実用的だ。
最後に、途中報告は単体の小技では終わらない。これを入れると、次にやるべきことも見えやすくなる。たとえば「削除前に候補を一覧化する」「実装前に方針を確定する」「書き換え前に差分の影響範囲を確認する」といった、別の慎重さと相性がいい。Claude Code を黙って働かせるより、区切って確認しながら進めるほうが、結局は速い。手戻りが減るからだ。
使い始めるなら、まずは一つだけ決めればいい。「何件ごとに止まるか」ではなく、「どこで止まるか」を決める。そこが決まれば、進捗頻度はあとから調整できる。黙って進みすぎる癖は、最初の一言でかなり抑え込める。