読んでまず思ったのは、これは便利そうだが、同時にかなり怖い、ということでした。人事と会計のデータは、会社の中でも特に触ってはいけない空気が強い領域です。そこに外部のAI agentsが入れるようになる、というのは「業務が自動化できる」という軽い話ではなく、権限設計そのものをAI向けに作り直す話に見えます。
面白いのは、Workdayが単に「AI対応しました」と言っているのではなく、MCP serverやSQL access、agent runtimeをGAにした点です。MCPは、ざっくり言えばAIが外部ツールやデータに安全に接続するための共通の窓口みたいなものですが、ここで大事なのは“つなぐ”より“誰の権限で、何を見せるか”だと思います。記事でもユーザー権限の範囲で動くとありましたが、この一文がいちばん重い。人事や財務の世界では、機能が増えることより、見えてはいけないものが見えないままであることのほうがずっと大事だからです。
一方で、これが広がると「AIが勝手に何かをする」不安も増えるはずです。便利さと危うさが同じドアから入ってくる感じがする。たぶん今後の差は、AIがどれだけ賢いかより、どれだけ細かく止められるか、監査できるか、説明できるかに寄っていくのではないかと思います。Workdayのような基幹システムがその方向に舵を切るのは、業界全体でもかなり象徴的です。
参考: Workday goes headless, opening its HR and finance data to outside AI agents