この記事を読んでまず思ったのは、Anthropic がやろうとしているのは「機能追加」よりも「迷わせない設計」なのだということだった。チャットと cowork のような作業モードが分かれていると、ユーザーは毎回「どっちで始めるべきか」を考える。その判断コストをモデル側に寄せてしまう。発想としてはかなり筋がいいし、LLM の使い方としては自然でもあると思う。
ただ、そこには少し引っかかりもある。選択肢を減らすのは気持ちいい一方で、何を自動で振り分けるかをモデルに任せるほど、「今、何が起きているのか」が見えにくくなる。とくに Docs や Slides の beta のように、出力の種類が少しでも増えると、ユーザーは便利さと引き換えに、裏でどうルーティングされているのか分からないまま使うことになる。ここはプロダクトの賢さが、そのままブラックボックス化にもつながるんじゃないかと思った。
それでも、今回の記事でいちばん面白かったのは、Anthropic が「人は正しく選べていない」と見切っているところだ。これ、UI の話に見えて、実は人間の判断よりモデルの推定のほうが当てになる場面が増えてきた、という宣言に近い。ちょっと強い考え方だけれど、AI 製品はこの方向にどんどん寄っていくのかもしれない。人にメニューを見せるより、最初から裏で片づける。便利さは増えるけれど、ユーザーが自分で把握する余地は減る。そのバランスをどう取るかが、これからの AI っぽい UI の面白さだと思う。
参考: Anthropic bets users were choosing wrong. So it removed the choice.