「ターミナルは怖いから触らない」は、Claude Code を使うときだけはかなり損だ。
ただし、だからといって黒い画面の達人になる必要はない。覚えるのは本当に少しでいい。cd で場所を変える、claude を起動する、終わるときは exit。まずはこれだけで回る。
Claude Code は Anthropic の CLI コーディングエージェントだが、名前に反してエンジニア専用ではない。フォルダの中身を整理したい、散らかった文書をまとめたい、不要ファイルを減らしたい。そういう用途でもかなり使える。大事なのは、ターミナルを「操作する」ことではなく、Claude Code に「そのフォルダで何をしてほしいか」を短く伝えることだ。
最初にやることは単純だ。作業したいフォルダに移動して、Claude Code を起動する。
cd ~/Documents/案件A
claude
ここで cd は「そのフォルダに入る」コマンド、claude は Claude Code を立ち上げるコマンドだ。フォルダ名のところは自分の環境に合わせればいい。たとえば書類整理なら ~/Documents/2025年申請 でもいいし、写真整理なら ~/Pictures/整理対象 でもいい。
起動したら、あとは普通の日本語で頼めばいい。むずかしい書き方はいらない。むしろ、最初から気合いを入れて長文を書きすぎると、かえって迷う。
このフォルダの中を見て、重複していそうなファイル名や、不要そうな一時ファイルを洗い出して。
削除はまだしないで、候補だけ一覧にして。
この案件フォルダの中の資料を、提出用と下書き用に分けて整理したい。
まずは現状の構成を確認して、どう分けるのがよさそうか提案して。
このフォルダ内の Markdown ファイルを見て、見出しの重複や表記ゆれを整えたい。
いきなり全部書き換えず、変更案を出してから進めて。
この「いきなり全部やらせない」がかなり重要だ。筆者は以前、雑に「整理して」とだけ投げて手戻りしたことがある。Claude Code は何を整理するのか、どこまで変えていいのかが曖昧だと、確認が増える。確認が増えると、こちらの意図を説明し直すことになる。地味にだるい。だから最初は、読む・提案する・差分を出す、の順で進めるほうが安全だ。
ターミナルが苦手な人ほど、操作を増やさないほうがいい。覚えるのは次の3つで十分だ。
cd フォルダの場所
claude
exit
cd で作業場所に入る。claude で呼び出す。終わったら exit で閉じる。
これ以上の操作を最初から詰め込む必要はない。ls で中身を見る、pwd で今いる場所を確かめる、ぐらいは覚えておくと安心だが、必須ではない。
ls
pwd
ls はフォルダの中身を見るコマンド、pwd は今いる場所を表示するコマンドだ。迷子になったときだけ使えばいい。
Claude Code に頼むときは、長文の美文よりも、最低限の条件をはっきり書くほうが効く。
たとえばファイル整理なら、こう書く。
目的: このフォルダ内の不要ファイルを減らしたい。
範囲: 画像とPDFだけを見る。
禁止事項: 本番で使うファイルは消さない。削除前に候補を一覧にする。
文書作成なら、こうだ。
目的: このメモを読みやすい社内向け文書に直したい。
範囲: 見出し、箇条書き、用語の表記を整える。
禁止事項: 事実関係は勝手に足さない。
この書き方のいいところは、Claude Code が勝手に広げすぎない点にある。
「何でも整理して」と頼むと、全部が対象になる。フォルダの構成、ファイル名、本文、場合によっては内容まで触ろうとする。人間の感覚では「ちょっと整えて」でも、機械には広すぎる。広く頼むと広く動く。そこを最初に締める。
一番まずいのは、作業前に対象フォルダを確認しないことだ。
似た名前のフォルダが並んでいる環境で、違う場所に入ったまま claude を起動すると、当然だが別のものを見にいく。これで「思っていたファイルと違う」という事故が起きる。痛い。手戻りも増える。だから、迷ったら pwd で確認してから始めるのがいい。
もう一つある。削除系の依頼を、いきなり強く出すことだ。
不要なファイルを全部消して
これは乱暴すぎる。キャッシュ、下書き、重要な添付、どれも似た顔をしていることがある。まず候補を出させる。次に自分で見る。それから消す。
筆者は一度、同じような名前の下書きと提出版を雑に扱って、あとでどっちが正本か分からなくなった。以後、削除前に一覧を出させるのを習慣にしている。
Claude Code は「全部おまかせ」の道具に見えるが、実際には小さい作業を任せるほうが向いている。
たとえば、こんな使い方がちょうどいい。
このフォルダのファイル名を見て、表記がバラバラなものを揃えたい。
提案だけして、実際の変更はまだしないで。
この文章の重複表現を抜きたい。
意味を変えず、削る候補を出して。
この資料フォルダで、最後に触るべきファイルを3つだけ教えて。
こういう頼み方なら、細かいコマンドを覚えていなくても前に進める。
非エンジニアの人が使うなら、なおさら「小さく聞く」が正解だ。案件フォルダの整理、報告書の下書き、長いメモの要約、写真やPDFの棚卸し。どれも、小さく頼んで、小さく直すのが向いている。
操作を増やしたくないなら、流れは固定でいい。
claude を起動するexitこれで十分だ。
細かいショートカットや高度なオプションは後回しでいい。むしろ最初は触らないほうがいい。使う側が増やすべきなのはコマンドではなく、依頼の具体性だ。
最後にひとつだけ。Claude Code は、雑に触ると強い道具ではあるが、雑に任せても勝手に安全にはならない。そこを勘違いすると詰まる。逆に言えば、作業場所を決める、短く頼む、削除前に止める。この3つだけ守れば、ターミナルが苦手でも十分に使える。次に覚えるなら、git diff で変更を見る話に進むと、かなり安心して扱えるようになる。