正直、これは「AIでコードを書く」話というより、「AIの作業の見える化」を本気でやりにきたんだな、という印象だった。
Slackにエージェントを呼ぶだけなら、もう似た仕組みはある。でもこの記事で気になったのは、会話の流れをそのままタスクの場にして、差分やプレビューまで同じ場所で追えるようにしている点だ。AIに仕事を投げっぱなしにしない設計になっているのが面白い。
ここで少し腑に落ちたのは、AIエージェントの導入で本当に厄介なのは「賢さ」より「いつ、誰が、どこで止めるか」だったんだろうということ。コードを書けるだけならデモは派手でも、実運用では怖い。特に本番への反映は、人間の承認を挟むと明記しているのは当然に見えるけれど、逆に言うとそこを外すと一気に危うくなる。便利さと統制の綱引きが、かなり露骨に見える。
一方で、Slack自体がこういう“AIの作業場”になっていくのは、かなり自然でもあると思った。開発の文脈って、コードだけじゃなくて「このバグ、誰が見つけたか」「どの画面の話か」「さっきの会話で何を決めたか」が混ざっている。そこを別のツールに飛ばさず、チャットの中で完結させようとするのは、現場の摩擦を減らす方向として筋がいい。
ただ、便利になるほど、チャットがそのまま実行ボタンになる怖さも増える。Slackはもともと軽い会話の場なので、そこに“本番に近い作業”が乗ると、心理的なハードルが下がりすぎないかは少し引っかかった。承認フローがあるとはいえ、日常会話の延長で重要操作が進むのは、慣れるほど危なそうでもある。
それでも、コードを書く人だけの機能に閉じていないのは興味深い。PMや法務、IT部門まで広げると言っているので、これは開発支援というより「会社の仕事をエージェントに渡すための共通UI」を狙っているのだと思う。もし本当にそうなら、今後の競争はモデルの性能だけではなく、どの画面に、どんな確認手順で、どれだけ気持ちよく組み込めるかに寄っていくのではないか。