Anthropicの「Claude Code」デスクトップ版に、Webブラウザーがそのまま入った。これ、地味に見えてかなり大きい変更だと思う。AIコーディングツールって、普段はターミナルやエディタの中で完結しがちだったのに、そこへ外部サイトやドキュメント、イシュートラッカーまで“同じ画面の中”で扱えるようになったわけだ。

今回のポイントは、「Claudeにコードを書かせる」だけでなく、「Claudeに画面を開かせて確認させる」流れが、アプリの中で完結しやすくなったことだ。
たとえば、仕様書を読みながら実装を進めたいとき。GitHub Issuesを見つつ、関連ドキュメントも見つつ、ローカルの開発画面も見つつ、という作業は普通にある。これまではブラウザーとIDEとAIツールを行ったり来たりしていたはずだが、内蔵ブラウザーがあると、Claude Codeの中に「作業机」が一つ増えた感じになる。
個人的には、この「行き来の回数が減る」のがかなり効くと思う。AIツールの使い勝手って、賢さそのものより、画面遷移の少なさで体感が大きく変わることが多いからだ。
ブラウザーペインを開く方法は3つある。ツールバー右端にある地球アイコンを押す、Windowsなら Ctrl + Shift + B を押す、あるいは外部リンクをクリックしたときに出るダイアログで[アプリで開く]を選ぶ、という流れだ。
しかもこのブラウザーペインはタブ対応。つまり、あるタブにAPI仕様書、別のタブにイシュートラッカー、さらに別のタブにデザイン確認用のページ、という置き方ができる。AIにとっても、人間にとっても「今どれを見ていたっけ?」が減るのはありがたい。
記事では、HTML要素を選択したり注釈を加えたりしてClaudeに意図を伝えられること、さらにはClaudeにクリックさせたりスクリーンショットを撮らせたりしながら成果物を確認できる、と説明されていた。ここはかなり面白い。要するに、Claudeが単に文章を読むだけでなく、画面を見て、触って、確かめる方向に寄っている。

便利になればなるほど怖いのが、勝手にいろいろ触られることだ。その点、Anthropicはかなり慎重にしている。


外部ページでのクリックや入力といった書き込み操作は、すべての権限モードで安全性分類器がチェックする。怪しいと判断されれば確認が求められる。また、「Auto」「Bypass permissions」以外では、新しいサイトへ移動する前にドメインの許可リストも確認される。

初めて外部サイトで操作するときには、パーミッションカードが出てきて、[1回だけ許可][常に許可][拒否]から選ぶ仕組みだ。しかも承認はサブドメインごとに必要。これは少し面倒にも見えるけれど、雑に全許可して事故るよりずっとマシだと思う。


それでも、やらないことは明確に線引きされている。承認済みのサイトであっても、ユーザーの入力なしに商品を購入したり、アカウントを作成したり、CAPTCHAを回避したりはしない。ここは安心材料としてかなり重要だ。



もう一つ大きいのが、内蔵ブラウザーのプロファイルが、普段使っているWebブラウザーとは分離されている点だ。サンドボックス、つまり隔離された環境になっていて、保存済みのログイン情報や閲覧履歴は引き継がれない。


これは「ログイン済みのサービスをそのまま操作してほしい」という用途には向かないが、逆に言えば、開発・検証・調査にはかなり向いている。身元情報が要らないサイトを見たり、アプリの挙動を確認したりするにはちょうどいい。


逆に、いつものChromeやEdgeに保存してあるアカウント情報を使わせたいなら、既存の拡張機能「Claude in Chrome」を使うべき、と記事は案内している。ここは用途分けがはっきりしていて、むしろ好感が持てる。何でも一つに押し込めるより、危ないところは分離しておくほうが正しい。



今回の追加は、見た目には「ブラウザーが入っただけ」だ。でも実際には、AIエージェントの使い方を一段前に進める変更だと思う。


AIがコードを書く。これはもう珍しくない。次に来るのは、AIが仕様を読み、関連情報を開き、画面を確認し、必要なら修正案まで出す流れだろう。今回のClaude Codeは、その“見ながら作業する”部分をかなり現実的にしている。


もちろん、万能ではない。外部サイトでの操作には制限があるし、ログインが必要な作業は別手段が要る。それでも、「AIが外の情報を見に行く」ことがアプリ内で自然につながるのは大きい。AIツールが単なるチャット欄から、かなり実務的な作業環境に近づいてきた感じがある。

個人的には、こういう機能は派手な新機能より後からじわじわ効いてくるタイプだと思う。最初は「へえ」で終わっても、数日使うと戻れなくなるやつだ。特に、開発中にドキュメントやIssueを何度も見る人には刺さるはずだ。