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DellとKioxia、2RUサーバーに約10PBを詰め込む時代へ

キーポイント

2RUなのに約10PB、まず数字が頭おかしい

DellとKioxiaがやったことを一言でいうと、​​「かなり薄いサーバーに、とんでもない量のSSDを押し込んだ」​という話です。

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2RUというのは、データセンターで使うラックサーバーの高さを表す単位で、ざっくり言えば​「そこそこ薄い2段分のサーバー」​くらいのイメージです。
その中に入った容量が約9.8PB。PBはペタバイトで、1PBは1000TBですから、これはもう一般的な感覚だと桁が大きすぎてピンと来ません。
単純に言えば、​めちゃくちゃ大量のデータを、かなり小さな場所に詰め込めるようになったということです。

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個人的には、このニュースは「SSDがHDDを置き換える」とかいうレベルを飛び越えて、​**“ストレージの密度競争がかなり本気になってきた”**と感じます。見た目はただのサーバーでも、中身はほぼデータ倉庫です。

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中身は40本の245.76TB SSD

このサーバーに入っているのは、KioxiaのLC9という高容量QLC SSDです。
QLCは1つのセルに4bit記録する方式で、ざっくり言うとたくさん入る代わりに、速度や耐久性の設計に工夫が必要なタイプです。用途としては、超高速な作業用というより、​大容量を安く・小さく持ちたい領域に向きます。

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DellはこのLC9を、​E3.L form factor245.76TB NVMe SSDとして40本使い、​PowerEdge R7725xdに搭載しました。
NVMeは、SSDを高速に使うための仕組みの名前です。昔のSATA SSDよりずっと速い接続方式だと思えば十分です。

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40本 × 245.76TB で、合計は9.8PB
記事タイトルの「10PB」は少し丸めた言い方で、実態としてはほぼ10PB級という理解が正確です。

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サーバーだけでなく「出入口」も強い

面白いのは、ただ容量を盛っただけではないところです。
このシステムは最大5本の400Gbps NICをサポートします。NICはネットワークカードのこと。つまり、サーバーに入ってきたデータを外へ高速に送り出す出口もかなり太いわけです。

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ここが重要で、いくら中に10PB近く積んでも、外に出す道が細ければ結局つかえます。
でも今回は、​大容量化と高速ネットワークをセットで考えている。これはAIインフラや大規模データ基盤ではかなり筋がいい設計だと思います。

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DellのArun Narayanan氏は、この組み合わせがAI infrastructureを性能を落とさずにスケールさせるのに必要なストレージ密度と電力効率を提供すると述べています。
つまり、​​「でかいけど、ただでかいだけではない」​という売り方です。

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1ラックで196PB級も見える

記事では、こうしたサーバーを20台ラックに入れると最大196PBもあり得る、と触れています。
もちろん実際には電力、冷却、配線、設置、運用の都合があるので、そんなに単純ではありません。
でも、​ラック1本が巨大なデータ湖みたいになる世界が現実味を帯びてきたのは確かです。

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個人的には、ここがこの話のいちばん面白いところです。
ストレージは「速さ」だけで語られがちでしたが、今は**“どれだけ狭い場所にどれだけ入るか”**が強烈な武器になっています。データセンターの床面積ってお金そのものなので、密度が上がるのは正義なんですよね。

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背景には、256TB級SSDの競争がある

KioxiaとDellの話は単独の珍事ではなく、​256TB級SSDをめぐる業界全体の競争の一部です。

記事では、同クラスの開発を進める企業として以下が挙げられています。

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ここでいうnearlineは、超高速な最前線データではないけれど、必要なときにそこそこ素早く取り出したいデータ置き場、というイメージです。
HDDの置き換え先として見られているわけで、もしこの流れが進めば、​大容量HDDの居場所がかなり狭くなる可能性があります。

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ただし、ここは慎重に見たほうがいいとも思います。
HDDは今でも「安い・大きい・実績がある」という強みがあります。SSDが全部を即座に置き換えるというより、​用途ごとに綱引きが続くのではないでしょうか。

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これは何がすごいのか

このニュースの本質は、単に「大容量SSDが出ました」ではありません。
本当に大きいのは、​**“大容量を1台のサーバーに詰め込んでも、実用的に使える形で成立してきた”**ことだと思います。

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昔なら、PB級の容量を持とうとしたら大量のディスク筐体が必要でした。
それが今では、​2RUのサーバーにほぼ10PB
しかもネットワークも太い。
つまり、​データセンターの設計そのものが変わる可能性があります。

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こういうメリットがまとめて見えてくるのが、今回の話の強さです。

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まとめ

DellとKioxiaの発表は、ストレージ業界がどこに向かっているかをかなりわかりやすく示しています。
ポイントは、​​「速いSSD」ではなく「とんでもなく詰め込めるSSDを、ちゃんと使えるサーバーに載せた」​ことです。

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個人的には、こういうニュースを見るたびに、ストレージはもう裏方ではなく、​AI時代のインフラそのものになったんだなと感じます。
GPUばかりに注目が集まりがちですが、そのGPUにデータをどう供給するか、どこに溜めるか、どう運ぶかが勝負を決める。今回のDellとKioxiaの組み合わせは、その現実をかなり派手に見せてくれた例だと思います。

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参考: Kioxia and Dell cram 10 PB into slim 2RU server

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