長い依頼文を一発で投げると、たいていろくなことにならない。Claude Code は賢いが、材料の山をそのまま渡せば、要点がぼやけるし、余計なところまで気を取られる。だから使うのは分割投入、つまり長文の小分けだ。
やることは単純で、長い案件文書や仕様書、整理したいフォルダの事情を、章ごとに分けて渡す。いきなり全部貼らずに、「背景」「やりたいこと」「制約」「確認したい点」を別々に処理させる。これだけで、返ってくる文章の精度がかなり変わる。ファイル整理でも同じで、巨大な一覧を丸ごと食わせるより、まず重複候補だけ、次に古いものだけ、最後に残す条件だけを渡したほうが事故りにくい。
筆者は最初、議事録の原稿を長文のまま貼って「要約して」と頼み、見出しの粒度が崩れて手戻りしたことがある。全文に対して一気に指示すると、どこが重要なのかの優先順位が曖昧になる。人間でも、20ページの資料を一度に読んで的確に直すのはだるい。同じことだ。
実際のやり方は、こんな形で十分だ。
まず、次の材料はまだ要約しないで受け取ってください。
第1章: 背景
第2章: 現状の問題
第3章: 直したいこと
受け取ったら、「受領した」とだけ返してください。
こちらが次の章を送るまで、まだ全体の判断はしないでください。
Claude Code に対して、最初から「全部を処理して」と言う代わりに、受領フェーズを切るのがコツだ。長文の小分けは、単なる分割ではない。順番を作るための分割だ。
もう少し実務寄りにするなら、こんな進め方が使いやすい。
以下を3回に分けて渡します。
1回目: 目的と前提
2回目: 現在の文章またはファイル一覧
3回目: 直したい条件
1回ごとに、こちらが次を送るまで処理を止めてください。
各回の最後に、見落としそうな論点を1つだけ指摘してください。
この頼み方のいいところは、Claude Code が勝手に先回りして全体を決め打ちしにくくなる点だ。特に文書作成や整理作業では、先に細部まで書かれると、あとから前提がズレたときに全部直す羽目になる。段階を切っておけば、途中で方向修正しやすい。
ただし、分割投入は何でも細切れにすればいい話ではない。切り方が雑だと、かえって文脈が死ぬ。たとえば、文章の途中で唐突に切ると、主語と述語がつながらない。ファイル整理でも、フォルダ名だけ渡して中身の基準を渡さないと、判断材料が足りずに迷う。分けるなら、意味のまとまりで分ける。章、用途、作業単位。このへんが基本だ。
筆者がよくやるのは、最初に「何を決めてほしいか」だけを短く渡すやり方だ。
次の作業では、文章の書き換え方を決めたいです。
まだ本文は貼りません。
先に、どの情報が必要かを3項目に絞って確認してください。
これなら、先に必要な材料だけを拾える。逆に、資料を全部並べてから「どうしたらいい?」と聞くと、出力が散らばる。Claude Code は便利だが、材料の置き方が雑だと、こっちの雑さまで増幅される。
非エンジニアの使い方でも、この考え方はそのまま通る。たとえば、請求書、契約書、メモ、PDFをまとめて扱いたいなら、最初から全部の中身を一気に処理させない。まず「どの種類のファイルがあるか」、次に「重複候補だけ」、その次に「残すか捨てるかの基準」を分ける。ディスク削減でも同じで、キャッシュ、動画、古い書類を一緒くたにしないほうがいい。扱いが全然違うからだ。
分割投入で地味に効くのは、途中でやり直しやすいことだ。全文を投げると、どこで判断を誤ったのか追いにくい。章ごとに渡していれば、「第2章の前提が違う」といった修正がすぐできる。大きい仕事ほど、この差が効く。
最後にひとつだけ、やってはいけない癖を挙げる。材料を小分けにしたのに、毎回「前回の内容を全部思い出して」と雑に丸投げすることだ。それでは小分けの意味が薄い。必要なら各章の要点を短く再掲し、今回の目的だけを足す。そこまでやって、ようやく分割投入が生きる。
長文を丸ごと貼るのは、結局のところ、相手に全部の整理まで押しつけているのと同じだ。章ごとに渡せば、Claude Code ははるかに扱いやすくなる。返答の質も、修正のしやすさも、かなり違ってくる。