長い会話は、だいたい前提がこぼれて終わる。
Claude Code でも同じで、途中までうまく進んでいたのに、少し話が伸びただけで「最初に何を守る話だったか」が薄れる。そこで効くのが、長い会話の要約、あるいは節目要約だ。要するに、途中で一度立ち止まって「ここまでの前提・決定・未解決」を短く固め直す。これを入れるだけで、手戻りが目に見えて減る。
筆者は最初、これを面倒がっていた。すると何が起きるか。数十ターン後に、Claude Code が別の前提で続きを書き始める。ファイル名の方針、削除対象の範囲、文章のトーン、どれか一つでもズレると、修正が雪だるま式に膨らむ。特に文書作成やファイル整理では、会話が長いほど「前に決めたこと」が効いてくる。節目で要約させるのは、機能というより事故防止の作法だ。
やり方は単純だ。会話がある程度進んだところで、Claude Code にその場の状態を要約させる。ポイントは、ただの要約ではなく、次に続けるための要約にすることだ。要約の中に、目的、前提、決定事項、未解決事項、次にやることを入れる。
たとえば、こう頼めばいい。
ここまでの会話を、次に引き継げる形で短く整理して。
入れてほしいのは次の5点だ。
1. 目的
2. 変えない前提
3. すでに決めたこと
4. まだ迷っていること
5. 次にやること
余計な説明は削って、あとでそのまま貼れる形にして。
Claude Code を使って文書を作っているなら、要約をそのまま作業メモに転用できる。たとえば、案件ごとにディレクトリを掘って契約書の下書きを進めているときは、途中でこのように切る。
ここまでの内容を、案件メモとして残せる形で要約して。
特に、案件名、対象ファイル、確定した表現方針、未確定の論点を分けて書いて。
ファイル整理やディスク削減でも同じだ。削除対象を一通り洗ったあとで、最後に要約させる。そうすると、「何を消したか」「何を残したか」「迷って保留にしたか」が残る。あとで戻せない操作が絡む作業では、この一手間がかなり効く。
ここまでの判断を要約して。
- 削除候補
- 残す理由があるもの
- 保留にしたもの
- 次回また確認する項目
の順で整理して。
節目要約で大事なのは、会話を終わらせることではない。前提を固定してから続けることだ。ここを雑にすると、要約がふわっとした感想文になり、次のターンでまた説明し直しになる。これはかなりだるい。要約は「覚えておいて」では弱い。「この前提で進める」と明文化させて初めて使える。
筆者がやらかした失敗も、だいたいここに集約される。長い会話のあとで要約を取らず、そのまま「続けて」と投げた結果、Claude Code が古い論点を再開したり、すでに捨てた案を持ち出したりする。特に、修正文の方針を詰める途中では危ない。たとえば「やや硬めの社内文書に寄せる」と決めたのに、途中から説明調に戻る。人間なら流れで気づくが、会話が長いと機械は平気で忘れる。節目要約は、そのズレを先に塞ぐ。
コツは、要約の粒度を欲張らないことだ。長文で全部残そうとすると、結局また読む気が失せる。短くていい。次に必要な情報だけを残す。むしろ、要約は「後で見返して即座に再開できるか」で判断したほうがいい。
もう一つ、要約の対象を毎回少し変えると実用性が上がる。コード修正なら変更点と未完了のタスク、文書作成ならトーンと表記ルール、ファイル整理なら判断基準と保留項目。会話の中身に合わせて、残すべき前提が違うからだ。ここを一律にすると、要約はあるのに役に立たない、という残念な状態になる。
実務での使い方としては、一定の長さごとに節目を決めておくといい。たとえば、話題が変わる前、方針が固まった直後、削除や書き換えなど戻しにくい操作の前だ。区切りのたびに一回要約を入れる。毎ターンやる必要はない。やりすぎると会話が鈍るし、かえって流れが切れる。だが、長くなるのを放置するよりは、ずっとましだ。
最後に、要約をその場で終わらせず、次の指示にひも付けるのが肝だ。要約だけ作って満足すると、また会話が漂流する。要約のあとに、こう続ける。
では、この前提を維持したまま次の作業に進めて。
この一文があるだけで、Claude Code の立ち位置がはっきりする。会話が長くなったときほど、前提をいったん文字に戻す。そうしてから進める。地味だが、長丁場ではこれがいちばん効く。