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AWSのGPU料金がまた上がった。AI時代の“計算資源インフレ”がクラウドまで来た話

AWSが、AI向けGPUの予約料金を約20%引き上げました。しかもこれ、今年2回目です。
地味に見えて、かなり大きい話です。AI業界って、モデルの賢さばかりが話題になりますが、実際には「どれだけGPUを確保できるか」で勝負が決まる場面が多い。そこに値上げが入ると、スタートアップも大企業も、みんな一気に息苦しくなります。

まず何が起きたのか

AWSは「EC2 Capacity Blocks for ML」というサービスの価格を、7月から約20%上げました。
これは、NvidiaのGPUをあらかじめ押さえておける仕組みです。長時間の学習やファインチューニングを途中で止めたくない企業にとっては、かなり重要な“席予約”みたいなものです。

面白いのは、今回が初回ではないことです。AWSは1月にも同じ料金を約15%上げていました。半年で15%と20%。単純に足すと35%で、かなりの上げ幅です。もちろん商品や条件が完全に同じとは限りませんが、「AI計算資源の値段がじわじわ上がる局面に入った」と見るのは自然だと思います。

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AWSはこの変更を「需要と供給に応じて定期的に調整している」と説明しています。要するに、欲しい人が多いので上げます、ということです。かなり率直です。

これが厄介なのは、GPUの話で終わらないから

今回の値上げは、ただのAWSの料金改定ではありません。背景にあるのは、AI向けメモリの不足です。
ここでいうメモリは、スマホのRAMのような一般的な記憶装置ではなく、高帯域幅メモリ(High Bandwidth Memory, HBM)のこと。AIチップの横に積まれる、超高速な専用メモリです。AI処理では、このメモリがかなり重要になります。

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このHBMが足りないと、GPUをたくさん作れない。GPUが足りないと、データセンターも増やしにくい。結果として、クラウド事業者が提供できるAI計算資源にも限りが出る。
つまり、ソフトウェアの工夫でどうにかする段階から、物理的に作れる数が制約になる段階に入ってきたわけです。

ここが一番おもしろくて、そして怖いところです。
昔のITは、コードを書けば何とかなる場面が多かった。でも今のAIは、工場で作る部材の不足がそのままクラウド料金に跳ね返る。ものづくりの世界に戻った感じがあります。かなり現実的です。

予約料金が上がると、誰が困るのか

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一番影響を受けるのは、大規模モデルを学習したり、既存モデルを自社向けに調整したりする会社です。
こういう企業は、GPUを短期で借りるだけでは足りず、ある程度まとまった時間を確保したい。そのための予約枠が高くなると、研究開発の予算配分そのものが変わります。

AWSによると、今回の値上げはあくまで一部の購入方法に限られます。固定価格の他のオプションはそのままで、AWS独自のAIチップ「Trainium」は対象外だったとされています。
つまり、AWSとしては「全部値上げではない。必要なところだけだ」と言いたいのでしょう。ただ、実務の現場では、予約枠が高くなるだけでも十分痛いはずです。AI開発は、1回の学習で終わりではなく、試行錯誤の連続ですから。

これ、AWSだけの話ではない

今回の件でいちばん重要なのは、クラウド大手が値上げできる環境になっていることだと思います。
AWS、Microsoft、Google、Oracleのような巨大クラウド事業者は、GPUが足りない局面ではかなり強い立場に立ちます。顧客側には「じゃあ別のところで借りよう」が簡単にはできないからです。

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しかも、同じメモリ不足の波は他の業界にも広がっています。AppleはMacやiPadの価格を引き上げ、Xboxも値上げしました。Elon Muskは、メモリの上昇を「見たことがある中で最大級の値上げ」と表現したそうです。
ここまで来ると、AI業界の特殊事情というより、電子機器全体の値札が変わり始めている感覚があります。ちょっと嫌な流れです。

逆に、誰が得をしているのか

短期的には、メモリメーカーに追い風が吹いています。記事ではMicronやSK Hynixの評価額が上がっていると触れています。
需要が強く、供給が限られるなら、作る側が強い。これ自体は市場の常としてわかりやすいです。ただ、AIブームの勝者が必ずしもAIソフトを作る会社ではなく、部材を押さえている会社になるのは、なかなか皮肉が効いています。

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AIの“安さ”はもう戻らないのか

ここは断言しすぎるべきではないですが、少なくとも「AI計算資源がどんどん安くなる時代」は一旦終わったように見えます。
AWSの予約GPU料金は、半年で15%上がり、さらに20%上がった。これは、AI開発のコスト計算をかなり変えます。

おそらく今後のAI企業は、モデルの性能だけでなく、いかに少ないGPUで回すか、どのクラウドをどう組み合わせるか、どのタイミングで予約するか、といった調達のうまさでも差がつくはずです。
派手さはないけれど、こういうところが本当の競争力になる。私はそこがかなり面白いと思います。AIの進化って、アルゴリズムの話だけじゃなく、電力、メモリ、データセンター、契約条件みたいな“地味な物理”に引っ張られているんですよね。

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この記事のポイント


参考: AWS GPU prices jump 20% as memory crunch bites

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