PaPoo
cover
technews
Author
technews
世界の技術ニュースをリアルタイムでキャッチし、日本語でわかりやすく発信。AI・半導体・スタートアップから規制動向まで、グローバルテックシーンの「今」をお届けします。

Freenetとは何か?「止められないWeb」を目指す分散型プラットフォームをやさしく解説

キーポイント

Freenetってどんなもの?

Freenetは、ひとことで言うと ​「中央サーバーのないインターネット上の土台」​ を目指すプロジェクトです。
公式サイトでは、通信・コラボレーション・商取引を、いわゆる大手IT企業やクラウド基盤に頼らずに実現する peer-to-peer platform と説明されています。

ここでいう peer-to-peer、略して P2P は、みんなのPCや端末同士が直接つながって動く仕組みのことです。
普段のWebサービスは、だいたい「ユーザー → サーバー → ユーザー」という形ですが、P2Pではその中央のサーバーが主役ではありません。
この発想自体がすでに面白いです。
というのも、現代のWebは便利な反面、「運営会社の都合で止まる」「規約で制限される」「データが集まりすぎる」といった弱点も抱えているからです。Freenetはそこに真正面から別解を出そうとしているわけです。

何がうれしいのか

Freenetの説明で特に目を引くのは、以下の3点です。

もちろん、「止められない」「追跡しない」という言い方は、理想も込めた表現だと思います。
ただ、少なくとも設計思想としてはかなりはっきりしています。
つまり、巨大な1社の管理下に置かれたWebではなく、より分散した、壊れにくいネットワークを作ろうとしているんですね。

個人的には、ここがFreenetのいちばん重要なポイントだと思います。
単に「新しいWebアプリ基盤」なのではなく、​インターネットの権力構造そのものを少しずつずらそうとしている感じがあるからです。

仕組みはどうなっている?

公式サイトによると、Freenetのネットワークは small-world network として組まれています。
これは、ざっくり言うと「近いところ同士は密につながりつつ、少数の遠い接続で全体がうまくつながるネットワーク」のことです。

Freenetでは、ピア(参加している端末)が ring 上の位置 によって整理され、メッセージは 数回の hop で目的地に届く、と説明されています。
hop は「中継」のイメージで、メールを何人か経由して届けるようなものだと思うとわかりやすいです。

面白いのは、これで 数百万のピアにスケールできる とうたっている点です。
「サーバーなしでそんなに広がるの?」と、普通は疑いたくなりますよね。私もかなり気になります。
ただ、少なくとも設計思想としては、中央集権に頼らずに大規模化を狙っている。ここは実に野心的です。

ふつうのWebと何が違う?

Freenetのアプリは、​ブラウザで動いて見た目も普通のWebサイトに近い そうです。
でも中身はだいぶ違っていて、クラウド上のサーバーで動くのではなく、P2Pで動作します。

この違いは地味に大きいです。
見た目がWebサイトっぽいのは、利用者にとってかなり大切です。
どれだけ思想が立派でも、専用アプリを入れないと使えないと一気にハードルが上がるからです。
その意味で、Freenetは「思想は過激だけど、使い勝手はできるだけWebに寄せる」という、かなり現実的な戦略を取っているように見えます。

image_0001.svg

開発者にとっての魅力

開発者向けには、Freenetは Rust や TypeScript のような見慣れたツールでアプリを作れると案内しています。
さらに、​サーバー運用が不要 で、​クラウド代もかからない、​Terms of Service(利用規約)に縛られない とも書かれています。

ここは、開発者にとってかなり刺さるポイントだと思います。
Web開発って、コードを書く以外の面倒が意外と多いんですよね。
サーバーの保守、監視、料金、スケーリング、規約対応……。
Freenetは、その「運用の重さ」をかなり減らそうとしているわけです。

もちろん、現実には別の難しさもあるはずです。
P2Pならではの設計、配布、更新、セキュリティ、ユーザー体験など、簡単ではない課題がたくさんあるでしょう。
それでも、​**“作ること”に集中しやすい** というのは大きな魅力ではないでしょうか。

支援のしかたもシンプル

Freenetは、小さなチームで開発されていて、​grant と donation で支えられていると説明されています。
つまり、大企業の巨大予算で進むプロジェクトというより、支援者の後押しで育つタイプの活動です。

こういうプロジェクトは、派手さはないけれど、思想の一貫性が強いことが多いです。
個人的には、分散型インフラを本気で作るなら、こうしたコミュニティベースの支え方はかなり相性がいいと思います。
ただし、継続性の面では常に厳しさもあるはずなので、そこは応援する人の数が重要になりそうです。

こんな人に向いていそう

Freenetは、次のような人に特に面白いと思います。

逆に言うと、​​「とにかく今すぐ安定した商用SaaSを作りたい」​ という人には、まだ普通のクラウドのほうが楽かもしれません。
Freenetは便利さだけを最優先した道ではなく、​自由・自律・分散 を重視する道だからです。

まとめ

Freenetは、単なる新しい開発基盤ではなく、​​「Webはもっと分散できるはずだ」という強い問題意識 から生まれたプロジェクトです。
ブラウザで動く見た目の親しみやすさと、P2Pによる止められにくさを両立させようとしている点が、とても興味深いです。

まだ未知数な部分も多そうですが、こういう「Webの別ルート」を真面目に作っているプロジェクトは、やっぱり見ていてワクワクします。
インターネットの未来が、必ずしも巨大クラウド一択ではないことを思い出させてくれる存在だと思います。


参考: Freenet

同じ著者の記事