PaPoo
cover
technews
Author
technews
世界の技術ニュースをリアルタイムでキャッチし、日本語でわかりやすく発信。AI・半導体・スタートアップから規制動向まで、グローバルテックシーンの「今」をお届けします。

Nvidiaのジェンスン・フアンが語る「実用AIの時代」到来、仕事のやり方はここから一気に変わる

記事のキーポイント

image_0001.jpg

AIは「面白いもの」から「役に立つもの」へ

NvidiaのCEO、Jensen Huang(ジェンスン・フアン)氏が、Dell Technologies World 2026の壇上でかなり熱い話をしました。ひとことで言うと、​​「AIはようやく実用段階に入った」​という宣言です。

image_0003.svg

image_0002.svg

TechRadarの記事では、Huang氏が「We’ve now arrived at the era of useful AI(実用AIの時代に入った)」と述べたと紹介されています。これ、単なる景気のいいスローガンに見えるかもしれませんが、けっこう重要な発言だと思います。というのも、これまでのAIは「試してみると面白い」「すごいけど本業ではまだ微妙」という空気が少なからずあったからです。

image_0004.svg

たとえば、文章の要約、メールの下書き、質問への回答。これらは便利ですが、Huang氏の言う通り、これまではどちらかというと“novel(目新しい)”な段階でした。つまり、感動はあるけれど、業務の中心ではなかったわけです。

image_0006.svg

image_0005.svg

これからのAIは、時間を短縮するだけでなく「仕事を回す」

Huang氏が強調したのは、AIによって仕事にかかる時間がどんどん短くなっていることです。

image_0008.svg

image_0007.jpg

記事中では、彼はこんな趣旨のことを述べています。

image_0009.svg

image_0011.svg

image_0010.svg

これは地味に見えて、実はかなり大きな変化です。なぜなら、AIは「人間の作業を少し楽にする」だけではなく、​仕事の基準そのものを引き上げるからです。
私も、ここが本質だと思います。AIが速くするのは作業だけではなく、「もっと早くできるよね?」という組織の期待値そのものなんですよね。

image_0012.svg

キーワードは「agent」: AIが“作業者”になる

今回の話で特に重要なのが、​agent(エージェント)​ という考え方です。

image_0014.svg

image_0013.svg

簡単に言うと、agentは「指示を受けて、計画し、実行し、必要に応じて調整するAI」です。単に答えを返すだけではなく、仕事の流れに参加するイメージですね。

image_0016.svg

image_0015.svg

Huang氏は、これからは「優秀なエンジニアほど、AI agentを操る側になる」と語っています。さらに将来は、ひとりのエンジニアが多数のsub-agent(小さな役割を持つAIたち)をまとめて動かすようになる、と述べました。

image_0017.svg

この発想はかなり面白いです。
人間が全部の細かい作業を自分でやるのではなく、​人間は“監督”や“指揮者”に近い役割へ移る。これはいかにもAI時代らしい変化です。
正直、単純作業をこなす人より、AIにうまく仕事を割り振れる人の価値が上がるのではないかと思います。

image_0019.svg

image_0018.svg

Dellも「20倍、30倍」の生産性向上を語る

会場では、Dell TechnologiesのMichael Dell氏もAI活用の未来を語りました。こちらもかなり強気です。

image_0020.svg

Dell氏は、これまでのAIは「30%程度の生産性向上」だったが、今はagentic AI の時代に入り、

image_0022.svg

image_0021.svg

という一連の流れをAIが担うようになる、と説明しています。

image_0024.svg

image_0023.svg

そして、こうしたAIの導入を前提に業務フローを完全に再設計し直すべきだと主張しました。もし先に進めれば20倍〜30倍の生産性改善が見込めるかもしれず、逆に対応しない企業は生き残りが厳しくなる、というかなり踏み込んだ発言もしています。

image_0025.svg

このへんは、少し煽り気味に聞こえるかもしれません。でも、企業向けテックの世界では、こういう“強い言い方”は単なる誇張ではなく、投資判断を促すメッセージでもあります。
要するに、​​「様子見している間に差がつくよ」​ということですね。

image_0027.svg

image_0026.svg

NvidiaとDellはAI向けハードウェアも強化

今回のイベントでは、言葉だけでなく製品面の動きもありました。Huang氏とDell氏は、Nvidiaの新しいハードウェアを使ったAI Factory構想の強化を発表しています。

image_0029.jpg

image_0028.svg

記事によると、Dellは以下のような構成を紹介しました。

image_0030.svg

image_0032.jpg

image_0031.jpg

ここで出てくる専門用語をざっくり補足すると、

image_0034.jpg

image_0036.jpg

image_0035.jpg

つまり、AIを本格的に動かすには、ソフトウェアだけでなく、電力・冷却・GPU密度まで含めた“土台”が必要なんです。
AIが派手に見えるのは画面の中だけで、裏ではかなり泥臭いインフラ戦争が起きている。ここがまた面白いところだと思います。

image_0038.jpg

image_0037.jpg

これは何を意味するのか

今回の発言を、単なる自信満々なプレゼンとして片付けるのは簡単です。でも、私は少し違う見方をしています。

image_0039.jpg

Huang氏が言う「実用AIの時代」とは、要するにAIが“デモ映え”する段階を超えて、企業の利益や生産性に直接効く段階に入ったという宣言ではないでしょうか。
もちろん、すべての業務がAIで劇的に良くなるわけではありません。うまく使える仕事もあれば、そうでない仕事もあるはずです。

image_0041.jpg

image_0040.jpg

ただ、少なくともソフトウェア開発、顧客対応、文書作成、社内オペレーションの一部は、これからかなり変わると思います。
そして変わるのは「作業の速さ」だけではなく、​人間が何をやるべきか という役割分担そのものです。

image_0042.jpg

個人的には、ここがいちばん大きなポイントです。
AIに仕事を奪われる、というより、​AIを使いこなせない仕事のやり方が先に古くなるのではないか、と思います。

image_0044.jpg

image_0043.jpg

まとめ

今回の発言をひとことでまとめるなら、NvidiaとDellは「AIはもう実験ではなく、業務の中核に入る」とはっきり言い切った、ということです。

image_0046.png

image_0045.jpg

Huang氏の言葉はかなり景気がいいですが、内容自体はかなり現実的でもあります。AIが便利なのは当たり前になり、その先にある「どう組織を作り替えるか」が本当の勝負になる。そんな空気が、かなり強く感じられる記事でした。

image_0047.png


image_0049.jpg

image_0048.png

参考: Nvidia CEO Jensen Huang says we're finally in the era of "useful AI" - and things will only get faster

image_0050.png

同じ著者の記事