「ちゃんと考えて」とだけ投げて、思った通りになるはずがない。Claude Code も同じで、雑な依頼は雑な結果を呼ぶ。ここで効くのが、長々と説明するより、たった 1 つの例を見せるやり方だ。
few-shot という呼び方をすることもあるが、要するに「こういう出力がほしい」と例示してから頼む方法である。Claude Code ではこれがかなり強い。特に、ファイル整理、文書作成、リネーム、要約、コメント整形みたいに、正解の形がある程度わかっている作業で効く。逆に、言葉だけで曖昧に指示すると、こちらが想像していた粒度とズレやすい。筆者も最初はここで何度か手戻りした。説明を盛るほど伝わる気がして、結局はコンテキストを食うだけだった。
たとえば、README を整えたい。いきなり「読みやすくして」では弱い。こう頼む。
この README を、次の例のようなトーンと構成に寄せて整えてください。
例:
- 冒頭で何をするプロジェクトかを 2 行で説明する
- 見出しは短くする
- 手順は 1, 2, 3 の順で並べる
- 冗長な言い回しは消す
- コマンドはコードブロックのまま残す
対象ファイル: README.md
これだけでも、Claude Code は「どんな読み味にするか」の輪郭をつかみやすい。ポイントは、完成文を丸ごと見せることではない。型を 1 つ渡すことだ。型があれば、細部は勝手に埋めてくれる。
文書作成でも同じだ。企画書や社内メモを整えたいなら、こんな頼み方が使える。
以下のメモを、社内共有向けに整理してください。
例:
- 最初に結論を書く
- 次に背景を書く
- 最後に次のアクションを書く
- 箇条書きは 5 行以内に収める
- 断定しすぎず、でも曖昧にしない
メモ:
(ここに素材を貼る)
ここで大事なのは、例が「文そのもの」ではなく「編集方針」になっている点だ。Claude Code は、単純な変換だけでなく、方針を押さえておくとブレにくい。反対に、見本として長文を貼りすぎると、その文体に引っ張られたり、不要な表現まで真似したりする。見本は短くていい。むしろ短いほうが効く。
ファイル整理でも使い道がある。たとえば、散らかったダウンロードフォルダを片付けたいとする。こういうときは「不要なものを削除して」だけでは危ない。残したいものまで巻き込むと痛い。だから、まず例を示す。
次の例のように分類してください。
例:
- PDF の請求書は invoices/
- 画像は images/
- 1 回しか使わない ZIP は trash/
- 名前が曖昧なファイルは勝手に削除せず一覧に出す
対象: Downloads フォルダ
この手の依頼では、削除の前に仕分けを入れるのがコツだ。筆者は一度、説明を端折って「不要ファイルを整理して」と投げたせいで、残すべきものの扱い確認に時間を食った。曖昧な指示は、速く進むどころか確認往復を増やすだけである。Claude Code は勝手に気を利かせるが、その気の利かせ方がこちらの意図とズレることがある。そこを先に例で縛る。
few-shot 的な頼み方には、地味だが効くルールがある。例は少ないほどいい。1 つか 2 つで十分だ。3 つ以上になると、今度は「例の共通点」を読ませる作業になって、指示の軽さが消える。しかも、例が多いとコンテキストも食う。Claude Code は会話の文脈を使う道具なので、無駄な説明で埋めると、肝心の作業に使える枠が減る。ここはケチったほうがいい。
もう一つ、例は「禁止事項」より「望む形」を優先したほうがうまくいく。「長くしないで」「専門用語を使わないで」だけだと、何を出せばいいかがぼやける。代わりに、
例:
- 1 段落目で全体像を説明する
- 次にやることを 3 手順で示す
- 最後に注意点を 2 つだけ書く
のように見せる。これなら、Claude Code は手を動かしやすい。人間相手でも同じだが、AI 相手ではなおさらだ。
応用すると、例は「文章」だけでなく「ファイル名」や「ディレクトリ構成」でも効く。たとえば、案件ごとにフォルダを掘る運用なら、こういう頼み方ができる。
次の命名に合わせて整理してください。
例:
- 2025-07-契約書ドラフト.md
- 2025-07-打ち合わせメモ.md
- 2025-07-見積書.pdf
ルール:
- 日付を先頭に置く
- 半角ハイフンで区切る
- 内容が一目でわかる名前にする
こうしておくと、単なるリネームではなく「後から探しやすい名前」に寄せやすい。ファイル整理は、見た目より検索性が大事だ。ここを例で示しておくと、作業の質が上がる。
最後に、少ない指示で意図を伝えたいなら、説明を足すより、まず型を 1 つ見せる。Claude Code は、そこから先を埋めるのがうまい。逆に言えば、型がない依頼はだいぶ雑になる。次に試すなら、いきなり長文を打つのではなく、「こんな形で出してほしい」という例を 1 つ置いてから頼むといい。文章でも、ファイル整理でも、まずそこからで十分だ。