Claude Code に長い説明を毎回書くのが面倒なら、先に「こういう仕上がりで」と 1 つだけ見せると、話がかなり速くなります。
このやり方は、英語圏では few-shot と呼ばれることがありますが、要するに「見本を 1 つ渡して、残りを同じ調子でやってもらう」頼み方です。Claude Code では、細かなルールを全部言葉で列挙するより、短い指示と実例を組み合わせたほうが、意図が伝わりやすい場面が多いです。
たとえば、フォルダ整理をしたい人なら、こんな頼み方ができます。
まず、やってほしいことを一言で伝えます。そのあと、理想の出力例を 1 つだけ置きます。
このフォルダの中身を見て、重複しそうなものや不要そうなものを整理したいです。
判断のしかたは、次の例に合わせてください。
例:
- report_final_v3.docx → 最終版に見えるので残す候補
- report_old.docx → 古い版なので確認候補
- .DS_Store → macOS の不要ファイルなので削除候補
この例と同じ考え方で、他のファイルも
「残す候補 / 確認候補 / 削除候補」
の 3 つに分けてください。
この書き方のいいところは、Claude Code が「何を見て、どう分ければいいか」を、抽象論ではなく具体例から掴めることです。
「不要ファイルを探して」とだけ言うより、どんな名前を残し、どんな名前を怪しいとみなすのかが伝わります。人間に口頭で伝えるときも、見本を 1 つ出したほうが速いですが、それと似ています。
文書作成でも同じです。たとえば、社内向けの案内文を整えたいとき、完成形の雰囲気を 1 つ見せると、トーンのズレが減ります。
次の下書きを、社内掲示に使える自然な文に直してください。
短く、やわらかく、命令口調にしないでください。
例:
- 明日までに提出してください
→ 明日中のご提出をお願いします
この例のように、強すぎる言い方をやわらげて整えてください。
ここで大事なのは、例を長くしすぎないことです。
見本は 1 つで十分なことが多いです。むしろ例を何個も並べると、Claude Code が「どの例を優先すべきか」を迷いやすくなります。まずは 1 個。足りなければあとで 2 個目を足す、という順番が扱いやすいです。
少ない指示で意図を伝えるときは、例の形も少し工夫すると安定します。
ただの「良い例」ではなく、入力と出力の対応が見える形にすると効きます。
やりたいこと:
見出しをやわらかい表現に直したいです。
例:
- 変更してください
→ 修正をお願いします
- すぐ確認してください
→ お手すきの際にご確認ください
この調子で、次の文を同じ温度感に直してください。
この書き方だと、Claude Code は「何を言い換えるか」だけでなく、「どのくらい丁寧にするか」も合わせて読み取れます。
文章の仕事では、この温度感がかなり重要です。意味が合っていても、硬すぎたり軽すぎたりすると使えません。
非エンジニアの使い道で特に相性がいいのは、整理・分類・書き換えです。
たとえば、弁護士や士業のように案件ごとに資料をまとめたい人なら、「この種類の書面はこう扱う」という見本を 1 つ見せるだけで、分類の基準を共有しやすくなります。
あるいは、写真やダウンロードファイルの整理でも、「これは残す」「これは確認」「これは消してよさそう」の境目を例で示すと、言葉だけよりはるかに通りがよくなります。
ただし、例を見せるときには注意があります。
まず、例の中に不要な例外を混ぜないことです。たとえば「この名前なら削除候補」と言いながら、別の行では同じような名前を残す例にしてしまうと、基準がぼやけます。Claude Code は人間のように空気で補ってはくれません。見本はできるだけ素直に、ひとつの基準だけを見せたほうが安定します。
もうひとつ、見本で全部を決め打ちしないことです。
例はあくまで「考え方の導線」です。細部まで完全に固定したいなら、例だけでなく条件も添えます。逆に、細かく縛りすぎると、Claude Code の柔軟さが死にます。見本は方向を示し、条件は外れない範囲を決める。この二つを分けると使いやすいです。
実際には、こんな組み立てがちょうどいいことが多いです。
このメモを、読みやすい箇条書きに直してください。
言い回しはやわらかく、意味は変えないでください。
例:
- 期限を守ってください
→ 期限内のご対応をお願いします
この例と同じ程度のやわらかさで、次の文章を整えてください。
もし期待と違う結果になったら、長文で怒るより、例を 1 つ足したほうが効くことがあります。
「こうではなく、こう」と見せるほうが、修正指示としては強いです。たとえば、硬すぎたなら柔らかい例を、短すぎたなら少し詳しい例を足します。Claude Code は、この手の修正にかなり素直に反応します。
少ない指示で意図を伝えるコツは、実は「説明を減らすこと」ではなく、「説明の代わりに 1 つの具体例を置くこと」です。
抽象的に長々と語るより、ひとつの見本を出したほうが、整理・文書化・分類の仕事ではうまくいきます。まず 1 個だけ見せる。うまく伝わったら、そのまま続ける。ずれたら、例を足す。この順番がいちばん実用的です。