いちばん面白いのは、これまでの分析ツールが見ていた「人間のクリック」ではなく、AIエージェントに渡した仕事の実行過程を測ろうとしているところだと思った。ユーザーはもうUIを触らず、ClaudeやChatGPTの中で用事を済ませる。そうなると、従来のプロダクト分析はかなり手が届かない。アクセス解析を入れているのに、肝心の利用実態が見えない、という少し不気味な空白がある。Armatureはそこを埋めにいっている。


読んでいて引っかかったのは、「成功したかどうか」だけでなく、「なぜ失敗したか」をセッション単位で再構成する、という発想の強さだ。APIが200 OKを返していても、ユーザーは目的を果たせていないことがある。人間向けのWebプロダクトでもよくある話だけれど、agentic workflow ではそれがさらに見えにくい。しかも、agent の thinking や tool call の並びを見せることで、単なるログではなく“体験”として追えるようにしている。ここは便利そうだし、同時にかなり怖くもある。便利さの裏で、どこまでを記録してよいのかという線引きが難しいからだ。



もう一つ、evals とのつなぎ方も筋がいいと思った。実際の利用から top use cases を拾って、そのまま eval にする。理屈としてはきれいだし、机上のテストケースを量産するよりずっと現実に近い。ただ、こういう仕組みは一度うまく回り始めると強い反面、最初にどれだけ「本当に使われている仕事」を正しく掬えるかで価値がかなり変わるはずだ。そこをモデル任せにしている部分は、少し気になる。とはいえ、MCP のような新しい接続層では、まず観測しないと何も始まらない。そこに真正面から入っているのは、かなり実務的だと感じた。





