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Google AI Modeは、同じ商品でも検索より高く見せがちだった

GoogleのAI Modeが、従来の検索と比べて商品価格をどう見せているのか。Productriseの調査は、その印象をかなり具体的な数字で示している。AI検索は「比較の手間を減らす」と期待されがちだが、実際には価格の安い商品をそのまま前に出すとは限らないらしい。しかも、単に表示件数が少ないだけでなく、見えている商品の顔ぶれ自体がかなり違う。この話は、AIが買い物の入口になりつつある今、かなり気になる。

2百万件超の表示を比べると、AI Modeのほうが高かった

Productriseは、2026年8月9日から31日までの23日間に、20万件を超えるSERPとAI Modeの応答をまたぎ、200万件以上の商品掲載を追跡した。やり方はシンプルで、同じ日の同じ瞬間に、同じ買い物系クエリをGoogle AI Modeと従来検索の両方に通した。そこで「同じ商品」が両方に出た場合、AI Mode側の価格が平均で21.6%高かった、というのが中心の発見だ。

この調査では、比較の仕方をいくつか分けている。まず、両方に出た同一商品だけを見ると、AI Modeは従来検索より21.6%高い。次に、同一商品に限らず、各側に出たすべての有料商品を広く比べると、AI Modeの中央値は149ドル、従来検索は100ドルで、AI Modeのほうが約49%高い。さらに、従来検索に出た商品のうち、同じ日の同じ検索でAI Modeにも出たものは1.28%しかなかった。つまり、価格差以前に、そもそも見せている商品があまり重なっていない。

同一商品の価格が食い違うケースも少なくない。マッチした商品のうち38.1%で価格が一致せず、そのときAI Modeのほうが高いのは68.4%だった。AI Modeが安い側になる場合もあるが、その差は小さめで、中央値は7.8%、平均は11.9%。一方で高い側になったときは、中央値22.2%と差が大きい。さらに、マッチした商品の主な販売者が49.6%のケースで違っていた。価格だけでなく、どの店に送るかまで変えている可能性がある、という見方ができる。

表示件数にも大きな差がある。従来検索は1回あたり平均27.8商品を出すのに対し、AI Modeは3.9商品しか出さない。全体に占めるAI Modeの比率は12.3%にとどまる。Productriseは、こうした傾向が以前の調査ともつながると述べている。要するに、AI Modeは商品を少なく、そして相対的に高く見せる傾向がある、というのがこのデータの結論だ。

「比較が楽になる」はずのAI検索で、なぜ高い商品が前に出るのか

この結果でまず引っかかるのは、AI検索が本来やりたかったことと逆方向に見える点だ。ユーザーは「価格を一目で比べられる」ことを期待してAI Modeに入るはずなのに、実際にはより高い商品が出やすい。しかも、単なる偶然ではなく、価格が食い違うときにAI Modeのほうが高いケースが約3分の2を占める。私はここに、検索の最適化が「安いものを見つける」から「見せ方の都合で選ばれたものを見る」にずれていく怖さを感じる。

もちろん、これは「AI Modeは必ず高い商品を押しつける」という断定ではない。調査対象は特定期間の買い物検索であり、商品カテゴリや在庫状況の影響もあるはずだ。それでも、中央値で見て高く、しかも表示数が少ないなら、ユーザーは安い選択肢に触れる機会を減らされやすい。検索が便利になるほど、比較しないまま高いものを選ぶ危険はむしろ増えるのではないかと思う。

1.28%しか重ならないなら、AI Modeは検索の延長ではなく別の棚に近い

従来検索に出た商品のうち、同じ日同じ検索でAI Modeにも出たのが1.28%しかなかった、という数字はかなり重い。見た目は同じGoogleでも、実際にはかなり別の棚を見せているに等しい。これが何を意味するかというと、単に「同じ商品を別の順番で並べ替えた」のではなく、候補集合そのものを大きく変えているということだ。

私はここを、検索体験というより「編集された推薦」に近いと見ている。検索なら、同じ語を入れればある程度似た候補が出るという信頼がある。でもAI Modeは、その前提をかなり崩している。しかも平均3.9商品しか出さないなら、ユーザーはほぼ出てきた数点の中から選ぶしかない。選択肢が少ないのは楽にも見えるが、実際には比較の自由を失いやすい。便利さと引き換えに、買い物の主導権をかなり握られている感覚がある。

高いほうが出やすいのは、Googleの“安さ重視”の見せ方と食い違う

Googleはこれまで、商品一覧では価格の安いものが目立つような設計を積み重ねてきた。買い物客向けの価格重視の機能も増やしてきたはずだ。だからこそ、AI Modeでより高い商品が前に出やすいという結果は、少し意外だった。ここには、従来のShopping Graph的なロジックと、生成AIベースの回答のロジックがまだうまく噛み合っていない感じがある。

私はこのズレを、単なる不具合よりも過渡期の構造問題だと見る。AI Modeは「要約して答える」ことに長けていても、「最安値を見つける」ことには必ずしも向いていない。むしろ、説明しやすい商品、ブランド、販売元、商品説明の整ったデータが優先されると、高価格帯や公式サイト寄りの候補が出やすくなる可能性がある。元記事に寄せられたコメントでも、商品フィードの整備や、AIが拾いやすい詳細データの重要性が示唆されていた。これは小売側にはチャンスだが、消費者側には見えにくいバイアスにもなりうる。

いちばん気になるのは、価格差そのものより「誰が得をするか」だ

この調査は、消費者にとっての話であると同時に、販売者にとっての話でもある。安い順に戦うのが苦しいブランドや、公式サイトでの販売を重視する事業者にとっては、AI Modeのほうが相性がいい可能性はある。実際、コメントではAI Modeがブランド公式サイトをより優先するように見える、という観察も出ていた。もしそうなら、Amazonやマーケットプレイスに流れやすかった購買導線が少し変わるかもしれない。

ただ、私はここでも楽観しすぎないほうがいいと思う。売り手にとって有利に見える場面があっても、その裏でユーザーは比較材料を失っているかもしれないからだ。AIが「考える」のではなく、何を見せるかを選ぶ以上、その選択は中立ではない。今後、検索流入の最適化はSEOだけでなく、AIにどう商品情報を解釈させるかというGEO寄りの発想まで必要になるだろう。だが最終的には、消費者が本当に安く、納得して買えているかを見ない限り、その最適化は片手落ちだと思う。


参考: Google AI Mode shows the same products 21.6% more expensive than traditional search [Data Study] | Productrise

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