この記事を読んでまず思ったのは、これはAIの話というより、分析作業の雑さをどう減らすかの話だな、ということだった。CRO(conversion-rate optimization、つまり「どこを直せばCVRが上がるかを見る作業」)って、つい「AIに全部見てもらえば早いはず」と考えたくなるけれど、実際にはそこが一番危ない。ふわっとした指示を与えると、もっともらしい文章は返ってくる。でも、その文章が本当に根拠のある話かは別問題だ。
そこをかなりはっきり切り分けているのが好印象だった。Claudeにやらせるのは、真偽の判定ではなく、素材の仕分けと整理。GA4のレポートやPDF、HTMLの断片を入れて、「怪しい変化があるページはどれか」「次に何を確認すべきか」を並べさせる。これなら確かに助かると思う。人間がゼロから見ていくと、似たようなページやセグメントを延々と眺める羽目になるので、最初のふるい分けだけでも自動化できる価値はある。
ただ、読んでいて少し引っかかったのは、こうした「Evidence pack」とか「Validation question」という設計が、ちゃんと運用できるチームにしか効かなさそうなところでもある。要するに、AIの前にまずデータの出し方を整え、業務の境界を決め、何を根拠にするかを言語化しておかないといけない。そこができていない現場ほどAIに丸投げしたくなるはずで、でも丸投げした瞬間にこの方法の前提が崩れる。なので、便利そうに見えて、実はかなり組織の成熟度を試すやり方だと思う。
あと、MCP(Model Context Protocol、外部データに接続するための仕組み)を使うときに、read-onlyやleast-privilegeを強く意識しているのも筋がいい。AIにデータをつなぐ話は、つい「便利になる」で終わりがちだけど、本当に気をつけるべきなのは権限と監査のほうだろう。ライブ接続が速いのは確かでも、触っていい範囲を狭くしないと、あとで誰が何を見たのか追えなくなる。そこを地味に書いているのが、この文章のいちばん実務っぽいところだった。
全体として、AIを「判断者」にしないで「下ごしらえ係」に置く、という考え方に納得した。派手さはないけれど、現場で本当に効くのはたぶんこういう使い方なんだろうと思う。
参考: Claude CRO Audit Workflow: Faster Data Triage With Human Evidence Validation