依頼テンプレを「一回作って終わり」にしていると、だいたい次の依頼でまた同じ手戻りを食う。そこを放置して、毎回ゼロから雑に投げ直すのはかなりもったいない。Claude Code は一発で完璧な代物を出す道具ではないが、作業記録を見ながら依頼テンプレ改善を回すと、次回の指示精度が目に見えて上がる。再発防止メモとしても効く。
ここで言う作業記録は、長大なログのことではない。Claude Code に何を頼んだか、どこで迷走したか、どの出力がそのまま使えたか、そこだけ拾えばいい。雑に見えるが、ここを残さないとテンプレは劣化する。人間の記憶はだいたい都合よく丸くなるので、実際に詰まった箇所を次回へ渡せない。
たとえば、ファイル整理なら「重複候補を見つけて」と頼んだのに、判定基準が曖昧で候補が多すぎた。文書作成なら、章立てはよかったのにトーンが硬すぎて直しが増えた。コード修正なら、対象ファイルの範囲を絞らずに話を始めたせいで、差分が肥大化した。こういうズレは、記録を元にテンプレへ戻せばかなり減る。
やり方は単純だ。まず、その作業の終わりに短い記録を残す。次に、その記録から「次回も固定したい条件」と「毎回変える条件」を分ける。最後に、Claude Code へ投げる依頼文のひな形へ反映する。これだけでいい。大げさな仕組みはいらない。
まず記録は、次のような粒度で十分だ。
作業名: 請求書まわりの文書整理
目的: 2024年分のPDFを月別に分け、重複を減らす
うまくいった点: 対象フォルダを先に限定したので迷走しなかった
困った点: 「不要ファイル」の定義が曖昧で、削除候補の確認に時間がかかった
次回固定したい条件: 先に削除しない。候補だけ列挙させる
次回変える条件: 月別ではなく案件別に分けるかもしれない
この程度で十分だ。細かい操作ログを全部残す必要はない。重要なのは、「何を固定し、何を変えるか」を言葉にすることだ。ここが抜けると、次回の依頼テンプレはただの願望文になる。
そのうえで、次回用のテンプレに落とし込む。Claude Code への指示は、毎回同じ骨格を持たせると安定しやすい。
目的:
- ここに今回の目的を書く
前提:
- ここに対象フォルダ、対象ファイル、期間、案件名などを書く
ルール:
- 先に候補を出す
- 勝手に削除しない
- 迷ったら止まる
- 出力は箇条書きで短く
確認したいこと:
- 判断に必要な不足情報があれば先に聞く
- 変更案が複数ある場合は差分つきで示す
これを、作業記録の内容で埋め直す。たとえば文書作成なら、ルールに「敬語は保つが、冗長な言い回しは削る」を足す。コード修正なら「既存の命名規則を壊さない」「差分は最小にする」を入れる。ファイル整理なら「移動の前に一覧を出す」「同名ファイルは確認する」を入れる。テンプレは汎用のままでは役に立たない。作業の癖に合わせて削るから使える。
ここで大事なのは、テンプレを長くしすぎないことだ。筆者は最初、反省点を全部詰め込んだせいで、依頼文がやたら長くなった。すると今度は、肝心の目的が埋もれる。Claude Code も人間も、長すぎる前置きには鈍る。固定したい条件は多くても5つか6つに絞ったほうがいい。残りは記録側に置いておく。
もう一つ、やりがちな失敗がある。成功した出力をそのままテンプレに貼ってしまうやつだ。これは危ない。出力結果はあくまで答えであって、次回の指示ではない。次回のテンプレに入れるべきなのは、答えそのものではなく、そこへ至るための制約だ。たとえば「この文章のように」と例文を貼るより、「見出しは3つまで」「断定は強すぎない」など、再現可能な条件に分解したほうが強い。
実際の見直しは、こんな手順で回すと楽だ。
この4手で回せば、依頼テンプレはだんだん賢くなる。逆に、作業記録を読まずにテンプレだけ育てると、どこかで必ず腐る。
非エンジニアでも同じだ。たとえば、案件ごとにフォルダを分けて書類を作る仕事なら、「前回はファイル名の揺れで探し直した」「次回は先に命名規則を指定する」と記録しておく。これだけで、次の依頼はかなり楽になる。ディスク整理でも同じで、「削除ではなく候補提示だけにする」「スクリーンショットやダウンロード元は別扱いにする」など、事故りやすい線を先に書いておくといい。
Claude Code への実際の依頼は、記録を踏まえてこう書けばいい。
前回の作業記録をもとに、次回用の依頼テンプレを作り直してください。
記録:
- 目的: PDF整理
- うまくいった点: 先に対象フォルダを限定した
- 困った点: 削除対象の基準が曖昧だった
- 次回の改善点: 削除前に候補一覧を出すこと
- 次回の固定条件: 勝手に移動や削除をしないこと
出力条件:
- そのまま次回使える文面にする
- 長くしすぎない
- ルールと確認事項を分ける
この頼み方にすると、Claude Code は「次回の指示文そのもの」を整えやすい。あいまいな反省文より、具体的な作業記録のほうがずっと強い。
最後に、地味だが効く習慣を一つ。作業が終わったら、テンプレを更新した日付と、変えた一文だけ残しておくことだ。全部残す必要はない。変えた箇所が分かれば、次回に「どの修正が効いたか」を追える。これをやらないと、後でテンプレが育ったのか、たまたま当たったのか分からなくなる。そうなると、また雑に戻る。かなりだるい。
作業記録からテンプレを作り直すコツは、反省を増やすことではない。再発しそうなミスだけを、次回の依頼文に押し込むことだ。そこまでできれば、Claude Code はただの便利な補助ではなく、失敗を繰り返さないための下地になる。