終わった仕事をそのまま残す人は多い。しかも「あとで見るから」と言いながら、数日後には同じブランチ、同じ作業フォルダ、同じ不要ファイルの山にまた足を取られる。Claude Code はそこを雑に流さず、使い終わった作業場所を整理する、ブランチやフォルダの後片付けまで含めて片づけ役にできる。
ここでやりたいのは大げさな自動化ではない。作業が終わったら、残すものと捨てるものを切り分けて、コンテキストもディスクも空けることだ。これをやらないと、次の依頼で Claude Code が余計なファイルを拾ったり、古い差分に引っ張られたりして、地味に手戻りが増える。
「片付ける」と言っても、全部消せばいいわけではない。残すのは、あとで参照する必要があるものだけだ。たとえば、作業メモ、最終成果物、再利用したいテンプレート、あるいは案件の証跡になる書面だ。消すのは、途中で作った一時ファイル、古い出力、使い捨ての検証フォルダ、役目を終えたブランチだ。
Claude Code には、最初からこの判断を言葉で渡しておくといい。たとえばこんな依頼で十分だ。
この作業が終わったら、後片付けまでやってください。
- 残すもの: 最終成果物、必要なメモ、再利用価値があるテンプレート
- 消すもの: 一時ファイル、検証用ファイル、途中生成物、不要な出力
- Git を使っている場合は、マージ済みまたは不要になった作業ブランチも整理してください
- 何を消すか迷ったら、勝手に消さずに候補を列挙してください
この一文が効く。曖昧に「片付けて」とだけ言うと、どこまで消すかがぶれて、あとで「あれどこいった」となる。筆者も昔、作業が終わったあとに「不要そうなファイルを整理して」とだけ投げて、必要なサンプルまで消されかけたことがある。雑な指示は雑な後始末を呼ぶ。片付けは、最初の一言でほぼ勝負が決まる。
非エンジニアの用途でも、ここは同じだ。たとえば案件ごとにフォルダを切って書類を作る人なら、「最終版」「提出版」「控え」だけ残して、下書きや差し替え前のPDFを捨てればいい。会議録や提案書のような文書でも、終わった作業の跡はすぐ肥大化する。Claude Code に任せるなら、最終版の命名ルールまで先に決めたほうが速い。
このフォルダを後片付けしてください。
- 最終版のファイルは残す
- 「draft」「tmp」「old」「backup」が名前に入るものは、必要なら候補として出す
- 重複していると思われるファイルは、内容を見てどれを残すか提案する
- まずは削除せず、整理案を作ってから進める
ここで大事なのは、Claude Code に「勝手に気を利かせすぎるな」と釘を刺すことだ。片付けは効率がよさそうで、実は事故りやすい。特に文書系は、似た名前のファイルが大量に並ぶ。最終版のつもりで消したら、実は承認待ちの版だった、というのはよくある話だ。
Git を使っているなら、作業ブランチの掃除はかなり効く。マージ済みのブランチや、もう戻らない試行錯誤の枝を残しておくと、一覧が汚れるだけでなく、次の作業で「これまだ生きてたっけ」と迷う。ブランチ名が増えるほど、脳のメモリも無駄に使う。
Claude Code への頼み方はこうなる。
ローカルの作業ブランチを後片付けしてください。
- すでに main に取り込まれたブランチを候補に出す
- 今の作業中ブランチは消さない
- リモート側にしかないものは、削除前に確認する
- 削除コマンドを実行する前に、対象ブランチ一覧を表示する
ローカルの整理で済むなら、それが一番安全だ。リモートの削除まで踏み込むときは、確認を一枚かませたほうがいい。筆者は以前、似た名前の枝をまとめて片付けようとして、残すつもりの検証用ブランチまで消しそうになった。Git は容赦しない。だからこそ、Claude Code にも「候補を出してから」と順番を守らせる。
終わった作業の片付けで一番ありがたいのは、見た目の整理ではなく、ディスクが空くことだ。画像の一時出力、変換途中のファイル、古い書き出し、キャッシュ。こういうものは、残しておいても得にならないことが多い。
ただし、ここで雑に「古そうなファイルを消して」と頼むのは危険だ。Claude Code に任せるなら、まずは何が増えているかを見せてもらう。
この作業フォルダで、不要そうな一時ファイルや重複ファイルを洗い出してください。
- まず一覧を出す
- 削除してよい候補と、残すべき理由がある候補を分ける
- いきなり削除はしない
- 画像、書類、生成物でルールが違うなら分けて提案する
これでだいぶ事故が減る。特に、似た名前の書き出しファイルが多い現場では効く。final と final2 と final_修正 みたいな状態は、見た目以上にややこしい。片付けの目的は「全部消すこと」ではなく、「次に迷わない状態にすること」だ。
いきなり消すより、まずは退避させるほうが安全だ。Claude Code にもその順番で頼むといい。たとえば、不要になったファイルを archive/ や old/ に寄せてから、しばらく様子を見る。これなら「あれ必要だった」が起きても戻しやすい。
このフォルダを整理してください。
- すぐ消さず、まず archive フォルダに移す候補を出す
- 1週間後に不要なら削除、という運用にしたい
- 退避先フォルダがなければ作る
- 退避前に、移動対象の一覧を出す
このやり方は、文書作成でもコードでも強い。片付けの失敗は、消しすぎよりも「取り返しがつかない消し方」をしたときに痛い。移動を挟めば、作業の勢いで壊しにくい。
これがいちばんややこしい。作業が終わった気になって、つい「ついでに少し直して」と始めると、どこからが片付けでどこからが再作業か分からなくなる。Claude Code は頼まれた範囲で動くので、指示が混ざると出力も混ざる。結果、差分が肥大化して、何を片付けたのか見えなくなる。
だから、終わった作業を片付けるときは、依頼を二段に分けるのがいい。
まず片付けだけをしてください。
- 不要ファイルの候補を出す
- ブランチ整理の候補を出す
- 何を残すか確認したい
そのあとで、必要なら修正を頼みます。
この分け方をすると、Claude Code の振る舞いがかなり安定する。片付けは片付け、修正は修正。混ぜない。筆者はこれをサボって、整理のつもりで中身の文言まで直し始められ、レビュー差分が無駄に膨らんだことがある。終わった仕事を片付けるだけのはずが、いつの間にか別案件になる。あれはだるい。
作業が終わってから片付けるより、終わる前から片付けやすくしておくほうがずっと楽だ。フォルダ名、ファイル名、ブランチ名を「何の作業か」「どれが最終版か」が分かる形にしておく。そうすれば、Claude Code に整理を任せたときも判断が速い。
たとえば文書なら、こういう運用が効く。
案件名/
00_notes/
10_draft/
20_review/
90_final/
コードなら、作業ブランチ名を、何をしているか分かる形に寄せる。後から見て分かる名前は、そのまま後片付けのしやすさになる。
終わった作業の片付けは、気合いでは回らない。残す、退避する、消す。この順で固めて、Claude Code に候補を出させ、最後に人間が決める。それだけで、作業場所はかなり静かになる。静かな場所は、次の仕事も速い。