Claude Code に雑な丸投げをすると、だいたい返ってくるのは「それっぽいけど、違う」案だ。
そこで先に渡すべきなのは作業そのものではなく、判断基準である。評価軸の先出し、判断基準の先出し、と呼んでもいい。これを先に置くと、Claude Code は手当たり次第に動かず、どこを優先して考えるかが揃う。手戻りが減るし、やり取りの回数も落ちる。
たとえばファイル整理でも文書作成でも、いきなり「全部きれいにして」と頼むと、何をもって「きれい」とするかが毎回ぶれる。重複ファイルを消したいのか、古い資料を別フォルダへ逃がしたいのか、名前の付け方を揃えたいのか。そこが曖昧だと、Claude Code は賢く見えても迷う。迷いは出力のブレとして返ってくる。ここを先に潰すのがコツだ。
やり方は単純だ。最初に「何を優先するか」「何をやらないか」「迷ったらどうするか」を渡す。実際の依頼文は、こんな形で十分だ。
この作業では、次の判断基準を優先してください。
1. 安全性を最優先する。消す前に必ず候補を列挙し、確認が必要なものは勝手に削除しない。
2. 使い勝手を落とさない。名前変更や移動は、あとで元に戻せる形を優先する。
3. 似たファイルは内容を見て判断する。ファイル名だけで決めない。
4. 迷ったら止まって質問する。推測で進めない。
この基準に沿って、対象フォルダを整理する手順を提案して。
この書き方のいいところは、Claude Code に「正解の形」を教え込める点だ。
人間同士でも同じだが、判断基準が先にあると、途中の相談がかなり減る。逆に基準なしで作業だけ渡すと、途中で「そのルールでいいのか」が何度も戻ってくる。筆者は昔、古い資料フォルダの整理を「見やすくして」とだけ投げて、ファイル名の付け直しと移動が想像以上に進んでしまい、あとで差分を見て青くなった。やったこと自体は悪くないのに、優先順位が共有されていなかったせいで、意図とズレたのだ。
文書作成でも同じだ。たとえば議事録や提案書の下書きを頼むなら、評価軸を先に出すだけでかなり違う。
次の判断基準で文章を整えてください。
- 先に結論が見えること
- 専門用語は必要最小限にすること
- 重要な数字や日付を落とさないこと
- 断定しすぎず、曖昧な点は曖昧だと分かること
- 読み手が次に何をすればいいかが分かること
この基準に沿って、以下のメモを提案書の下書きに直してください。
ここで大事なのは、「いい感じにして」ではなく、評価の物差しを先に並べることだ。Claude Code は命令文の空気を読んでくれるが、空気だけでは安定しない。物差しがあると、長い文章でもブレにくい。逆に、物差しがないと、やたら読みやすいが肝心なところが抜けた文章になりやすい。そこがだるい。
少し進めるなら、判断基準を3層に分けると扱いやすい。
まず絶対に守る条件、次にできれば守る条件、最後に迷ったときの優先順位だ。こうすると、Claude Code が勝手に「全部同じ重さ」と解釈しない。
絶対に守ること:
- 元ファイルは削除しない
- 変更前後が追えるようにする
- 重要なデータは勝手に要約しない
できれば守ること:
- 名前は短く、意味が通るものにする
- 同じ種類のものは同じ並びにする
迷ったときの優先順位:
1. 安全
2. 元に戻しやすさ
3. 見やすさ
この順番を置いておくと、結果がかなり安定する。特に、削除・移動・要約が絡む作業では効き目が大きい。人間は「当然わかるだろう」と思って省略しがちだが、Claude Code にとっては省略された部分がいちばん危ない。そこを曖昧にしたまま進めると、あとで「そういう意味じゃない」が発生する。
注意点もある。判断基準は多ければいいわけではない。10個も20個も並べると、今度は基準同士がぶつかって迷う。筆者は一度、資料整理の条件を細かく書きすぎて、重複判定、更新日時、ファイル名、本文の一致率まで全部入れてしまい、Claude Code がどこを重く見るべきか読みづらくなった。基準は少数でいい。効くものだけ残す。実務では、3つから5つくらいで十分なことが多い。
もう一つ、基準は「結果」ではなく「考え方」を書くのがコツだ。
「このフォルダをAとBに分けろ」より、「この資料は、提出済みか未提出かで分ける」と書く方が強い。前者は手順の指定、後者は判断軸の指定だ。Claude Code を使う場面では、後者のほうが応用が利く。似た案件が来ても、同じ基準でさばける。
応用するなら、最初に基準だけ渡してから、次に作業を小さく切るといい。
まず判断基準だけ確認したいです。基準にずれがあれば先に直してください。
そのあとで、作業を小さな手順に分けて提案してください。
いきなり実行せず、各手順の前で確認を入れてください。
このやり方は、非エンジニアの整理仕事でもかなり使える。たとえば「請求書」「契約書」「過去案件のメモ」が混ざったフォルダを整えたいとき、いきなり全件処理させるより、先に「どれを保管対象にするか」「重複はどう扱うか」「古いものはどう扱うか」を決めておく方が安全だ。判断基準を先に渡すだけで、Claude Code はただの自動化ツールではなく、方針に従う整理係になる。
迷いを減らしたいなら、最初の指示に作業内容より基準を書く。そこをケチると、あとでもっと時間を払うことになる。基準を先に渡すほうが、結局は早い。