Claude Code に雑に全部投げると、だいたい雑に返ってくる。これは性格の問題ではなく、入力の置き方が悪いだけだ。
「材料と判断基準を分ける」「入力を分離する」と先に決めておくと、Claude Code はかなり扱いやすくなる。ファイル整理でも、ディスク削減でも、文書作成でも同じだ。何を見せるかと、何を基準に選ばせるかを混ぜない。ここを分けるだけで、手戻りが露骨に減る。
たとえば「このフォルダのファイルを整理して」とだけ頼むと、Claude Code は中身の傾向を読んで、それっぽく並べ替えようとする。けれど、あなたが本当に欲しいのは「何を材料にして、どんなルールで整理するか」だろう。
資料を時系列で並べたいのか、案件ごとにまとめたいのか、重複を消したいのか。判断の軸が曖昧なままだと、結果は毎回ぶれる。ここを最初に切り分けるのが、この手の使い方の土台だ。
実際の頼み方は、こう分けるといい。
材料:
- このフォルダ内のファイル一覧
- 各ファイル名
- 可能なら更新日時とサイズ
判断基準:
- 案件ごとにまとめる
- 似た内容の重複は残さない
- 元ファイルは消さず、移動候補を提案する
- 名前だけで判断できないものは保留にする
やってほしいこと:
- まず整理案を出す
- 実際の移動や削除は私が確認してからにする
この書き方のいいところは、Claude Code に「何を見て」「何を判断して」「何を出力するか」が見えることだ。
ひとまとまりの依頼文に全部押し込むと、途中でルールが埋もれる。モデルは見えている情報をもとに最適化するので、材料と基準が絡まると、勝手に補完が入る。そこが余計な手戻りの元になる。
筆者は最初、こういう頼み方をしていた。
この案件フォルダを見て、重要そうなものを残して、不要そうなものを整理して。
これだと、重要そうの定義が空っぽだ。結果、Claude Code は中身の文脈を広く拾って、細かい書類まで「大事そう」と判断してしまう。
削除候補を絞りたいだけなのに、逆に候補が増える。こういうのは地味にだるい。だから今は、先に判断基準を書く。
材料:
- pdf, docx, xlsx の一覧
- ファイルサイズ
- 更新日時
判断基準:
- 最終更新が古い下書きは候補にする
- 契約書や請求書は候補にしない
- 同名で版違いがあるものは最新だけ残す候補にする
- 内容確認が必要なものは保留にする
出力:
- 残す
- 保留
- 候補
の3分類で表にする
こうすると、Claude Code は「何でも整理した気になる」方向に暴走しにくい。
しかも、あとで人間が見返したときに理由が追える。ここが大きい。AI に任せた結果がブラックボックスだと、結局その確認コストを人間が払う羽目になるからだ。
文書作成でも同じだ。
「このメモを読みやすくして」だけでは、材料と判断基準が混ざる。何を残すのか、何を削るのか、どの調子に寄せるのかが不明だからだ。そこで、最初にこう切る。
材料:
- 元のメモ全文
判断基準:
- 事実関係は変えない
- 冗長な繰り返しは削る
- 見出しを増やしすぎない
- 専門用語は残してよいが、初出だけ補足する
やってほしいこと:
- 文章を読みやすく整える
- 重要な事実は落とさない
- 変更点が分かるように、必要なら箇条書きで説明する
ここで大事なのは、「材料」と「判断基準」を分けると、Claude Code が勝手に空気を読みすぎなくなることだ。空気を読ませたい場面はあるが、整理や編集ではむしろ邪魔になることが多い。
空気よりルールだ。特に、社内文書、契約まわり、案件メモ、ファイル棚卸しみたいな用途ではそうだ。
注意したいのは、材料に判断を書き込んでしまう癖だ。たとえばこんな書き方は危ない。
このフォルダの中でいらなさそうなファイルを消す基準で整理して。
「いらなさそう」が最悪だ。曖昧すぎて、Claude Code は周辺情報から適当に補完する。
代わりに、判断基準は目で見て分かる形に落とす。更新日、拡張子、重複、版数、案件名、保管義務の有無。こういう具体に寄せると、入力が安定する。
そして、材料はできるだけ生データに近く、判断基準は短くはっきり書く。
この切り分けを意識すると、Claude Code への依頼はかなり強くなる。必要なら、材料だけを差し替えて同じ基準で何度も回せるからだ。毎回「今回はこういう気分で」と頼む必要がなくなる。これが楽だ。
少し進めるなら、依頼文を毎回この順に組むといい。
たとえばファイル整理なら、こうなる。
材料:
- 現在のフォルダ内のファイル一覧
- 各ファイルの名前、サイズ、更新日時
判断基準:
- 同一内容の重複候補はまとめる
- 期限切れの一時ファイルは候補にする
- 最終判断が必要なものは保留にする
- 元ファイルの削除はしない
出力形式:
- 変更案を表で出す
- どの基準に引っかかったかも書く
実行範囲:
- 実際の移動や削除は確認後
この形にしておくと、Claude Code は「何を見ているか」と「何で決めるか」を混同しない。
逆に、ここを分けないまま使うと、出力がそれっぽいのに使えない、という一番面倒な状態になりやすい。筆者も最初は何度かこれで手戻りした。見た目は整っているのに、判断の根拠が薄くて、そのまま使えない。結局、確認に時間を食う。もったいない。
非エンジニアの使い方でも、この分け方は効く。
たとえば「この案件の書類を整える」「重複したPDFを見つける」「古い資料を候補に分ける」といった用途では、材料はファイルそのもの、判断基準は運用ルールになる。
この2つを別に書くだけで、Claude Code はかなり素直に働く。説明が必要な仕事ほど、ここを曖昧にしない方がいい。
最後に、迷ったらこう覚えておけばいい。
材料は「見せるもの」、判断基準は「決め方」だ。
この2つを最初に分けるだけで、Claude Code への入力はずっと整理される。雑に投げて雑に返される関係から、確認しやすい実務の道具に変わる。