Claude Code に既存ファイルを読ませて、「このプロジェクトの書き方に寄せて」と頼むだけで、あとから直す手間をかなり減らせます。
新しく機能を足すときも、文書を整えるときも、ファイル整理をするときも、まずは“その場の流儀”を真似させるのが近道です。
たとえば、何人かで触っているコードベースには、見た目には小さいけれど守られている癖があります。変数名の付け方、コメントの温度感、改行の入り方、エラーメッセージの言い回し。Claude Code はそこを雑に平均化してしまうことがあるので、最初に「このファイル群の作法を読んで、同じ調子で書いて」と明示しておくと安定します。
使い方は難しくありません。手本を渡して、守ってほしい範囲を絞るだけです。
次の既存ファイルを読み、命名、コメントの量、関数の長さ、改行の癖を
このコードベースの作法として把握してください。
そのうえで、新しく追加するコードは、既存の書き方に合わせてください。
見た目だけ真似るのではなく、同じ意図の処理があれば同じ構造を優先してください。
もう少し実務寄りにするなら、何を真似るのかを具体化します。全部を真似させるより、見てほしい点を三つか四つに絞ったほうがうまくいきます。
このリポジトリでは、次の作法を優先して合わせてください。
- 変数名は短すぎず、説明的にする
- 早期 return を使う
- コメントは必要な場所だけに置く
- 既存の関数分割の粒度に合わせる
対象ファイル:
- src/app/main.ts
- src/app/utils.ts
- src/app/routes.ts
新規に追加する処理は、上のファイル群の書き方に揃えてください。
文書作成でも同じ考え方が使えます。たとえば社内手順書や提案書の下書きを、すでにある文書へ寄せたいときは、先に「模範」を読ませます。
この既存文書の文体を真似て、新しい手順書を書いてください。
真似てほしいのは次の点です。
- ですます調か、である調か
- 1 段落の長さ
- 箇条書きの使い方
- 専門語をどこまで説明するか
- 注意書きの置き方
内容の正確さを優先しつつ、文体と見出しの癖をできるだけ合わせてください。
ここで大事なのは、「似せる」の中身を分けて考えることです。
見た目の作法と、設計の作法は別物です。たとえばコードなら、改行位置やコメントの書き方は真似てもいいですが、古い実装の悪い癖まで丸ごとコピーする必要はありません。Claude Code にも、そこは分けて指示したほうが安全です。
既存コードの命名や文体は合わせてください。
ただし、古い実装の非効率な書き方や、わかりにくい分岐まで真似する必要はありません。
読みやすさを損なう場合は、同じ意図を保ったまま少し整理してください。
この頼み方が効くのは、Claude Code が“正解を一つ作る”より、“その場の流儀に従う”のが得意だからです。
特に、あとで人間が読む場面では、周囲と浮かないことの価値が大きい。関数だけ立派でも、命名やコメントが周囲から浮いているとレビューで止まります。逆に、文書なら、段落の長さや語尾が一部だけ違うと、そこだけ別人が書いたように見えます。
ただし、真似させるときにやりがちな失敗があります。
いちばん多いのは、手本を与えずに「既存コードに合わせて」とだけ言うことです。Claude Code は周辺を読んで推測はできますが、対象範囲が広すぎると、どのファイルの流儀を優先すべきか迷います。古いコードと新しいコードが混ざっているプロジェクトではなおさらです。
もう一つは、「スタイルを合わせる」と「内容も保守的にする」を混同することです。似せるのは書き方であって、変えるべき箇所まで古いままにすることではありません。たとえばファイル整理なら、既存のフォルダ名に合わせるのは有効でも、不要な重複ファイルを残す理由にはなりません。書面なら、社内の文体に寄せても、説明の順番をわかりやすく入れ替える余地はあります。
少し進んだ使い方をするなら、最初に“模範”を与えてから、作業のたびに「この基準で続けてください」と明言すると安定します。長い作業では、途中で調子が変わることがあるからです。
最初に読んだ既存ファイルの作法を基準にしてください。
以後の変更も、その作法に合わせて統一してください。
途中で別のファイルの癖が混ざる場合は、先に全体の統一を優先してください。
コードだけでなく、整理作業にも効きます。たとえば、似た名前のフォルダやファイルを統合したいときに、既存の命名ルールを先に読ませておくと、移動やリネームの結果がちぐはぐになりにくい。弁護士が案件ごとにディレクトリを掘って書面や証拠をまとめるような場面でも、最初の命名規則を守らせるだけで、後の検索性が変わります。
最後に、いちばん実用的なコツを一つ。
「何を真似るか」を短く列挙してから依頼すると、Claude Code はぶれにくくなります。抽象的な“雰囲気”ではなく、観察できる要素に落とし込むことです。命名、語尾、段落、コメント、関数分割。これだけで十分です。
この既存ファイル群の作法に合わせてください。
観察してほしいのは、命名、コメント量、段落の長さ、分割の粒度です。
新しい内容を足すときも、周囲から浮かない書き方を優先してください。
この頼み方に慣れると、Claude Code を「書く人」ではなく「その場の作法を守って整える人」として使えるようになります。
新規作成でも修正でも、まず手本を読ませる。たったそれだけで、仕上がりの違和感はかなり減ります。