案件を1つの場所に雑に押し込むと、あとで自分が探す側になる。これ、かなりだるい。Claude Code を使うときも同じで、案件ごとにディレクトリを分ける、いわゆる案件単位のフォルダ分離をしておかないと、指示・出力・メモ・成果物が混ざってすぐ迷子になる。
とくに Claude Code は、その場の文脈を見ながら作業を進める道具だ。だからこそ、作業単位をフォルダで切っておくと効く。コード案件だけの話ではない。文書作成、調査メモの整理、重複ファイルの洗い出し、契約書まわりの下書き管理みたいな使い方でも、フォルダの切り方で後の楽さが全然違う。
筆者は昔、1つの作業ディレクトリに別件のメモを足していって、どのファイルがどの案件の最終版か分からなくなったことがある。Claude Code に頼むたびに古いメモまで拾われ、修正のたびに diff が太る。あれは地味に痛い。最初に分けておけば、こんな事故はかなり減る。
まず、考え方は単純だ。Claude Code を起動する前に、案件ごとに親フォルダを切る。中に必要な資料、作業用メモ、出力物をまとめる。Claude Code には、その案件フォルダの中だけを見せる。これだけで、会話の対象もファイルの対象も狭くなる。
たとえば、こういう形だ。
projects/
client-a_contract-review/
source/
working/
output/
notes.md
client-b_blog-writing/
drafts/
references/
final/
notes.md
名前は何でもいいが、あとで見て分かる名前にするのが大事だ。project1 みたいな雑な名前は、3週間後の自分に刺さる。刺さるというか、ただ困る。
Claude Code に依頼するときは、その案件フォルダに移動してから始めるのが基本だ。
cd ~/projects/client-b_blog-writing
claude
この状態で作業すると、少なくとも自分が見ている範囲を案件単位に閉じ込めやすい。ファイル整理でも同じで、対象フォルダを狭くしておけば、不要なものまで触る事故が減る。
実際の頼み方も、フォルダ前提で書くとブレにくい。
このフォルダ内の資料だけを見て、重複している下書きファイルを整理してください。
最終版候補は final/ に残し、古い草稿は working/ に移してください。
ファイル名は内容が分かるように統一してください。
文書作成なら、こうだ。
この案件フォルダの notes.md と source/ の資料だけを使って、提案書の下書きを作ってください。
出力は output/proposal-draft.md に保存してください。
不要な資料は触らず、別件のファイルは参照しないでください。
ここで大事なのは、「何を見て、どこに出すか」を毎回固定することだ。曖昧に「いい感じに整理して」と投げると、Claude Code は広めに読もうとする。そうなると、別件のメモまで材料にしてしまう。人間が見ても混ざるし、AI にとっても混ざる。だいたい両方にとって面倒だ。
一歩進めるなら、案件フォルダの中に役割別の小箱を作るといい。たとえば、source/ は元資料、working/ は途中、output/ は完成品、archive/ は退避、という分け方だ。名前を決めておくと、Claude Code にも説明しやすいし、自分の頭も散らかりにくい。
client-a_contract-review/
source/ # もらった資料、参照用
working/ # 下書き、途中メモ
output/ # 先方に出すもの
archive/ # 古い版、保管用
この分け方のいいところは、あとで掃除しやすいことだ。たとえばディスクを空けたいとき、working/ と archive/ を見れば、消していい候補が見つけやすい。逆に全部が1階層に散っていると、何が現役で何がゴミか判定しづらい。Claude Code に重複ファイルの整理を頼むときも、役割ごとに置き場が決まっているほうが判断しやすい。
ただし、やりすぎは逆効果だ。フォルダを細かく切りすぎると、今度は自分が場所を覚えられなくなる。筆者も一度、source/ の中に source-old/ を作って、その下に reference/ を入れて、何がどこにあるか分からなくしたことがある。整理したつもりで、別の迷路を作っただけだった。階層は深くしすぎない。まずは3〜4段で十分だ。
もう1つ、案件フォルダを分けるときに効くコツがある。名前に日付を入れるなら、日付は先頭に寄せることだ。
2026-09_client-a_contract-review
2026-09_client-b_blog-writing
こうしておくと並び替えで崩れにくい。似た案件が続くときも見分けやすい。new や final-final みたいな名前を量産すると、半年後に自分で笑えなくなる。笑えないのでやめたほうがいい。
非エンジニアが使う場合は、もっと単純でいい。たとえば案件フォルダを「案件名そのもの」にして、そこに資料、下書き、完成版だけ入れる。契約書の確認なら A社_契約確認、講演原稿なら 講演_2026秋、書籍メモなら 書籍_企画メモ で十分だ。Claude Code には「このフォルダの中だけで作業して」と伝える。これだけで、周辺の雑多なファイルを巻き込みにくくなる。
最後に、実務での言い方を置いておく。Claude Code に丸ごと投げる前に、こんな指示にしておけばいい。
この案件フォルダだけを作業対象にしてください。
source/ は参照のみ、working/ は途中成果物、output/ は完成版として扱ってください。
別案件のファイルは触らず、このフォルダ内で完結する形で進めてください。
案件ごとにディレクトリを分けるのは、見た目の整理ではない。後から自分が迷わないための防波堤だ。Claude Code は便利だが、作業範囲がぐちゃぐちゃだと、その便利さがそのまま混乱に変わる。先に箱を作ってから使う。これがいちばん効く。