PaPoo
cover
technews
Author
technews
世界の技術ニュースをリアルタイムでキャッチし、日本語でわかりやすく発信。AI・半導体・スタートアップから規制動向まで、グローバルテックシーンの「今」をお届けします。

AppleがApp Store審査で200万件超を拒否した理由を解説:不正対策はここまで進んでいる

キーポイント

何が起きたのか

AppleがSecurityWeekに向けて明かした内容によると、2025年のApp Storeでは、​2百万件を超えるアプリ申請が却下されました。
さらに、​11億件超の不正アカウント作成をブロックし、結果として22億ドル以上の不正取引を未然に防いだとしています。

いやこれ、数字のインパクトがすごいです。
App Storeって、ただアプリを並べる棚ではなくて、​毎日とんでもない数の怪しい申請や不正行為が飛び込んでくる巨大市場なんだな、とあらためて感じます。

しかもAppleは、こうした対策をAIと人間のレビューの組み合わせで進めているとのこと。
AIだけに任せると見逃しや誤判定が出るし、人手だけでは件数が多すぎる。なので、​機械でふるいにかけ、最後は人が見るという現実的な体制です。かなり王道ですが、やっぱり強いです。

どのくらい厳しくチェックしているのか

Appleによると、2025年にApp Storeは910万件超のアプリ申請を受け付けて審査しました。
そのうち、

image_0004.jpg

という結果だったそうです。

ここで面白いのは、Appleが「アプリの数を増やす」よりも、​怪しいものを入れないことを優先しているのがはっきり見えるところです。
ユーザー目線では地味に見えるかもしれませんが、実はこの“地味さ”こそが信頼の源泉だと思います。

不正アカウント、海賊版ストア、偽レビューまで見ている

Appleはアプリ本体だけでなく、周辺の不正にもかなり目を光らせています。

たとえば、2025年には

image_0005.jpeg

といった対応をしたとしています。

ここでいう「海賊版ストア」は、Appleが認めていない、​勝手にアプリを配る怪しい販売所のようなものです。
そこでマルウェア(悪意あるソフト)や、正規アプリのコピー、怪しいソフトがばらまかれるわけです。普通の人からすると「App Storeじゃない場所でアプリを入れるなんて危なそう」と思いますが、実際にAppleはそこをかなり強く警戒しているわけです。

個人的には、このあたりの動きはかなり重要だと思います。
アプリの審査だけでなく、​**“どこから入ってくるか”まで防ぐ**のが今のセキュリティなんですよね。

image_0006.jpg

何が不正として見つかったのか

Appleは、AIによって以下のようなパターンをより早く見つけられるようになったと説明しています。

この“bait-and-switch”はなかなか厄介です。
見た目は普通なのに、審査をすり抜けたあとで中身を変えるタイプの手口だからです。これは、昔ながらの「悪い人は見た目ではわからない」を、アプリ審査の世界でそのままやっている感じです。

レビューや決済の不正もかなり防いでいる

Appleはアプリ申請だけでなく、​ratings and reviews(評価・レビュー)​の不正も処理しています。

2025年には、​13億件の評価・レビューを処理し、そのうち約1億9500万件を不正としてブロックしたそうです。
レビュー欄は便利ですが、同時に“水増し”や“やらせ”の温床にもなりやすい場所です。ここを守るのはかなり大事です。

image_0007.jpg

さらに決済面では、

したとのこと。

この数字は、正直かなりえげつないです。
アプリの世界って、開発者とユーザーの話だけではなく、​決済・アカウント・レビュー・配布経路まで全部つながっていて、そこが一気に狙われるんだなと感じます。

image_0008.jpeg

6年間で110億ドル超を守った意味

Appleは、過去6年間で110億ドル超の不正取引を防いだと述べています。
こういう数字を見ると、Appleのセキュリティ対策は「面倒な審査」ではなく、​巨大な経済圏を維持するためのインフラなんだと分かります。

App Storeは175のストアフロントで、​週850万人ではなく週850百万、つまり8億5000万人超の訪問者がいる巨大市場だとAppleは説明しています。
もし不正が野放しなら、ユーザーは怖くて使えないし、開発者も安心して商売できません。
だからこそAppleは、「ユーザーを守ることが、開発者を成長させることにもつながる」と主張しているわけです。これはかなり筋の通った話だと思います。

この記事から見えること

私が面白いと思ったのは、Appleが単に「うちは厳しく審査しています」と言っているだけではなく、​具体的な件数をここまで出してきたことです。
普通、セキュリティの話は抽象的になりがちですが、数字を出されると現実感が一気に増します。

そしてもうひとつ大事なのは、App Storeの不正対策が、もはやアプリ審査の話にとどまっていないことです。
アカウント、決済、レビュー、開発者登録、配布経路まで全部セットで守らないと意味がない。今のプラットフォーム運営は、本当に総力戦です。

個人的には、Appleのやり方は「閉じているから安全」と単純に言える話ではなく、​閉じたからこそ維持コストをかけて安全を作っているのだと思います。
ここをサボると、一気に信頼が崩れる。だからAppleはかなり本気でやっているのでしょう。

image_0009.jpg

もちろん、AIを使えば万能というわけではありません。
誤って正規のアプリや開発者を巻き込むリスクもあるはずです。ですが、今回の数字を見る限り、Appleはそのリスクを抱えつつも、​大規模な不正を止める現実解としてAI+人手レビューを回しているように見えます。

App Storeの裏側には、華やかなアプリ紹介ページからは想像しにくい、かなり泥臭い攻防がある。
この記事は、その現実を数字で見せてくれる内容でした。


参考: Apple Rejected 2 Million App Store Submissions in 2025 for Security and Fraud Prevention

同じ著者の記事