作業ログを丸ごと次の依頼に貼るのは、だいたい無駄だ。しかも、長いログほど Claude Code の思考を散らす。必要なのは全部ではなく、迷った地点だけである。ここを切り出すやり方は、振り返りテンプレにもなるし、迷いポイントの抽出としても使える。
このやり方のうまみは単純だ。前回の作業で「どこで判断に詰まったか」「どの分岐で止まったか」だけを次回に渡せるので、同じ迷いをもう一度なぞらなくて済む。ファイル整理でも、文書作成でも、コード修正でも効く。全部を引き継ぐと重い。迷った地点だけ戻すと、次の一手が速くなる。
たとえば、前回の依頼で「古い資料を年度ごとに分けてほしい」と頼んだのに、年度の切り方がファイル名基準なのか更新日基準なのかで止まったとする。このとき次回に必要なのは、作業ログ全文ではない。「年度の境目をファイル名で見るのか、更新日で見るのか迷った」という一点だ。ここだけ戻せば、Claude Code は同じ確認を繰り返さずに済む。
実際には、ログを見て次の三つだけ拾えばいい。
まず、判断が止まった場所だ。
次に、そのとき迷った選択肢だ。
最後に、決め手にならなかった理由だ。
これをそのまま次回の依頼に載せる。たとえば、こんな形になる。
前回の作業ログを見て、迷った地点だけを次回の依頼に戻したいです。
迷ったポイント:
- 年度の区切りを「ファイル名の記載年」で見るか「更新日」で見るか迷った
- 重複候補の扱いで、完全一致だけにするか、似た名前も含めるか迷った
- 先に一覧を作るべきか、実際に移動までやるべきか迷った
次回は、この迷いが再発しないように、判断が必要な箇所だけ先に確認してください。
全文の再掲は不要です。迷った地点だけを短く戻してください。
Claude Code に作業ログをそのまま投げるより、こうして依頼文の中で「迷った地点だけ」を明示したほうが、返答が締まる。ログ全体は長くなりやすい。特にファイル操作や文書整理の作業では、途中で試行錯誤が入り、コマンド履歴や差分が膨らむ。そこを全部再注入すると、次の依頼が重たくなる。重いだけでなく、肝心の論点が埋もれる。これがいちばんだるい。
筆者は最初、作業ログをまるごと次回に貼っていた。すると、Claude Code が前回の雑音まで拾ってしまい、すでに片付いた確認をまたやる。しかも、似た話が何度も出るので、どこを直せばよいのか見えにくくなる。そこで、迷った地点だけを抜くように変えたら、同じ依頼でもかなり扱いやすくなった。要するに、ログは保存しても、依頼に戻すのは要点だけでいい。
抽出のコツは、ログを「事実」と「迷い」に分けることだ。
たとえば、こんな見方をすると外しにくい。
事実:
- 3つの候補フォルダを確認した
- 既存の命名規則にばらつきがあった
- 差分は小さく見えた
迷い:
- どの命名規則を正とするか決めきれなかった
- 先に正規化するか、例外だけ扱うかで止まった
- 自動で移動してよいか確信が持てなかった
次回の依頼には、事実を全部は戻さなくていい。迷いの部分だけで足りることが多い。Claude Code は、どこで人間が判断を保留したかが分かると、次の確認をそこに集中できる。逆に、事実だけ並べても、何が論点だったかがぼやける。
ここでやりがちな失敗がある。迷った地点を「悩んだ気がするところ」まで広げすぎることだ。これはやりがちだが、雑になる。単なる処理時間の長さと、判断の迷いは別物だ。ファイル数が多かっただけなら、それは迷いではない。条件分岐が必要だったか、基準が決められなかったか、そこを拾うべきである。
もう一つ、次回の依頼に「前回の全部を踏まえて」とだけ書くのも弱い。これでは Claude Code が何を再確認すべきか分からない。人間同士でも、ここはよく崩れる。引き継ぎ資料が長いほど、読む側は要点を失う。だから、次回依頼にはこう書くとよい。
前回の作業で迷った地点だけを引き継ぎます。
- 迷い1: どの基準で分類するか
- 迷い2: 自動処理してよい範囲
- 迷い3: 例外の扱い
今回は、上の3点だけを先に整理してから進めてください。
ログ全文の再説明は不要です。
この書き方のいいところは、依頼のたびに型を変えなくてよいことだ。振り返りテンプレとして固定化できる。しかも、Claude Code の出力が毎回だいたい同じ粒度になるので、比較しやすい。前回より迷いが減ったのか、別の論点に移ったのかが見える。
一歩進めるなら、作業ログを残す段階で「迷い」欄を別に作るといい。後から探すより、書いた瞬間に分けたほうが速い。たとえばメモや依頼文の末尾に、こんな短い欄を置く。
迷った地点:
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この空欄を埋める癖をつけるだけで、あとで次回依頼に戻すときの精度が上がる。ファイル整理でも、文書校正でも、コード修正でも同じだ。ログは長くても構わない。だが、次回に持ち越すのは、判断が止まった点だけで十分である。もし「どこまで戻すか」の基準自体が毎回ぶれるなら、そこが次の迷いポイントだ。そこだけを先に決めておけばいい。