InfoQがオンライン認定プログラムを拡張し、新たに2つのコホートを追加しました。
追加されたのは、InfoQ Certified AI Engineering Program と InfoQ Certified Organizational Architect Program です。
ここでいう「コホート」は、同じ時期に集まった参加者で学ぶ少人数のグループ形式のことです。
日本語でざっくり言えば、通信教育っぽい資格講座ではなく、実務者同士で議論しながら進める少人数ゼミに近いです。
元記事で強調されているのは、これが上級者向けだという点です。
senior、staff、principal といった立場になると、社内で自分の判断を真正面から突っ込んでくれる人が減る。これはかなりリアルな話だと思います。
役職が上がるほど、見える範囲は広がるのに、「その判断、本当に大丈夫?」と検証してくれる相手は減る。技術者あるあるというより、むしろ組織あるあるですね。
InfoQは、その穴を埋める場としてこのプログラムを位置づけています。
つまり、ただ知識を教えるのではなく、自分の決定を他社の経験豊富な実務者にぶつけて、考え方を磨くための場です。
新設の AI Engineering コホートは、AIを「試作する」段階ではなく、本番で動かすことに重点があります。
扱うトピックは次のようなものです。
個人的には、このコホートの切り口はかなり良いと思います。
世の中では「AIを導入しよう」という話が先行しがちですが、実際の難所はだいたい精度、コスト、運用、責任分界です。
そこに正面から向き合う内容なら、かなり実務的ではないでしょうか。
もう1つの新設コホートが Organizational Architecture です。
名前だけ見ると少し堅そうですが、要するに組織の設計が、技術戦略の成功を左右するという話です。
扱う内容は次の通りです。
この分野は、派手さはないけれど本当に重要です。
技術的に正しい設計でも、組織がそれを受け止められなければ採用されません。
逆に、組織設計がうまいと、同じ技術でもずっと速く進む。ここは現場経験がある人ほど「わかる」とうなずくはずです。
今回の新コホートは、すでにある Certified Architect Program に加わる形です。
つまりInfoQのオンライン認定は、今回で次の3本柱になりました。
面白いのは、InfoQが単に「技術の認定」を増やしたのではなく、技術そのものと組織・意思決定の構造の両方を扱うラインナップにしている点です。
これはかなり今っぽいです。
今のソフトウェア開発って、コードだけ良くてもだめで、チーム構成、意思決定の流れ、運用、コスト、説明責任まで含めて設計しないと回らないからです。
InfoQのオンライン認定は、どれも5週間の共通フォーマットで進みます。
この構成は、かなり筋がいいです。
座学だけだと「なるほど」で終わりがちですが、実案件に当てはめると急に難しくなる。
でも、その難しさこそが本番です。
理論が現場で効くかどうかは、実案件に入れてみないと分かりませんからね。
しかも、参加者は他社・他業界の経験者と一緒に議論します。
これは地味に大きいです。
社内だけだと、どうしても思考の癖や前提が似てしまう。
外の目が入ると、「その前提、うちでは当たり前だけど他社では違うよね」というズレが見えてきます。ここが一番おいしいところだと思います。
既存の Software Architecture コホートでは、アーキテクチャの社会技術的な側面を扱います。
「社会技術的」というのは、コードや設計だけでなく、人や組織との関係込みでシステムを見るという意味です。
トピックには、分散システム、レジリエンス設計、分散された意思決定、platform engineering、そしてAIのアーキテクチャへの統合などが含まれます。
ファシリテーターは Luca Mezzalira 氏で、開始は 2026年6月10日。BSTまたはEDTのクラスがあります。
新設の Organizational Architect は、技術戦略が実際に採用されるかどうかを左右する「非技術的な意思決定」に焦点を当てます。
内容は、リーダー向けのコミュニケーション、価値の流れの設計、flow のためのアーキテクチャ、platformization、認知負荷の管理などです。
ファシリテーターは Manuel Pais 氏。
『Team Topologies』の共著者で、Team Topologies Academy のディレクターでもあります。
開始は 2026年6月19日、CEST 9:00 AM です。
新設の AI Engineering は、AIシステムを本番で持ちこたえさせることに焦点を当てます。
RAG、context pipelines、agent design、AI platform infrastructure、推論コスト、システム信頼性などがテーマです。
ファシリテーターは Hien Luu 氏で、Zoox のシニアエンジニアリングマネージャー。
『MLOps with Ray』や『Beginning Apache Spark 3』の著者でもあります。
開始は 2026年7月25日、PDT 9:00 AM です。
元記事の文脈から見ると、これはかなり明確に次のような人向けです。
つまり、初心者向け講座ではありません。
むしろ、「もう現場でかなり難しい判断をしている人」が、自分の判断を磨くための場です。
個人的には、こういうプログラムが増えるのはすごく良い流れだと思います。
技術の世界は、どうしても「新しいフレームワークを知っている人」が目立ちやすいですが、実際に価値が出るのは、複雑な状況で適切なトレードオフを選べる人です。
InfoQのこの企画は、まさにそこに焦点を当てています。
このプログラムを見てまず思ったのは、名前に Certification とあるけれど、実態はかなりワークショップ色が強いことです。
つまり、単なる肩書きのための資格ではなく、上級者向けの実践コミュニティに近い。
これは良し悪しでいうと、かなり良い方向だと思います。
なぜなら、シニア層に必要なのは「知っている証明」よりも、複雑な現実に対する判断力のアップデートだからです。
AIのように変化の速い分野ではなおさら、固定的な試験より、こうした対話型の学びの方が噛み合いやすいのではないかと思います。
一方で、4時間のライブセッションに5週間コミットするので、かなり本気の参加が必要です。
「空いた時間にちょっと見る」タイプではありません。
そこは間違いなくハードルですが、逆に言えば、本気で困っている人ほど価値が出やすい形式でもあります。
InfoQの新しいオンライン認定プログラムは、AIと組織設計という、いま現場で特に難しい2つのテーマを正面から扱っています。
しかも、講義を聞いて終わりではなく、自分の実案件を持ち込んで議論するスタイルです。
派手な「AI入門」ではありません。
でも、実務の最前線ではこういう地味で重たい議論のほうが、よほど価値がある。
個人的には、InfoQらしい、かなり筋のいい拡張だと感じました。
参考: InfoQ Online Certification Program: New AI Engineering and Organizational Architecture Cohorts