この記事を読んでまず思ったのは、MCP対応って思ったよりずっと面倒で、しかも面倒さの質がかなり独特だな、ということだった。APIを公開すればいい、ドキュメントを書けばいい、という話ではなくて、「AIエージェントがどう見つけるか」「どう読むか」「どの順で使うか」まで考えないといけない。普通のWebサービス設計とは、少し違う土俵に入ってきている感じがする。
特に引っかかったのは、著者が実際に試してみたら、MCPサーバーを立てただけではAIエージェントに使ってもらえなかった、という点だ。これはかなり示唆的だと思う。人間向けのサービスなら、入口を作って案内を書けば十分なことが多い。でもAI相手だと、入口の存在自体を気づいてもらえないし、読ませ方も整っていないと、そもそも候補に上がらない。
しかも対応方法が llms.txt や MCP Server Card、API Catalog、Markdownへの応答、robots.txt など、既存のWeb運用の延長に見えて、実際には「AIがたどる導線をどう設計するか」という別の仕事になっているのが面白い。Webの世界にまた新しい“サイト内検索最適化”みたいなものが生まれている、という感覚に近いかもしれない。
一方で、記事を読んでいて少し不思議だったのは、これだけ「AIに読ませる工夫」が話題になっているのに、まだ決定版っぽい作法が見えていないことだ。著者自身も、最終的には「採用するかどうかはクライアント次第」と言っている。つまり、サーバー側があれこれ頑張っても、AIクライアントの実装や方針で結果が変わってしまう。ここはまだ、技術というより“相性の問題”に近いのではないかと思った。
便利そうではあるけれど、運用コストと効果の釣り合いはまだ怪しい。そこを正直に書いているのが、この記事のいちばん信用できるところだった。