最初に思ったのは、ようやく「会話のたびに前提を説明し直す面倒」が減りそうだな、ということだった。これは地味だけど、実際に使う側にはかなり大きい。チャットと作業用エージェントで記憶が共有されると、同じ人に話している感覚が少し強くなる。毎回ゼロから自己紹介しなくていいAIは、かなり楽だと思う。
ただ、嬉しさと同じくらい気になったのは、記憶の境界がどんどん広がっていくことだ。今回の更新では、敏感な話題はデフォルトでは保存しないし、保存するかどうかを切り替えられる。そこは筋が通っている。でも、設定があるから安心、とは単純には言い切れない気もする。AIの「覚えていてほしい」と「覚えていてほしくない」は、ユーザーごとにかなり揺れるからだ。健康や政治みたいな話題は、便利さにもなるし、逆に少し怖さもある。
それでも、Anthropic が「何を覚えるか」をかなり細かく扱おうとしているのは悪くない方向だと思う。記憶機能って、放っておくとただのブラックボックスになりがちだけれど、今回の変更は少なくとも「覚えること自体をユーザーが触れる」感じがある。AIが賢くなるより先に、AIに何を渡すかを調整できることのほうが、実は大事なのかもしれない。