PaPoo
cover

長い資料は章ごとに渡す:一気読み前提をやめる

長い資料をそのまま丸投げして、Claude Code が全部を一気に飲み込む前提で話を進める。これ、かなり雑だ。章ごとに渡したほうが早いし、手戻りも減る。資料を分割して渡す、章ごとに入力する。呼び方は何でもいいが、やることは同じである。

Claude Code は長文を処理できる。ただし、だからといって「全部を一回で読ませれば安心」にはならない。実際は、要件の中心と枝葉が混ざって、どこに力を使うべきかがぼやける。PDF の規程集、議事録の束、引き継ぎ文書、契約書のたたき台、フォルダに散らばったメモ。こういうものを一気に投げると、見てほしい章より、どうでもいい付録に引っ張られることがある。筆者も最初は、1 本の長いメモをそのまま渡して「全体を要約して」とやり、欲しい論点が抜けた要約を返されて手戻りした。原因は単純で、指示が悪い。長い資料は、渡し方で勝負が決まる。

やることは難しくない。まず、資料の全体像をつかみたいのか、特定の章だけを処理したいのかを決める。次に、章や節ごとに切る。最後に、Claude Code に「この章だけ読んで」「この章と前章を比較して」「この章の変更点だけ拾って」と明示する。雑に言えば、長編小説を一気に感想にするのではなく、章ごとに読みながら論点を絞る、あの感覚だ。

たとえば、社内規程の見直しなら、こんな渡し方でいい。

次の3章だけを読んで、相互に矛盾している箇所がないか確認してください。
- 第2章 利用ルール
- 第5章 例外対応
- 第8章 罰則

出力は次の順でください。
1. 章ごとの要点
2. 矛盾している可能性がある箇所
3. 直すならどの章をどう直すべきか

文書作成なら、もっと露骨に章を切ってしまっていい。

以下は提案書の第1章です。まず、ここだけを読んで、内容の重複と抜けを指摘してください。
そのあとで、次の章に進みます。

# 第1章 背景
...

コードやフォルダ整理でも同じだ。リポジトリ全体をいきなり見せるのではなく、README、設定ファイル、関連するディレクトリだけに絞る。不要なキャッシュ削除や重複ファイルの洗い出しでも、全領域を一度に見せるより、場所ごとに分けたほうが判断しやすい。たとえば写真フォルダなら、年別、端末別、案件別に分けて渡す。Claude Code に「このフォルダの中だけで重複候補を洗い出して」と頼めばいい。全体を見せてから考えさせるより、話が速い。

このフォルダだけを対象にしてください。
目的は重複ファイル候補の洗い出しです。
ファイル名が似ているもの、サイズが極端に近いもの、同じ日時に作られたものを優先して拾ってください。
削除はしないで、候補一覧だけ出してください。

ここで大事なのは、「一気に全部読んでから考えてくれ」という頼み方をやめることだ。そういう依頼は、たいてい中途半端に広く、浅くなる。長い資料には、たいてい優先順位がある。先に読むべき章、後でいい章、比較対象にすべき章がある。そこを人間が切り分けずに投げると、Claude Code は忠実に全部拾おうとして、かえって肝心の論点が薄まる。

章ごとに渡すときのコツは、毎回、役割を変えることだ。1回目は要約、2回目は矛盾チェック、3回目は書き換え案。全部を同じ問い方にしない。問いが同じだと、出力もだいたい同じ方向に寄る。たとえば契約書なら、最初は各章の役割を短く言わせ、次に不利な表現を拾わせ、最後に読み手向けの平易な言い換えをさせる。この順番が自然だ。

第3章だけを読んで、次の2点をしてください。
1. この章の目的を1〜2文で要約する
2. 初見の人が誤解しやすい表現を挙げる

次に、第4章を送るので、両者の関係も見ます。

やってはいけないのは、章の切り方が雑なのに「章ごと」と言い張ることだ。見出しが付いているだけで、実質は前後の文脈がべったりつながっている資料がある。こういうときは、章単位ではなく節単位に切る。さらに、前提が必要なら冒頭に短い前提だけ添える。全部を渡す必要はないが、まったく何も渡さないのもだめだ。必要なのは、最小限の文脈である。

筆者は以前、長い仕様書を章ごとに分けずに一括で見せて、あとから「この章だけ直して」と頼んで失敗した。Claude Code はちゃんと読んでいたのに、前章の用語に引っ張られて、別物なのに同じ前提で書き換えたからだ。こういう手戻りは地味に痛い。修正箇所が増えるほど、差分も増える。差分が増えるほど、人間の確認がだるくなる。だから先に分ける。先に絞る。これだけで事故はかなり減る。

長い資料を扱うときは、最初から「全体を読む」より、「どの章をどう料理するか」を決めて渡したほうが強い。要約したい章、直したい章、突合したい章を分ける。読ませる順番も、人間側で決める。Claude Code は万能の読書機ではないが、指示がきれいならかなり頼れる。長文を一発で片づけさせる発想を捨てるだけで、使い勝手が一段上がる。

章ごとに渡す運用に慣れると、次は「前の章までの結論を短く保持させながら、次の章に進む」やり方が便利になる。これをやると、長い提案書や規程、案件資料の処理がかなり安定する。最後まで一気読みさせるのではなく、細い単位で受け渡す。Claude Code を使うときは、このほうが結局は速い。

関連 TIPS

同じ著者の記事