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Tech CEOたちが「AIに夢見すぎ」問題に陥っているらしい

キーポイント

「AIで全部うまくいく」は本当か?

TechCrunchの記事は、最近のテック業界に漂う妙な高揚感をかなり皮肉っぽく描いています。
AIはたしかに強力です。文章を書く、コードを補助する、契約書の下書きを作る――こうした「それっぽい」仕事はかなり得意です。

でも、記事が面白いのは、そこから先の“現実”に踏み込んでいるところです。
経営者がAIを少し触って「これはいける!」と思っても、実際の現場ではその後に何十もの面倒な作業が待っています。たとえば:

要するに、AIは“デモ”では強いけれど、“業務”になると急に話が変わる、ということです。
これはかなり重要だと思います。技術の話って、つい「できたもの」だけを見てしまいがちですが、実際に価値を生むのは、その後ろにある地味な工程だからです。

BoxのCEOが言う「CEOはAI psychosisにかかりやすい」

記事の中心にいるのは、Box共同創業者兼CEOのAaron Levieです。
彼はXでこんな趣旨の投稿をしています。

CEOは、AI psychosisに特にかかりやすい

ここでいう「AI psychosis」は医学用語ではなく、かなり挑発的な比喩です。
つまり、「AIに触れると、つい万能だと錯覚してしまう状態」くらいの意味で読むのが自然です。

Levieの主張はシンプルです。
CEOは現場の細かい手順から距離があるので、AIの“きれいに見える結果”だけを見て、「このまま全部自動化できそう」と考えやすい。
でも実際には、現場の人たちがやっているのはそんなに単純ではない。だから、トップだけが夢を見ると判断を誤る、というわけです。

個人的には、これはかなり鋭い指摘だと思います。
経営層って、どうしても「全体最適」を考える立場なので、現場の泥臭さが見えにくいんですよね。AIはその“見えにくさ”をさらに加速させるのかもしれません。

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しかもLevie自身は「AI懐疑派」ではない

ここが面白いところで、Levieは別にAIを否定しているわけではありません。むしろ真逆です。

つまり彼は、AIバンザイ派の中の人です。
その人が「でもCEOは夢見すぎると危ない」と言っているので、なおさら重みがあるんですよね。AI批判というより、「期待はしていい、でも現実を見よう」という話です。

Levieは、CEOに対して「AIをたくさん使ってみろ」と勧めています。
ただし、それは「魔法を信じろ」ではなく、「できることとできないことの両方を理解しろ」という意味です。ここは地味だけど大事です。

2026年のテック業界は、すでにかなり荒れている

記事では、2026年のテック業界のレイオフ事情にも触れています。
Layoffs.fyiによると、2026年の最初の5か月だけで:

一方で2025年全体では:

つまり、2026年は年の途中なのに、すでに前年にかなり迫る勢いです。
これはかなり異常です。数字だけ見ると、業界全体がまだ落ち着いていないことがよくわかります。

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そして多くの会社が、こうした人員削減の理由としてAIを挙げています。
ただし記事は、そこに疑いの目も向けています。
「AIで効率化できたから減らした」と言っていても、実際には別の経営判断や業績の問題が本当の理由ではないか、というわけです。

この手の話、最近ほんとに多いです。
個人的には、AIは便利な“説明材料”にもなりやすいと思います。経営としては「市場環境のせいです」より「AIの進化に合わせた再編です」と言ったほうが、未来志向っぽく聞こえますからね。

ClickUpの事例はかなりインパクトがある

記事中で特に印象的なのが、ClickUpのCEO、Zeb Evansの話です。
彼はXで、社内業務のために約3,000のAI agentsを導入したあと、従業員の約22%、つまり4分の1弱をレイオフしたと誇らしげに語っています。

ここでいう「AI agents」は、簡単に言うと、ある程度自律的に作業を進めるAIのことです。
人間が一つ一つ指示しなくても、タスクをこなそうとするソフトウェアだと思えばOKです。

Evansは、これをコスト削減のためだとは言いません。
代わりに、AI agentsを運用し、その成果を素早くチェックする人間中心の組織を作りたい、と説明しています。彼はこれを「100x org」と呼んでいます。
要するに、少人数で100倍の仕事をする組織を目指す、という夢ですね。

ただ、ここにはかなり大きな飛躍があります。
「AIを入れたら仕事が速くなる」と「だから人を減らせる」は、実は同じではありません。
記事がそこを強く疑っているのはもっともだと思います。

研究は、そこまでバラ色ではない

TechCrunchは、AIと生産性に関する研究も紹介しています。ここが記事の“冷静な部分”です。

1. UC Berkeleyのメタ分析

2025年10月に公開された研究のまとめでは、
AI導入と全体的な生産性向上の間に、安定した関係は見つからなかったとされています。

「メタ分析」とは、複数の研究結果をまとめて傾向を見る手法です。
つまり、単発の成功例ではなく、全体としてどうなのかを見たわけです。

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2. NBERの研究

2025年3月の研究では、AI導入で生産性が改善したとはいえ、
​「生産性のパラドックス」​があると指摘しています。

これは、

という現象です。

これ、めちゃくちゃ人間っぽいです。
新しいツールを使うと、最初は「めっちゃ速い!」と感じるんですが、実際には確認や修正で時間を食っていることが多いんですよね。

3. MITの研究

MITの研究では、AI agentsがまだ多くの場面で人間品質の仕事をできていないと結論づけています。
さらに、LLMの進化ペースがこのまま続けば、2029年には多くのテキスト系タスクを最低限はこなせる水準には届くかもしれない、と予測しています。

ただし、それでも人間を超えるにはさらに時間がかかる見込みです。

ここで大事なのは、「最低限こなせる」と「本当に信頼して任せられる」は違うという点です。
現場ではこの差がとても大きい。雑に言えば、80点の自動化は見た目が派手でも、事故が1回起きると全部吹き飛ぶことがあります。

AIで仕事が増えると、最後に詰まるのは上司

記事の後半でもう一つ面白いのが、Harvard Business Reviewの研究への言及です。
そこでは、みんながAIでたくさんアウトプットできるようになると、​ボトルネックが上司や経営層に移るとされています。

つまり、現場はどんどん成果物を出せるけれど、それを承認したり判断したりする人が追いつかなくなる。
これはかなりありそうです。
AIが民主化されるほど、「じゃあ誰が責任を持つの?」という問題が前に出てくるからです。

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記事は、もし全員がどんどん動けるようになったら、OpenAIで昨年起きたような“統制の難しさ”が会社全体で起こるかもしれないとも示唆しています。
要するに、便利さの裏で組織がカオスになるかもしれない、ということです。

この記事が言いたいこと

TechCrunchの記事は、単なる「AIバブル批判」ではありません。
もっと正確に言うと、

という話です。

そして最後に、この記事はかなり皮肉っぽく締めています。
もしCEOたちがAIに夢を見すぎたまま進めば、待っているのは効率化ではなく組織の混乱ではないか、と。

私はこれ、かなり本質を突いていると思います。
AIの問題って「使えるかどうか」だけじゃなくて、「誰がどこまで理解して、どこで止めるのか」なんですよね。
テクノロジーそのものより、むしろ意思決定のほうが危ない。この記事はそこを突いていて、読後感はちょっと笑えるのに、内容はかなりシャープです。


参考: Tech CEOs are apparently suffering from AI psychosis | TechCrunch

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