正直、こういうのが欲しかったんだよな、と思った。
チェスの解析って、エンジンの数字だけ見てもだいたい気持ちよくならない。-1.8 と出ても、実戦で本当に知りたいのは「なぜその手がまずかったのか」「自分は何を怖がりすぎたのか」で、そこがいつも抜け落ちる。このリポジトリは、その穴をかなり真面目に埋めにいっている。
面白いのは、単にStockfishで評価して終わりにしないところだと思う。Claude Codeに、実際に考えていたことまで渡して、あとから「そのとき自分が何を疑っていたのか」を engine-backed に突き返させる。これ、ただの解析ではなくて、思考の検証なんだよね。棋譜の反省って、盤面そのものよりも「自分の判断の癖」を見たい作業なので、そこに音声メモや think-aloud を組み込む発想はかなりしっくりくる。
逆に、少し引っかかったのは、やはり時間がかかることと、AI の幻覚を完全には消せないこと。1局の処理にだいたい1時間というのは、気合いを入れて指した将棋ならぬチェス向けで、気軽な振り返りには重い。しかも、これは毎局やるものではなく、じっくり考えた対局に使うべきだと書いてある。そこは誠実だけど、便利さの代わりに「気軽さ」は捨てている。そこをどう受け止めるかで、この仕組みの価値が分かれそうだと思った。
でも、だからこそ刺さる人にはかなり刺さるはず。自分の考えた言葉がそのまま残っていて、それをエンジンが検証してくれるなら、反省が「なんとなく悔しい」で終わらない。棋譜を勉強するというより、対局中の自分をあとから読むための装置、という感じがした。