自動運転タクシーで知られるWaymoが、米国で約3,800台のrobotaxiをリコールすると発表しました。
理由はかなり直球で、「冠水した道路に入ってしまう」恐れがあるソフトウェアの問題です。
ここでいうリコールは、ふつうの自動車でよくある「部品の不具合なので修理します」という話に近いですが、Waymoの場合はソフトウェアの修正が中心です。つまり、機械を交換するというより、車の頭脳にあたるプログラムを直すわけですね。自動運転車らしいリコールだな、というのが率直な印象です。
CNBCによると、この自主回収の対象は、Waymoの第5世代と第6世代の ADS を使う車両です。
ADS は automated driving system の略で、ざっくり言えば車を自動で走らせるための中枢システムです。

今回の問題は、Waymoの車が水に覆われた道路を「走れる」と誤認してしまうことにあります。
本来なら進んではいけない場所に、車が自分で入ってしまう。これがいちばん怖いところです。
記事では、Austin, Texas で実際に以下のような様子が撮影されていたと報じています。
自動運転車って「人間より慎重で安全そう」というイメージがありますが、こういうケースを見ると、天気や道路状況の“非常に人間くさい判断”がまだ難しいのだと分かります。私はここが、今の自動運転の面白さであり、同時に限界でもあると思います。
Waymoは声明で、「高速度道路における、通行不能な冠水車線」に関する改善点を見つけたとしています。
ちょっと難しい言い回しですが、要するに「その道路、今は走っちゃダメだよ」という判断が甘かった、ということです。
会社側はすでに次の対応を進めています。
この「運行エリアを制限する」というのは、派手ではないけれどかなり重要です。
自動運転は何でもできる魔法ではなく、苦手な状況では逃げることも立派な安全策だからです。むしろ、無理をしないのは良い判断だと思います。
今回のリコールの引き金になったのが、San Antonioでの事故です。
4月20日、Waymoの車両が冠水した道路に入り、乗客がいない状態で creek に流されたと報じられています。
乗客がいなかったのは不幸中の幸いですが、もし人が乗っていたらと思うとぞっとします。
自動運転車の事故は、単なる「車が壊れた」では済まされません。システムの判断そのものが安全だったのかが問われるからです。
この件をきっかけに、米国の交通安全当局である NHTSA(National Highway Traffic Safety Administration)が調査に入り、結果として今回の自主回収につながりました。
Waymoはすでに、米国11市場で商用 robotaxi サービスを展開しています。
San Francisco、Los Angeles、Phoenix、Austin、Miami などでは広く一般利用も可能です。
さらにWaymoは、毎週50万回以上の乗車を提供していると説明しています。
この数字を見ると、もう「実験中の珍しい乗り物」ではなく、かなり現実の交通インフラに食い込んでいるのが分かります。だからこそ、こうした不具合は軽く扱えません。台数が増えれば増えるほど、1件のミスの社会的な重みも増します。
今回のニュースで注目すべきなのは、単に「Waymoがミスした」という話ではないことです。
むしろ本質は、自動運転が“普通の悪天候”にどこまで対応できるかという問題にあります。
人間なら、「この先、道路が水没しているな」と見て引き返せます。
でも自動運転車は、センサーの情報や地図、過去の学習データをもとに判断するので、想定外の状況に弱いことがある。特に冠水は厄介で、見た目だけでは深さが分かりにくいし、道路と水の境目も曖昧です。
つまり今回の件は、派手なハッキングや大事故ではないけれど、自動運転の“日常的な難しさ”がむき出しになった事例だと思います。
こういう地味な失敗の積み重ねが、結局は技術を強くしていくのだろうな、というのが率直な感想です。
Waymoは、冠水した道路に進入してしまう可能性があるソフトウェア問題を受けて、約3,800台のrobotaxiを自主回収しました。
すでに一部修正は進んでおり、さらに安全策を追加しているとのことです。
自動運転は「人よりうまく走る未来の車」というイメージが先行しがちですが、実際にはこうした細かい判断ミスを一つずつ潰していく地道な作業の連続です。
今回のリコールは、その現実をかなり分かりやすく示したニュースだと感じます。
参考: Waymo recalls 3,800 robotaxis after glitch allowed some vehicles to 'drive into standing water'