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ガバメントクラウド移行後の“その先”を探る:デジタル庁が事業者向けに検討・検証事業の第二回公募を開始

キーポイント

まず何の話か、ざっくり言うと

今回の発表は、地方自治体のシステムをクラウドに移したあと、​どうすれば安く、安定的に、うまく運用できるのかを調べるための実証事業です。

「標準化」と「ガバメントクラウド」という言葉だけでも少し重たいですが、要するに自治体ごとにバラバラだったシステムを、なるべく共通の型に揃え、国が定めるクラウド環境で動かしていこう、という流れです。

で、問題はここからです。
システムは“移して終わり”ではありません。むしろ本番は移した後。運用コスト、連携の難しさ、監視や自動化、共同利用のやりくりなど、地味だけど超重要な課題が山ほど出てきます。今回の公募は、まさにその“地味だけど避けて通れない部分”を詰めるものだと思います。

この記事のポイント

1. 第二回公募がスタート

デジタル庁は、​令和8年度(2026年度)​の「地方公共団体情報システムの標準化・ガバメントクラウド移行後の運用最適化及び活用に係る検討・検証事業」について、第二回公募を開始しました。
対象は事業者です。

2. さくらのクラウドが対象に追加

第一回公募からの大きな変更点は、​2026年3月27日に“さくらのクラウド”がガバメントクラウド対象サービスに決定されたことです。
そのため今回の事業でも選べるようになりました。これはかなり大きい話です。選択肢が増えると、競争も工夫も増えるので、現場にとっては悪くない変化ではないでしょうか。

3. 重点は「移行後の運用」

検討項目は、単なるクラウド移行ではなく、​その後の運用最適化にかなり寄っています。
たとえば、

4. ダミーデータ前提で、VPN接続も可

今回の検証は機微情報ではないダミーデータを使う前提です。
そのため、ガバメントクラウドへの接続もインターネットVPNでよいとされています。これは、実務を意識しつつも、安全面と検証しやすさを両立しようとした設計だと見られます。

どんな事業なのか

この事業の目的は、ひとことで言えば
​「自治体システムをクラウドで動かすときの、現実的な課題を洗い出して改善策を探ること」​
です。

特に今回の対象は、単に“クラウドへ移す”ことではなく、その後にどう運用を回すか、どう安定性と効率を上げるかにあります。
ここが面白いところで、クラウド導入って世の中的には「最新技術!」みたいに語られがちですが、現場ではむしろ、​監視・運用・連携・費用のほうが本丸なんですよね。派手さはないけれど、ここを外すと一気に苦しくなる。今回の公募は、その現実をかなり正面から見ています。

対象となるベンダー

応募できるのは、​2026年5月から9月の間に新規でガバメントクラウド利用を始めたいベンダーです。
さらに、検証期間が終わる2027年3月31日までに、利用環境やシステムの停止・データ消去を行えることが条件です。

また、​複数ベンダーでの共同応募も可能です。
これはかなり実務的です。自治体システムは一社完結ではなく、複数の製品やサービスが絡むことが多いので、共同応募を認めるのは自然な判断だと思います。むしろ、こういう現実を前提にしている点に、制度側の成熟を感じます。

何を検討・検証するのか

採択されたベンダーは、次の4系統のうち1項目以上を選んで取り組みます。

ア. データ連携等に係る課題

これは、システム同士をどうつなぐかの話です。
たとえば、

などが含まれます。

APIは、かんたんに言うと「システム同士が会話するための窓口」です。
この連携がうまくいかないと、せっかくクラウドにしても“つながらないシステム群”になってしまいます。ここは本当に重要です。

イ. サービスデリバリー効率化の推進

ここでは、​公共SaaS窓口DXSaaSへの対応などがテーマです。
SaaSは、ざっくり言えば「ソフトを自前で持たず、サービスとして使う形」です。自治体業務でもこの流れを進めたい、ということですね。

検討内容には、

などがあります。

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個人的には、この分野はかなり面白いと思います。
なぜなら、技術の話に見えて、実は契約・運用・調達の話だからです。システムが良くても、契約の壁で止まることは珍しくありません。ここを真正面から扱うのは、かなり現場目線です。

ウ. 基盤最適化の推進

これは、クラウド上の土台をどう賢く運用するかの話です。
例としては、

などが挙げられています。

インフラのコード化は、環境構築を手作業ではなくコードで再現できるようにする考え方です。
これが進むと、再現性が上がり、ミスも減りやすい。クラウドの“うまみ”をちゃんと使うには重要な視点です。

エ. その他、デジタル庁と協議して有益と認められたもの

柔軟な受け皿も用意されています。
例として、​生成AIを使ったリソース状況の証跡(利用明細)作成の検討・検証が挙げられています。

ここはかなり今っぽいですね。
生成AIは何でも解決する魔法ではないですが、ログや明細の整理のような、地味だけど工数がかかる作業には相性がいい可能性があります。もちろん、実運用では正確性や説明責任が大事なので、安易な楽観は禁物です。それでも「こういう使い方を試す価値はある」と国が明示しているのは、かなり興味深いです。

今回の変更点で注目すべきところ

第一回からの変更で目立つのは、やはりさくらのクラウドの追加です。
ガバメントクラウドの選択肢が広がることで、ベンダー側の戦略も変わりますし、検証の幅も広がります。

また、参考ひな形の事業計画書には、CSP欄に「さくらのクラウド」が追加されました。
CSPはCloud Service Provider、つまりクラウドを提供する事業者のことです。こうした文書上の更新は小さく見えますが、制度としてはかなり大事です。現場が本当に使える形に落とし込まれているからです。

期間と公募の終了

公募期間は
2026年4月6日(月)から2026年4月17日(金)17時まで
そして記事冒頭にもある通り、​応募はすでに終了しています。

なので、今から応募する話ではありません。
ただし、この発表は「行政クラウドをどう運用最適化していくか」という国の考え方がかなり具体的に見えるので、自治体向けシステムに関わる人や、公共領域のクラウド事業に関心のある人には、十分読む価値があります。

この発表の意味をどう見るか

率直に言うと、これはかなり実務寄りで、いい意味で地味な発表だと思います。
大きなスローガンではなく、「移行後に何が困るのか」「どこを改善すべきか」を細かく積み上げている。こういう取り組みがないと、クラウド化は絵に描いた餅になりやすいです。

特に、

あたりは、今後もずっと効いてくる論点です。
派手ではないけれど、ここを押さえることができれば、自治体システムの運用はかなり変わるはずです。私は、こういう“現場のつまずき”に真正面から向き合う政策のほうが、むしろ本当に効くと思います。

まとめ

今回のデジタル庁の公募は、自治体システムを標準化し、ガバメントクラウドへ移したあとに残る課題――つまりどう運用し、どうつなぎ、どう安く賢く回すか――を検証するためのものです。

第一回からの大きな変化は、​さくらのクラウドが選択可能になったこと
そして検証テーマは、いよいよ「クラウドを使うこと」そのものではなく、​クラウドをどう使いこなすかへと進んでいます。

この流れは、行政DXが次の段階に入っているサインだと見てよさそうです。


参考: (公募終了)令和8年度 地方公共団体情報システムの標準化・ガバメントクラウド移行後の運用最適化及び活用に係る検討・検証事業第二回公募を開始しました【事業者対象】|デジタル庁

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