「IMG_4839.jpg」を100枚並べて、あとで中身を見てから直そうとする。あれ、だいたい破綻する。写真でも書類でも、名前が意味を持っていないと、探すだけで時間を食う。Claude Code は、その手の雑な山を一気に片づけるのに向いている。
ただし、いきなり「全部いい感じにリネームして」と投げるのは危ない。ファイル名は短いのに、中身は長い。だから先にやるべきことは、Claude Code に内容を読ませる前提を整えて、命名ルールを決めることだ。ここを飛ばすと、出力はそれっぽいが、あとで人間が直す羽目になる。筆者は最初、このあたりを雑に頼んで、日付形式がバラけたファイル群を量産してしまった。見た目は整っているのに、並び順がぐちゃぐちゃで、結局やり直しだ。痛い。
まず大事なのは、Claude Code に「何を材料にして、どういう名前にするか」をはっきり渡すことだ。写真なら撮影日、場所、被写体。書類なら日付、相手先、案件名、文書種別。この4つのどれを優先するかで、後の検索性が変わる。
たとえば、写真整理ならこういう指示でいい。
このフォルダ内の画像ファイルを見て、内容に沿ったファイル名に一括でリネームしてほしい。
ルール:
- ファイル名は `YYYY-MM-DD_内容_連番` にする
- 連番は同じ日付・同じ内容で重複しないようにする
- 日本語のファイル名でもいいが、長すぎないこと
- 文字化けや記号が出そうなら英数字に寄せる
- まずは変更案を一覧で出して、私が確認してから実行すること
書類なら、もう少し事務っぽく切ると使いやすい。
このフォルダ内のPDFと画像を、内容に沿ってリネームしたい。
ルール:
- ファイル名は `YYYYMMDD_相手先_文書種別_件名` にする
- 日付が文書内にあるものはそれを優先する
- 請求書、見積書、契約書、議事録のような文書種別を先頭寄りに置く
- 似た内容のものは混同しないように、件名を短く具体的にする
- 実際のリネーム前に、旧名と新名の対応表を出す
この「先に一覧を出せ」はかなり重要だ。Claude Code は作業そのものを自動化できるが、ファイル名の変更は一発勝負になりやすい。中身を読み違えたまま実行すると、修正のためにまた全体を見ることになる。diff が小さく済むうちに止めるほうが賢い。
実際の流れはこうだ。Claude Code を開いて、対象フォルダを作業領域にする。そこから、ファイルを見て命名案を作らせる。たとえば、こういう感じだ。
このディレクトリ内の .jpg .png .pdf を対象に、内容を見てファイル名の変更案を作ってください。
変更はまだ実行しないでください。
出力してほしいもの:
- 旧ファイル名
- 新ファイル名
- そう判断した短い理由
命名ルール:
- 写真は `YYYY-MM-DD_被写体_連番`
- 書類は `YYYY-MM-DD_相手先_文書種別`
- 既存の拡張子は保持する
- 同名衝突があれば連番で避ける
ここで出てくる新しい名前を見て、違和感があればその場で直す。たとえば「会議資料」をただの「資料」にされると、あとで検索しづらい。こういう雑さは、AI に限らず人間でもよくやる。だから命名の粒度は、最初に自分が決めておくほうがいい。
実行まで進めるときは、修正対象を明確に限定する。全部を一気に変えるより、まずは20件くらいで試すのが無難だ。特に写真は、似た場面が連続していると中身の見分けが難しい。Claude Code は画像を読めるが、似た室内写真や、文字が小さい書類画像は、当然ながら取り違える余地がある。そこを過信すると、あとで並び替えが苦行になる。
筆者が一度やらかしたのは、スキャンした領収書フォルダを丸ごと任せたときだ。日付だけで名前を作らせたら、同じ日付の領収書が全部同じ扱いになり、件名の区別が消えた。検索はできるが、何の支払いかは名前からわからない。こういうときは、日付だけでなく相手先や用途も入れるべきだ。ファイル名は短ければいいわけではない。後で自分が意味を取り出せるかが本体だ。
書類系で特に効くのは、文書の中から手掛かりを拾わせることだ。表紙、件名、発行日、送付先、ファイル内の見出し。このあたりを拾うように指示すると、かなり実用的になる。
各ファイルの内容から、次の情報を優先して抽出してください。
1. 発行日または作成日
2. 相手先名
3. 文書種別
4. 件名や案件名
それをもとに、ファイル名を短く整えてください。
不明な項目は推測で埋めず、`unknown` にしてください。
この「推測で埋めるな」は大事だ。Claude Code は気が利くので、空白を埋めたくなる。だが、そこを勝手に補完されると、あとで見返したときに事故る。特に書類は、推測が混じると監査や再提出で面倒になる。わからないものはわからないまま出させる。人間が最後に決める。
一方で、写真整理では少し遊びを入れてもいい。たとえば旅行写真なら、撮影日だけでは似通うので、場所名やイベント名を入れると効く。家族写真なら、被写体の名前を入れると強い。ただし、名前が長くなりすぎると逆に使いにくい。ファイル名は説明文ではない。検索のためのラベルだ。ここを混同すると、1件ごとに異様に長い名前ができる。
実務で使うなら、変更前に必ずバックアップか複製を残す。Claude Code によるリネーム自体は普通のファイル操作だが、元に戻したいときに履歴があるかどうかで気楽さが全然違う。少なくとも、最初の1回はコピーで試すといい。大量の書類フォルダでこれを省略すると、間違えた命名を全部手で直すことになる。あれはだるい。
もし同じ種類のファイルを何度も整理するなら、命名ルールを固定しておくとさらに楽だ。たとえば案件フォルダなら、こんな形に寄せる。
20240618_取引先A_見積書_案件名.pdf20240620_取引先A_請求書_案件名.pdf20240622_取引先A_契約書_案件名.pdf写真でも同じだ。
2024-06-18_空港_01.jpg2024-06-18_夕食_02.jpg2024-06-19_展示会_03.jpg大事なのは、誰が見ても並べ替えやすいことだ。日時の並びが崩れない形式にするだけで、後の検索効率がかなり変わる。
最後にひとつ。Claude Code へ「このフォルダのファイル名を内容に沿って変えて」とだけ言うのは、かなり雑な頼み方だ。雑でも一発で通ることはあるが、実務では再現性がない。命名ルール、対象拡張子、確認してから実行するかどうか。この3つを毎回入れるだけで、手戻りが目に見えて減る。
写真整理でも、書類整理でも、やることは同じだ。中身を見て、意味が残る名前に変える。ただし、意味を残すためのルールは人間が先に決める。そこをClaude Code に丸投げしない。それが一番の近道だ。