今回の話でまず面白いのは、Google DeepMindが学習の場として選んだのが、ただのゲームではなく『EVE Online』だという点です。
『EVE Online』は、宇宙を舞台にしたMMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)です。簡単に言うと、何万人ものプレイヤーが同じ世界で動き回り、戦争、交易、政治、裏切り、同盟づくりまで起こる、かなり“人間くさい”ゲームです。
ここが重要で、AIにとってはこうした環境がかなり厄介です。
なぜなら、ゲームの目的が単純ではなく、相手も人間なので、毎回同じ正解があるわけではないからです。


たとえば、

こういう判断は、チェスや囲碁のようにルールが比較的閉じた世界より、ずっと複雑です。
DeepMindが狙っているのは、まさにこの「AIがまだ十分に得意ではない技能」を身につけさせることだと記事は伝えています。


Tom's Hardwareの記事によると、Googleはこの取り組みにあたって、新たに独立した Fenris Creations に少数株式を投資したとのことです。
つまり、単に「研究してみます」ではなく、資本を入れて関係を持ちながら進める形です。


ここはかなりGoogleらしい動きだなと思います。
AI研究って、モデルを大きくするだけでは限界が見えてきていて、最近は「どんなデータを使うか」「どんな環境で学ばせるか」がますます大事になっています。今回のように、実際の人間プレイヤーがうごめく巨大ゲーム空間は、かなり魅力的な実験場でしょう。


記事の説明をもとにすると、DeepMindは『EVE Online』の中でプレイヤーがどう動くかをAIに学習させたいようです。


ここでいう「学習」は、単に「この操作を真似する」という話だけではないはずです。
おそらく重要なのは、プレイヤーの行動から、



といった、より広い行動パターンをつかませることだと思われます。


AIは、画像認識や文章生成ではかなり進歩しましたが、現実世界や複雑な仮想世界での「空気を読んだ行動」はまだ苦手です。
その意味で、『EVE Online』みたいな世界は、AIにとってかなり“難問”であり、だからこそ価値があるのだと思います。


個人的には、この話は「ゲーム会社とAI企業が手を組んだ」というより、AIが現実に近い複雑さをどう扱うかという研究の一例として見ると面白いです。


ゲームを使ったAI研究は昔からあります。
たとえば囲碁、Atari、StarCraftなどは有名です。でも『EVE Online』は、もっと人間社会に近い。
単なる勝ち負けではなく、経済、政治、集団行動が絡むので、AIにとってはかなり“社会実験”っぽいんですよね。

もちろん、ゲーム内で学べたことがそのまま現実世界で使えるとは限りません。
そこは冷静に見るべきです。ゲームのルールは結局、ゲームの中に閉じています。
ただ、それでも「複雑な意思決定を学ぶための教材」としてはかなり優秀ではないかと思います。


この手の取り組みで気になるのは、AIがプレイヤーの行動を学ぶといっても、それが本当に“理解”なのか、それとも単なるパターン模倣なのか、という点です。


AIは見た目には賢く動いても、


ということがよくあります。


だから今回のプロジェクトも、うまくいけばかなり面白い一歩ですが、成果が出るまでには試行錯誤が多いはずです。
個人的には、ここで得られるのは「万能AI」ではなく、「複雑な行動を少しでもうまく扱うためのヒント」ではないかと思います。

Google DeepMindが『EVE Online』をAI学習の場に使おうとしているというニュースは、かなりユニークです。
しかも、ただの思いつきではなく、Googleが少数株式を取得して関与しているあたり、本気度も感じます。


派手さはありますが、実際にはかなり本質的な話です。
AIが苦手な「複雑な状況での判断」「人間相手の駆け引き」「長期戦略」をどう学ばせるか。その答えのひとつとして、巨大MMORPGが選ばれたわけです。


ゲーム好きとしてはもちろん、AIの行方を見ている人にとっても、これはかなり興味深いニュースだと思います。


