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ケビン・オレアリーがユタ州のデータセンター計画を擁護「雇用の数を考えてほしい」

キーポイント

記事の要点をざっくり言うと

Business Insiderの記事は、投資家として知られるKevin O'Learyが、ユタ州で進めているAI data center計画をめぐって地域住民と対立している話を伝えています。

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一言でいうと、​​「AIのための巨大な施設を作りたい人」と「水や電気が心配な住民」のぶつかり合いです。
これ、かなり現代っぽい争点だと思います。AIがどんどん広がるほど、こういう“見えにくいインフラ”が急に表舞台に出てくるんですよね。

何が起きているのか

オレアリーは、ユタ州北西部の Box Elder County で新しいAI data centerを支援しています。
場所は 40,000-acreのキャンパスで、かなり大規模です。日本人の感覚だと「データセンターってオフィスビル1棟くらい?」と思いがちですが、実際にはもっとずっと巨大な“工場みたいな施設群”を想像したほうが近いです。

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このプロジェクトは Stratos Project と呼ばれていて、郡の委員会は月曜に承認しました。
ただし、地域住民の反対が強いままの決定だったようです。

さらに、ユタ州の Military Installation Development Authority もこの計画を支援しています。

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住民が心配していること

住民側の主な懸念はかなりわかりやすいです。

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data center は、サーバーを冷やすために水や電力を使います。
特にAI向けの施設は計算量が大きいので、冷却負荷も重くなりがちです。記事では、​data centers can use millions of gallons of water each day とされており、住民が不安になるのも無理はありません。

正直、この手の計画って「地域に雇用を生む」と言われる一方で、住民からすると「でも水は?電気は?景色は?静けさは?」となるので、話が簡単にまとまりません。ここが本当に難しいところです。

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オレアリーの反論

オレアリーはX(旧Twitter)で、住民の懸念は理解するとしながらも、​​「雇用の数を考えてほしい」​と訴えました。

彼はさらに、環境面の心配についても触れています。
自身が University of Waterloo で environmental studies(環境学)を学んだと述べ、
「水、空気、野生動物への懸念を言われるのはよくわかる」とコメントしています。

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この部分は、単なる「儲けたい人の開発推進」ではなく、少なくとも本人は“環境を無視しているわけではない”という立場を取りたいのだと思います。
とはいえ、​理解していることと、地域が納得することは別問題なんですよね。ここが肝です。

オレアリーの主張する「誤解」

オレアリーは、アメリカ人は data center について誤解している、と主張しています。
彼によれば、過去には data center が “poorly represented” されており、技術はかなり進化したのだから、昔のイメージのまま不安が語られている面がある、ということです。

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記事では、彼が以下のような点を説明しています。

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こういう技術的な話は、たしかに「昔のdata center」とは違う可能性があります。
ただ、個人的には、技術が進歩したからといって安心材料が自動的に増えるわけではないと思います。
住民が見ているのは「最新技術」ではなく、​自分たちの水・電気・暮らしが実際にどう変わるかだからです。

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郡の説明と、住民の不信感

Box Elder County が出した fact sheet では、このプロジェクトは

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と説明されています。

一方で、住民はそこまで楽観的ではありません。
記事によると、​Salt Wells Spring stream から水を引く申請が取り下げられた件もあり、近隣住民の抗議が相当強かったことがうかがえます。

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ここはかなり重要です。
開発側が「影響はない」と言っても、地域社会では「本当に?」という疑いが残る。しかも、水の問題は一度不信感が生まれると、なかなか消えません。
インフラ計画って、数字だけではなく信頼がかなり大事なんだな、と改めて感じます。

透明性がないと進まない

記事では、Stanford University の adjunct lecturer である Anjney Midha の発言も紹介されています。
彼は、data center やそれを支えるインフラは、​地域住民にとってわかりやすく、利益が見える形で説明されないと成功しないと述べています。

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これはすごくまっとうな指摘だと思います。
巨大なAIインフラって、便利さは遠くにあるのに、負担は地元が先に受けやすいんですよね。
だからこそ、ただ「未来のためです」ではなく、​誰が何を得て、誰が何を負担するのかをはっきり示す必要があります。

オレアリー自身も、後の投稿でこの計画は “totally transparent” にするつもりだと述べ、
“We want it to be the shining example of how you do this”
つまり「こういうプロジェクトの模範例にしたい」と語っています。

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この話の面白いところ

このニュースが面白いのは、単に「データセンター建設に反対がある」という話ではない点です。
背景には、AIブームの裏側で必要になる 電力・水・土地 の争奪戦があります。

ふだん私たちは、AIを使うときにボタンを押すだけです。
でもその裏では、サーバーを冷やすための水、動かすための電気、施設を置く土地が必要になる。
つまり、​**“クラウド”はふわふわしているようで、実際にはとても地上っぽい**んですよね。そこが皮肉で、そして重要です。

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まとめ


参考: Kevin O'Leary defends his Utah data center project: 'Think about the number of jobs'

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