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GitHubで公開された「Open Design」は、AI時代の“デザイン制作エンジン”をローカルで動かす面白い試み

キーポイント

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まず何のプロジェクトなのか

GitHubで公開されている Open Design は、ざっくり言うと
​「AIに見た目のいいデザイン成果物を作らせるための、オープンソースの制作基盤」​ です。

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元記事では、Anthropicの Claude Design に対する代替として位置づけられています。
ここでいう「代替」は、単に似た見た目を真似したというより、​**“LLMが文章を書く”のではなく“デザイン成果物を出す”という考え方**を、オープンでローカル寄りの形にしたもの、という理解が近いです。

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正直、この発想はかなり今っぽいです。
AIチャットで「それっぽい説明」を返す段階はもう普通になりつつありますが、Open Designはそこから一歩進んで、​実際に使えるUI、スライド、画像、動画まで出すことを狙っています。
ここがかなり野心的で、同時にちょっとワクワクします。

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このプロジェクトの何がすごいのか

Open Designの特徴を一言でまとめるなら、
​「AIを直接デザインする神様にする」のではなく、「デザイン制作の現場にいる優秀な同僚として動かす」​ ところです。

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元記事によると、このプロジェクトは以下のような仕組みを持っています。

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この並びだけでも、ただの生成AIアプリではないことがわかります。
特に面白いのは、​​「どのAIモデルを使うか」よりも「どんな仕事の流れで使わせるか」​に重点がある点です。
個人的には、ここがOpen Designのいちばん重要なところだと思います。

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「Local-first」と「BYOK」はなぜ大事なのか

ここは技術っぽい言葉が出るので、かんたんに説明します。

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Local-first

これは、できるだけユーザーの手元の環境で動くことを優先する考え方です。
クラウド上のサービスに全部任せるのではなく、ローカルで処理できるところはローカルでやる。
これには、次のような利点があります。

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BYOK

これは 自分のAPIキーを使う 方式です。
つまり、プロジェクト側が独自の閉じたAPIを抱えるのではなく、ユーザーが持っているモデル利用権を使って動かすイメージです。

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Open Designはこの考え方をかなり徹底していて、
AnthropicやOpenAI、Googleなどのモデルを自分のキーで使えるような構造になっているようです。
また、APIプロキシも用意されていて、SSE(ストリーミング通信の一種)を同じチャットストリームにまとめる仕組みもあるとのことです。

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このへんは一見地味ですが、実はかなり重要です。
なぜなら、AIツールって「モデルの賢さ」だけでなく、​どう接続し、どう運用し、どこに依存するかで使い勝手が大きく変わるからです。

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既存のcoding-agent CLIを“設計エンジン”にする発想

Open Designのかなりユニークな点は、​自前のAIエージェントを前提にしていないことです。

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元記事では、Claude Code、Codex、Cursor Agent、Gemini CLI、OpenCode、Qwen、GitHub Copilot CLIなど、複数のcoding-agent CLIをPATH上から自動検出して使うとあります。
つまり、すでにローカルに入っているツールを組み合わせて、Open Designの制作ループに組み込むわけです。

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これはかなり賢い設計だと思います。

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なぜかというと、AIツールの世界は変化が激しくて、
「この1つのモデルに完全依存する」設計は、すぐ古くなりがちだからです。
その点、Open Designはエージェントを差し替え可能な部品として扱っている
これは長く使うシステムとしてはかなり筋がいいです。

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何を作れるのか

元記事では、Open Designで次のようなものが生成できるとされています。

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さらに、出力形式としては

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などにも対応しているようです。

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ここでのポイントは、単なる「画像生成」ではなく、​成果物そのものを作ること。
たとえば、スライドならスライドとして、WebならWebとして、ちゃんと使える形で出すのが狙いです。

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個人的には、ここが「AIでデザインする」系ツールの中でも、かなり実用寄りだと感じます。
見栄えのいい1枚絵を作るだけなら今でもいろんなツールがありますが、​そのまま仕事に持っていける形式まで落とし込むのはまだ難しい。
Open Designはその壁を越えようとしている印象です。

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どうやって品質を上げているのか

Open Designは「AIに自由に描かせる」だけではなく、かなり細かく制約とガイドを入れているようです。

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元記事によると、たとえば:

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つまり、AIがいきなり「それっぽい絵」を吐くのではなく、
設計→制作→自己チェック→出力 という流れを踏ませているわけです。

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ここ、かなり大事です。
生成AIは放っておくと、それっぽいけど雑なものを出しがちです。
デザイン分野では特にそうで、​見た目はいいけど使いにくいという事故が起きやすい。
Open Designはその問題に対して、​チェックリスト文化事前のヒアリングで対抗しているように見えます。

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これはかなり“デザイン業務っぽい”です。
優秀なデザイナーって、いきなり描き始めるというより、まず要件を整理し、方向性を決め、途中で何度も見直しますよね。
Open DesignはそこをAIにもやらせようとしている。
その狙いはかなり筋が通っています。

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どんな仕組みが土台になっているのか

READMEでは、このプロジェクトが複数のオープンソース成果物の上に成り立っていると説明されています。

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たとえば:

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このあたりは、実際に触ると「おお、ちゃんと制作システムだな」と感じそうです。
AIのデモって、完成品だけ見せて中身がスカスカなことが多いのですが、Open Designはかなり制作フローそのものを作り込んでいます。
そこが面白いです。

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どんな人に向いていそうか

このプロジェクトは、たぶん次のような人に刺さりそうです。

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逆に、
「とにかく簡単に1枚画像を生成したい」
という用途だけなら、ここまでの仕組みは少し大げさに感じるかもしれません。
でも、Open Designはそこを狙っていないはずです。
“仕事で使う制作基盤”を作ろうとしているのだと思います。

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個人的な感想

率直に言うと、これはかなり面白いです。
理由は、AIデザインツールの弱点をちゃんと見ているからです。

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多くのツールは「生成できること」自体を売りにしますが、実際の仕事では
要件整理、ブランド整合性、レビュー、出力形式、差し替えやすさ
のほうがずっと大事です。

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Open Designは、その面倒くさい現実にちゃんと向き合っている。
しかも、閉じたサービスとしてではなく、​オープンソースで、ローカルで、差し替え可能な形でやろうとしている。
これは思想としてかなり好感が持てます。

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一方で、こういうプロジェクトは機能が多いぶん、導入や運用がやや重くなりやすいとも思います。
つまり、​夢は大きいけれど、使いこなしにはある程度の技術力が必要ではないか、ということです。
でも、それを差し引いても、方向性はかなり魅力的です。

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まとめ

Open Designは、単なる「AIでデザインするツール」ではありません。
むしろ、​AIを使ってデザイン制作を回すためのオープンな基盤に近いです。

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AIが「文章を書く」段階から「制作物を出す」段階へ進んでいる今、Open Designはその流れをかなり真面目に追いかけているプロジェクトだと感じます。
こういう“実務に寄った野心作”は、見ていて本当に楽しいです。

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参考: GitHub - nexu-io/open-design

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