Bitcoin miner(仮想通貨の採掘業者)として知られていた IREN Limited が、今度は AIインフラ企業 として大きく前に出てきました。
The Blockの記事によると、IRENは Nvidia と戦略的パートナーシップを結び、次世代AIデータセンターの展開を加速させると発表しました。
これ、かなり面白い動きです。
なぜかというと、Bitcoin miningって本来は「大量の計算力を安く回す」ビジネスなんですが、そのために持っている電力供給力やデータセンター運営のノウハウは、AI向けのGPUインフラにもかなり相性がいいんですよね。
つまりIRENは、**“掘る会社”から“AIの計算基盤を支える会社”へ変身中** というわけです。これは市場が好きそうなストーリーですし、実際に株価も敏感に反応しました。
今回の提携では、NvidiaとIRENが協力して、最大5GW(ギガワット) 規模の NVIDIA DSX-aligned AI infrastructure をIRENのグローバルなデータセンターパイプラインで展開する計画だとされています。

ここでのポイントは、「GPUを売るだけ」ではなく、Nvidiaが AI工場(AI factories) のような大型インフラの展開そのものに深く関わっていることです。
AI factoryというのは、ざっくり言えば AI向けの超巨大な計算拠点 のこと。ChatGPTのようなAIを学習・運用するには、電力、冷却、ネットワーク、GPU、運用体制が全部そろっていないといけません。NvidiaのCEO、Jensen Huang氏も「AI factories are becoming foundational infrastructure」と述べていて、AIインフラが社会基盤になっていくという見方を示しています。
今回いちばんインパクトがあるのは、Nvidiaが 最大3,000万株を1株70ドルで買える warrants を手にしたことです。
warrants(ワラント)というのは、あらかじめ決められた価格で株を買う権利 のこと。
すぐに株を買うわけではなく、「将来その値段で買えるチケット」のようなものです。
もしNvidiaがこれを全部使えば、IREN株を30百万株分持つことになり、最大で約21億ドルの持ち分 になる可能性があると記事は伝えています。
Nvidiaにとっては、単なる顧客や取引先ではなく、IRENの成長に直接乗る形です。個人的には、これがかなり重要だと思います。Nvidiaが“本気で使うパートナー”に対して、資本面でも関与している感じがするからです。
両社がまず注目しているのは、テキサス州のSweetwater campus です。
IRENが持つ 2GW規模 のキャンパスで、NvidiaのDSX architectureの旗艦展開先になる見込みだとされています。

2GWという数字は、一般の感覚だとかなりピンと来ないかもしれませんが、要するに とんでもなく大規模な電力・設備を前提にしたAI拠点 ということです。
AIデータセンターは、GPUを置けば終わりではありません。電気代、冷却、土地、接続、運用人材まで含めた総合格闘技みたいなものなので、ここを回せる会社はかなり強いです。
面白いのは、IRENがこの発表の少し前に、Mirantis というクラウドインフラソフト企業を 6億2500万ドルの株式交換 で買収していたことです。
これはAI cloud platformの機能を広げるための動きとされていて、IRENが単にハードウェアや土地を持っているだけではなく、AI向けクラウド事業にも踏み込みつつある ことがわかります。
つまりIRENは、
という形で、AIインフラ企業としての完成度を上げている最中、という見方ができそうです。
これはかなり“筋のいい”転換に見えます。Bitcoin minerのままだと市場の波に振り回されやすいですが、AIインフラは需要が長期で続く可能性が高いからです。もちろん、競争は激しいので楽観しすぎは禁物ですが、方向性としては納得感があります。
発表を受けて、IREN株は木曜の時間外取引で 25%以上上昇 し、71ドル超 まで上がったあと、少し戻して 68ドル付近 で推移したと報じられています。
年初来では 30%以上上昇 しているとのことです。

市場がこのニュースを強く好感したのは当然かな、という印象です。
Nvidiaという“AI界の最重要プレイヤー”が後ろ盾になると、IRENのAIインフラ事業に対する信頼感が一気に増します。しかも株式とwarrantsまで絡むので、単なる提携よりも踏み込んだ関係に見えるのが大きいです。
今回のニュースは、IRENが Bitcoin minerからAIインフラ企業へ本格転身している ことを示す象徴的な出来事です。
そしてNvidiaは、その動きを 技術面だけでなく資本面でも支える 形になっています。
個人的には、これは「AIブームの恩恵を受ける企業」の中でも、かなりストーリーがわかりやすい案件だと思いました。
なぜなら、AIは結局のところ“計算資源の奪い合い”でもあるからです。GPUをどれだけ確保できるか、そのための電力とデータセンターをどれだけ持てるか——この勝負にIRENが乗ってきたのは、かなり興味深い展開ではないでしょうか。
参考: IREN stock surges as Nvidia backs AI expansion with warrants tied to 30 million shares