Cloudflareが、Security Overview dashboard という新しいセキュリティ画面を公開しました。
ひとことで言うと、バラバラに出てくるセキュリティ情報を1つにまとめて、「今やるべきこと」を先に見せてくれる画面です。
これ、地味に見えてかなり重要です。セキュリティ運用って、実際には「異常を見つける」よりも「何を先に直すべきかを判断する」ほうが面倒だったりします。アラートは大量に来るのに、全部が緊急というわけではない。そこを整理してくれるのが今回のダッシュボード、というわけです。
checkers と呼ばれる分散マイクロサービス群で、DNS設定やAPI securityなどを監視今回のポイントは、Cloudflareが単に「情報を見せる」だけでなく、**“次に何をすべきか”まで前面に出した**ことです。
従来のセキュリティ画面は、ログ、警告、メトリクスが並んでいて、正直かなり疲れます。
技術者なら「見れば分かる」と言いたくなるかもしれませんが、現場ではそんなに時間がありません。アラートが多すぎると、本当に危ないものが埋もれてしまうんですよね。
そこでCloudflareは、Security Action Items という仕組みを導入しました。これは、脆弱性や設定ミスを検出して、重要度順に並べるものです。
分類は critical / moderate / low。つまり、ざっくり言えば「今すぐ」「後で」「余裕があれば」という順番です。
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この考え方はとても実用的だと思います。セキュリティは“全部大事”に見えて、実際には優先順位付けが命です。
「何が起きているか」より「何から片付けるか」を教えてくれる方が、運用チームにはありがたいはずです。
今回の画面は、単なる一覧表ではありません。
Cloudflareは、不審な活動や危険な設定をカテゴリ別に絞り込めるようにしています。たとえば、suspicious activity や insecure configurations といった切り口です。
ここが面白いところで、セキュリティ運用って組織によって見たいものが違うんですよね。
不正アクセスを追いたいチームもいれば、設定ミスを減らしたいチームもいる。だから、カテゴリで切れるのはかなり自然です。
さらに重要なのが、WAF rules や API security controls が、実際に防御を“適用中”なのか、それとも“ログを取っているだけ”なのかを確認できる点です。
これは地味ですが、かなり大事です。
「ルールは入れてあるから安心」と思っていても、実は監視だけで防御が効いていない、というケースはありえます。そこを見える化するのは、かなり実戦的です。
Cloudflareは、概要画面から Security Analytics にそのまま深掘りできるようにしています。
しかも、概要で見えていた内容に合わせて pre-applied filters(あらかじめ絞り込んだ状態)が入るので、調査を一からやり直さなくていい。
これ、実際かなり嬉しい設計です。
セキュリティ調査で一番だるいのは、「さっき見つけた条件をもう一回手で設定する」瞬間です。コンテキストの行き来が多いほど、人間は集中力を削られます。なので、画面のつながりが良いのは単純に強い。
Cloudflareはこのダッシュボードを、検出と修復の橋渡しとして位置づけているようです。
つまり「怪しいものを見つける画面」ではなく、「見つけたあとに動く画面」ですね。ここは設計思想としてかなり好きです。
ここからが少し技術寄りですが、Cloudflareはこの仕組みの裏側で、1日に1000万件以上の actionable insights を生成しているとしています。
その生成を担うのが、checkers と呼ばれる分散型のマイクロサービス群です。
各 checker は、たとえば DNS configuration や API security のように、特定の領域に集中してチェックします。
動き方も2種類あります。
この設計はかなり理にかなっています。
定期スキャンだけだと遅れるし、リアルタイムだけだと取りこぼしや負荷の問題が出る。両方を組み合わせることで、広い攻撃面をカバーしつつ、スケールもさせやすいわけです。
個人的には、ここがCloudflareらしいなと思いました。
Cloudflareはもともと大規模トラフィックをさばく会社なので、「大量のデータをいかに見やすくするか」という問題に対して、かなり現実的な答えを出している感じがあります。
現時点では、この体験は domain level、つまりドメイン単位で提供されています。
ただしCloudflareは、今後 account level、つまりアカウント全体でまとめて見られるようにする計画もあるとしています。
これが実現すると、企業にとってはかなり便利です。
複数ドメインを運用している場合、ドメインごとに別々に見るのは手間ですからね。アカウント単位で横串に見られれば、リスクの全体像をつかみやすくなります。
この発表は、「新しい画面が増えました」という話だけではありません。
むしろ、セキュリティ運用の主戦場が“検知”から“優先順位づけ”と“即対応”へ移っていることを示していると思います。
セキュリティは、情報が多いほど安心ではありません。
むしろ多すぎると、見落としが増える。だからこそ、重要なものを前に出す設計は価値があります。
Cloudflareは今回、単なる監視ツールではなく、判断を助ける運用UI を作ろうとしているように見えます。
これはかなり今っぽい方向性ですし、実務ではかなり効くはずです。
とはいえ、ダッシュボードが優秀でも、結局は運用する人の判断が要ります。
なので、「これで全部解決」とはもちろん言えません。ただ、少なくとも**“何から見ればいいのか分からない問題”をかなり減らせる**のではないかと思います。
セキュリティの世界では、見つけることより片付けることのほうが難しい。
今回のCloudflareの動きは、その現実にかなり正面から向き合ったものだと感じました。
参考: Cloudflare Processes 10M+ Daily Insights with New Security Overview Dashboard