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BlackRockのラリー・フィンク氏、AI向けデータセンターで“次の提携”を予告

キーポイント

この記事は何を伝えているのか

Business Insiderの記事は、BlackRockのCEOラリー・フィンク氏が、AIインフラへの大型投資をさらに進めようとしている、という話です。

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舞台はロサンゼルスで開かれたMilken conference。そこでフィンク氏は、​​「今週後半に、未公表のhyperscalerと提携を発表する」​と話しました。目的はデータセンターの建設だそうです。

ここでいう hyperscaler とは、Amazon、Microsoft、Google、Metaのように、巨大なクラウド基盤を持ち、必要に応じて計算能力を一気に拡張できる企業のことです。
要するに、​AIを本気で回すための“でかい土台”を持っている会社だと思えばかなり近いです。

BlackRockがなぜAIにここまで入れ込むのか

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フィンク氏は、BlackRockを単なる資産運用会社としてではなく、​AI時代のインフラを資金面で支える存在にしようとしているように見えます。

記事によるとBlackRockは、

といった分野を重視しており、AIブームで必要になる“裏方”にお金を流し込む姿勢を強めています。

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個人的には、ここがかなり重要だと思います。
AIというと多くの人はChatGPTみたいなアプリやモデルを思い浮かべますが、実際にはその裏で電気を食い、熱を出し、GPUを積み、巨大な建物を必要とするわけです。つまり、AIの勝負はソフトウェアだけではなく、​電力と不動産と資本の勝負でもあるんですよね。ちょっと夢がないようで、でもすごく現実的です。

すでにBlackRockはかなり深く入り込んでいる

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記事では、BlackRockがすでに複数の大手と組んでAIインフラ投資を進めていると紹介しています。

たとえば、

などと連携しているとのことです。

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また、BlackRockは2024年後半にGIPを125億ドルで買収しました。これも、AI時代に必要なインフラ投資を強く進めるための布石だった、と記事は示唆しています。

さらに、GIP主導のグループは、​Aligned Data Centersを約400億ドルで買収する計画を発表したそうです。金額の桁がすでに現実離れしていて、AIインフラがいかに巨大な市場になっているかが伝わってきます。

でも、お金だけあれば足りるわけではない

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フィンク氏は、Milkenの会場でかなり強いトーンで話しています。

彼の見立てでは、

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が足りない。

そして、

いずれ資本が足りなくなる
とも語っています。

これ、かなり面白い発言です。普通は「AIにお金が集まりすぎているのでは?」という不安が出そうですが、フィンク氏は逆に、​必要なインフラを作るにはまだまだ資金が足りないと見ているわけです。

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さらに彼は、将来はcompute futuresという新しい資産クラスが生まれるかもしれない、と話しました。
これは簡単に言うと、​将来の計算資源の価格変動に備えるための金融商品のようなものです。農産物や燃料の価格リスクをヘッジするのに似ています。

正直、この発想はかなり“金融屋らしい”し、同時にAI時代らしいです。
昔は原油や穀物の値動きに備える市場が重要でしたが、これからはGPUの処理能力そのものが、値段の付く資源になるかもしれない。そう考えると、未来はかなりSFっぽいです。

「AIバブルではない、むしろ逆だ」

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フィンク氏は記事の中で、

There is not an AI bubble. There is the opposite.
つまり、​AIバブルではない。むしろ逆だ
と話しています。

これはかなり強気な見方です。

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世の中では「AIは過熱しているのでは?」という声も少なくありません。実際、各社の投資額はすさまじく、この記事でも Amazon、Microsoft、Meta、Googleの4社が今年7250億ドルの支出計画を立てていると触れています。

ただ、フィンク氏はそれでもなお、AIインフラの供給は追いついていないと見ている。
つまり彼の感覚では、今起きているのは「行き過ぎ」ではなく、​まだ足りないから急いで作らなければならない局面なんでしょう。

私はこの見方、半分は納得、半分は警戒したいと思います。
なぜなら、インフラ不足が本当に起きるなら投資は理にかなっていますが、逆に需要予測を外すと、あとで巨大な設備が“使いきれない資産”になる可能性もあるからです。こういうのは、いつだって紙の上では美しくても、現場では難しいんですよね。

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この記事の面白さは「AIの主役が変わりつつある」こと

この話の本質は、AIの主役がモデル開発企業だけではなく、​その裏側を支える資本・電力・建設・半導体に広がっていることだと思います。

しかも、その中心にいるのがBlackRockのような巨大資産運用会社です。
つまり、AIはもはや“IT企業だけの話”ではなく、​ウォール街の大物が本気で取りに行くインフラ投資のテーマになっているわけです。

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ここはかなり重要です。
AIをめぐる競争は、これから「どのモデルが賢いか」だけでなく、

という総力戦になっていくはずです。

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まとめ

ラリー・フィンク氏の発言は、BlackRockがAIブームの“金融面の後ろ盾”として、さらに深く入り込んでいくサインだと言えます。

しかも彼は、AIは単なる流行ではなく、​世界のインフラを作り替える巨大プロジェクトだと見ているようです。
私はこの見方はかなり筋が通っていると思います。AIはアプリではなく、もはや電力と計算資源を食う産業革命に近い。だからこそ、データセンターや電力網にお金が集まるのは自然な流れです。

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ただし、勢いが大きい分、過剰投資のリスクも当然あります。
このテーマはまだ始まったばかりで、今後どう収益化されるのか、そして本当に“計算資源の市場”が生まれるのか、注目して見ていく価値があると思います。


参考: BlackRock's Larry Fink hints at a coming partnership with a hyperscaler

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