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OrcaSlicer-bambulabとは何か?Bambu Labユーザー向けの“ネット接続復活版”をやさしく解説

キーポイント

この記事のざっくりした意味

GitHubに公開されている FULU-Foundation/OrcaSlicer-bambulab は、3Dプリンター用ソフト「OrcaSlicer」をベースにしたプロジェクトです。

一言でいうと、​Bambu Lab製プリンターをもっと自由に、もっと元の感覚で使えるようにするための改造版だと考えるとわかりやすいです。

元記事のREADMEには、次のように書かれています。

この説明から読み取れるのは、単なる見た目の変更ではなく、​Bambu Labプリンターとの接続方式そのものに手を入れた派生版だということです。ここはかなり重要です。3Dプリンターは「印刷できるか」だけでなく、「どうつながるか」が実用性に直結するので、ネットワーク周りの変更は地味に見えて超本丸です。

OrcaSlicerってそもそも何?

OrcaSlicerは、3Dプリンターで使うデータを作るためのソフトです。
この種のソフトは一般に スライサー と呼ばれます。これは、3Dモデルをプリンターが理解できるように「薄い層に切り分ける」役目を持つからです。

つまり、

というのがスライサーの仕事です。

このプロジェクトは、そのOrcaSlicerを土台にしつつ、​Bambu Labプリンターとの連携を強めた版だと見てよさそうです。

何がうれしいのか

READMEの主張をそのまま受け取るなら、いちばんのメリットは LAN接続に縛られないこと です。

普通、LAN only というと「同じ家や同じネットワークの中でしか使えない」イメージです。
でもこのプロジェクトは、​BambuNetworkを通じて、インターネット越しでも使えると説明しています。

これが何を意味するかというと、たとえば:

といったニーズに刺さる可能性があります。

個人的には、ここが一番「なるほど」と思ったポイントです。
3Dプリンターは、いざ運用が始まると“つながり方”の快適さがかなり効いてきます。印刷そのものより、毎回の操作や接続のストレスが地味に効くので、そこを改善する意義は大きいです。

インストール条件も見ておきたい

READMEには、OSごとの案内があります。

Windows

Windowsでは WSL 2 が必要とされています。
WSL 2 は、Windows上でLinux環境を動かす仕組みです。
「WindowsなのにLinuxが必要なの?」と思うかもしれませんが、開発ツールや周辺機能の都合で、こういう要件になることは珍しくありません。

最初の起動前に、管理者権限の Command Prompt か PowerShell で次を実行するよう案内されています。

dism.exe /online /enable-feature /featurename:Microsoft-Windows-Subsystem-Linux /all /norestart
dism.exe /online /enable-feature /featurename:VirtualMachinePlatform /all /norestart

その後、Windowsを再起動して Orca Studio を起動する流れです。

正直、ここは一般ユーザーには少しハードルが高いです。
でも逆に言えば、​Windowsでちゃんと動かすために必要な下地を明示してくれているので、親切ではあります。

Linux

Linuxでは、​通常のインストールで十分と書かれています。
これはかなり素直でうれしいですね。Linuxユーザーはこういうのに強いことが多いので、導入しやすそうです。

macOS

macOS は Work in progress、つまり開発途中です。
Macユーザーには少し残念ですが、これは率直に言って仕方ないところだと思います。3Dプリンター周りのツールは、対応OSに偏りが出やすいですからね。

BMCUも推奨されている

READMEでは、​BMCU の利用も勧めると書かれています。
BMCU firmware はこの作者のリポジトリで見つかるとのことです。

BMCUが何かを本文だけで完全に断定するのは避けますが、少なくともこのプロジェクトの周辺にある関連ファームウェアや補助ツールだと考えられます。

こういうのを見ると、単体のソフトというより、​Bambu Lab向けの運用全体を支えるエコシステムを作ろうとしている印象があります。ここは面白いです。単なるフォークではなく、周辺まで含めて実用化を狙っている感じがします。

リポジトリの中身から見えること

GitHub上のファイル一覧を見ると、かなり本格的な開発リポジトリです。

たとえば以下のようなディレクトリやファイルがあります。

これだけ見ても、単なる小さな改変ではなく、​きちんとビルド・テスト・配布を意識したプロジェクトだとわかります。
CMakeLists.txt があるので、CMake ベースでビルドするタイプですね。CMake は、ざっくりいうと「ソフトをコンパイルするための設計図を管理する仕組み」です。

しかも release があり、READMEには v1.0.0 が掲載されています。
Star も 2.9k、Fork も 933 と、一定の注目を集めています。
この数字だけで人気を断言するのは早いですが、少なくともかなりの人が見ているプロジェクトなのは間違いありません。

どういう人に関係ある?

このプロジェクトが刺さるのは、主にこんな人だと思います。

逆に、以下の人には少し遠いかもしれません。

とはいえ、初心者にとっても「3Dプリンターのソフトは、機種や接続方式によってかなり事情が違う」という事実を知るのは大事です。ここを知っておくと、後で「なんでこのソフトはこうなってるの?」と迷いにくくなります。

個人的な見どころ

個人的には、このリポジトリの面白さは “便利さ”と“制約への反発”が同居しているところだと思います。

3Dプリンターの世界では、メーカー純正の仕組みがある一方で、ユーザーは「もっと自由に使いたい」と感じることがよくあります。
この OrcaSlicer-bambulab は、その気持ちにかなり正面から応えようとしているように見えます。

しかも、READMEの文面はかなりストレートです。

この潔さ、けっこう好きです。
遠回しな説明より、「何をしたいのか」がはっきりしている方が、実用ソフトとしては信頼しやすいと私は思います。

まとめ

FULU-Foundation/OrcaSlicer-bambulab は、OrcaSlicerをベースにした Bambu Labプリンター向けの派生プロジェクトです。
最大の特徴は、​BambuNetworkサポートを復活させ、LAN only に限定されない使い方を目指している点です。

Windowsでは WSL 2 が必要で、Linuxでは比較的そのまま使えそう、macOS はまだ開発中。
つまり「誰でも即ラクラク」ではないものの、​Bambu Labユーザーにとってはかなり気になる存在だと思います。

3Dプリンターのソフトは、単に印刷できればいいわけではなく、「どう接続して、どう運用するか」がすごく大事です。
その意味でこのプロジェクトは、単なる技術ネタではなく、​実用のど真ん中をついていると感じました。


参考: GitHub - FULU-Foundation/OrcaSlicer-bambulab

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